乙女は特別がほしいだけだった
毎日あなたのことを想って泣くの。泣いて翌日腫らした眼をなんとか誤魔化すためにいっぱい寝ちゃったって言うの。
その時の私、苦虫を噛んだような顔してると思うんだけど、バレてないみたいでよかった。
私はあなたじゃないとダメなのに、あなたは私じゃなくてもいいことにたま〜に気づいて我に返るの。
危なかった。また勘違いしちゃうところだった。
恋人みたいなことをしたいし、乙女みたいに扱ってほしいんだけど。そんなの本当の恋人みたいで申し訳なくなるの。
お花畑も、イルミネーションデートも、前の人と散々やったことだって分かってるのに。
私にも恋人みたいなことしてほしいって思っちゃって、欲深い自分に毎晩泣かされて、いい加減にして。
あなたは他の子と違うよ。あなたはあの子と違うよ。特別だよ。
そんなこと言ってもらえる日は来ないんだろうことも分かってる。
特別で1番な理由がほしいだけなのに、わざと女の子の話持ち出しちゃって嫌な女。
でも、「あなたの方がかわいいよ」とか言ってくれたことないね。
本当に好きで愛してないからだってわかってる。
あなたにとって、居心地のいい親友みたいな彼女だってわかってる。
親友だったらよかったね。
私が欲深い乙女になっちゃって、ごめんね。
私じゃなきゃダメだって、私が1番で特別だって言われること何度も想像して、そんなシーンはなくて。
乙女は、特別がほしかっただけでした。
危ないね。また欲出しちゃうところだった。