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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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#長編連載小説

水深800メートルのシューベルト|第1話

       第一部        (1)  ドンッ!   ロバートに胸ぐらを掴まれ、居住…

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水深800メートルのシューベルト|第1199話

 僕は、素直な気持ちで、音を立てずに拍手をした。会話以外の音は禁止されているのではないの…

吉村うにうに
12時間前
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水深800メートルのシューベルト|第1197話

彼は照れたのか、しかめ面をしたが、怒っているようではなかった。僕は静かに頷いて体を起こし…

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水深800メートルのシューベルト|第1196話

「最初の音は何だ?」 「え、最初の音って?」周囲から聞かれないように小声で尋ねた。 「シュ…

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水深800メートルのシューベルト|第1195話

 思わず彼の顔を見たが、ふざけている様子はなかった。無言で白い鍵盤の一つを指してやった。…

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水深800メートルのシューベルト|第1194話

 プアチャイルドの言葉に、チクッと刺されたような嫌な気分になったが、ピアノを貸せという申…

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水深800メートルのシューベルト|第1193話

 僕は、かつてお婆ちゃんと暮らしていたアパートメントを想い出していた。大きなソファで眠るお婆ちゃん……、点けっぱなしのテレビ……、そして冷蔵庫に入っていた炭酸水……、それらを振り解いて鍵盤に戻ると、指が勝手に動いていた。上手くなったことに驚きながら弾き続けていると、ロバートは人差し指を立てて小さく振った。 「さっきよりは良くなったぜ。でも、何かが違うんだよな。もっと眠くなるように弾けよ。いや、そのおもちゃの性能かなあ?」  彼はこんな事に一生懸命考えるように首を傾げ、眼球を

水深800メートルのシューベルト|第1192話

僕は、その表情に戸惑った。もう一度言われた通りに演奏したら、馬鹿にするつもりだろうか? …

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水深800メートルのシューベルト|第1187話

 決意を固め、拳銃を枕の下から引き抜いたとき、肘にコツンと固い感触があった。それはベッド…

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水深800メートルのシューベルト|第970話

「いやいや、すみませんねえ。そうだ、アシェル、今度陸に上がったら射撃訓練もこなさないと」…

吉村うにうに
7か月前
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水深800メートルのシューベルト|第908話

「もし、そうなったら海軍も免職になっちゃうよ」  そう言っても、トリーシャの表情はいささ…

吉村うにうに
9か月前
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水深800メートルのシューベルト|第904話

「ええ、夜は102度くらい(注:単位は華氏。39℃相当)だったけど、一晩で引いたのよ。わ…

吉村うにうに
9か月前
7

水深800メートルのシューベルト|第853話

 突拍子もない話を聞いて、頭がおかしくなったのは、僕なのかトリーシャなのかわからなくなっ…

吉村うにうに
11か月前
4

水深800メートルのシューベルト|第835話

「それともうひとつ。彼女は君を育てることができなかった。代わりに私が君の面倒を見るのは彼女の遺志だと思う。だから、私が君の手助けをする。力になりたいんだ」 「いえ、僕はもう大人ですし……」  断ろうとした。しかし、彼は首を振った。 「この先、どうするつもりなんだ? プランを聞いておきたい。リクルートキャンプを卒業した後は」  彼は手に持ったコーヒーカップを手元で揺らしながら尋ねた。テーブルに並べられたポテトやハンバーガーには手をつけようともしていなかった。 「決めていませ