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水深800メートルのシューベルト|第908話
「もし、そうなったら海軍も免職になっちゃうよ」
そう言っても、トリーシャの表情はいささかの迷いも見せなかった。
「捕まって、今度は正直に言うの。償ってきなさい」
「声が大きいよ」
彼女は、はっとした顔で後ろを振り向いたが、部屋のドアは閉まったままだった。
「海軍を辞めることになって、それが何だって言うの? 刑務所が怖いの? メリンダは自分が犯した罪とはいえ、ちゃんと入っていたのよ。収監されるなら行ってくればいいわ。せいぜい数年でしょう? アシェルの居ない間、叔母さんと二人でフェリックスを見るわ。そもそもあなたはいつか居なくなると覚悟をして過ごしてきたんだもの」
彼女は少し上を向いた。目に溜まった涙を堪えているようだった。