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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2024年10月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第1081話

「ピンチってなんだよ。お前の妄想でも聞いてやるから言ってみな。その代わり、もう一度医務室…

吉村うにうに
3か月前
4

水深800メートルのシューベルト|第1080話

「お前、薬の飲み過ぎで幻でも見ているんじゃないの、え? ユースレスさんよ」 「勝手にそう…

吉村うにうに
3か月前
6

水深800メートルのシューベルト|第1079話

 心臓がバクバクと音を立てていた。息も荒くなってきて、空気の一部しか吸えないような感覚に…

吉村うにうに
4か月前
5

水深800メートルのシューベルト|第1078話

 彼は周囲に聞こえるような大きな声を出した。それが不快で耳を塞ぎたくなった。しかし、彼は…

吉村うにうに
4か月前
7

水深800メートルのシューベルト|第1077話

「お前、睡眠導入剤少し残ってねえか? 俺、トイレに行ったらもう一度寝るからよ、分けてくれ…

吉村うにうに
4か月前
8

水深800メートルのシューベルト|第1076話

「な、なんだよ。君こそ気をつけろよ。こっちは通路だ。優先だ」 「お前、急に偉そうにしやが…

吉村うにうに
4か月前
7

水深800メートルのシューベルト|第1075話

 艦が動いていない事実だけを確かめた僕は、ハッチを出て持ち場に向かうことにした。居住区のハッチの前を通り過ぎようとした時、不意に大きな男が現れぶつかりそうになった。それを避けようとして後ろのパイプに背中を打ち付けた。 「ストゥーピッド、気をつけろ! お前はいっつも前を見てやがらねえ」  よく見ると、ロバートの緑の目があった。  いつもなら笑うか謝るかをするところだが、ぶつかってきたのは向こうだ。という考えが頭をもたげ小さな怒りが沸いた。      第1074話へ戻る 第1

水深800メートルのシューベルト|第1074話

 発令所に行く前に、艦長室を通りかかったが、人の気配はなかった。操作員の言葉を聞いて急に…

吉村うにうに
4か月前
6

水深800メートルのシューベルト|第1073話

「どうせ、浮上しないんだろ?」  僕の言葉に、彼はピクッとこめかみを動かした。 「命令が…

吉村うにうに
4か月前
5

水深800メートルのシューベルト|第1072話

 発令所には、艦長はおらず、奥にある注水制御コンソールと操舵コンソール、その右にある戦闘…

吉村うにうに
4か月前
8

水深800メートルのシューベルト|第1071話

 セペタの言う通り、発令所に立ち寄ってみようと思った。僕なんかが海底から脱出できる仕事が…

吉村うにうに
4か月前
8

水深800メートルのシューベルト|第1070話

「まさか。きっとこれも後でいい思い出になるさ。下水から出てきた鼠のようにずぶ濡れになって…

吉村うにうに
4か月前
9

水深800メートルのシューベルト|第1069話

「艦はいつ動くんだろう? 原子炉は再稼働したのかな?」  セペタはうんざりしたように言っ…

吉村うにうに
4か月前
8

水深800メートルのシューベルト|第1068話

「だから、配電盤なんだって、問題は。グシャグシャだな、あれは。今他の誰かが替わってやっているよ。もう、うんざりだ。感電の危険もあるし、原子炉のエンジニア連中はピリピリしているし、まるで俺らのせいで配電盤壊れたみたいに言うんだぜ。疫病神だって。なんであんな奴らがここに乗艦しているんだ? 性格検査が機能してないんじゃないのか?」  彼は珍しくいらいらを隠そうとしなかった。僕は 「みんな、ここ数日船が動かないので不安なんだよ。それで怒りっぽくなるんだよ。僕だって……」と言った。つ