
水深800メートルのシューベルト|第1080話
「お前、薬の飲み過ぎで幻でも見ているんじゃないの、え? ユースレスさんよ」
「勝手にそう思っていろよ。だが、ゲイル先生の悪口はやめろ。いい先生だろうが」
「誰も、やぶ医者だなんて言ってないぜ」
ロバートはやにさがった目をしていた。
「ただ、俺達には必要のない存在だって言ってんだ。どうせ沈めば怪我人もそうでない奴も全員死ぬし、それなら衛生兵が薬持ってりゃそれで十分だろう?」
それを聞いて、艦長が相談に訪れたことを話してしまいたくなった。しかしそれはできないので黙るしかなかった。そして、彼は眼球を上に向けてから訊いてきた。