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水深800メートルのシューベルト|第1081話
「ピンチってなんだよ。お前の妄想でも聞いてやるから言ってみな。その代わり、もう一度医務室へ行って俺の分も処方してもらえ。薬を失くしましたとでも言ってさ。それを寄越せば、お前の妄想につき合ってやるよ」
「嫌だね。自分が行けばいいじゃないか。君がゲイル先生を苦手なのは、彼が理性的だからさ。野蛮人の君とは相性が悪いんだ」
「何だと!」
ロバートは声を荒げた。唾液の粒が顔面や首にかかって不快な思いをした。
「もう、艦は動くことはなく、このまま沈むかもしれないのに。ロバートは自分の事しか考えられないなんて、悲しいな」