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水深800メートルのシューベルト|第1079話
心臓がバクバクと音を立てていた。息も荒くなってきて、空気の一部しか吸えないような感覚になった。酸素の残量がどうとか艦長は言っていた。もし、大佐の言う事が本当なら、ここで無駄話をしている場合ではないのだ。それなのにこいつは歯を剥き出しにして大きな声をあげる。その様子を見ていると、頭に血流が逆流してくるようだった。ベッドが並ぶ区画に入ると、体を怒りに任せて強くひねり、彼の掴んでいる手を振り解いた。反抗心がムクムクと湧いてきて、少し脅かしてやろうとし思った。
「ロバート、君は何もわかっていないな。僕らはピンチに陥っているってのにさ」
そう言いながら、胸の苦しさに堪えた。彼の目は軽蔑を浮かべ、顔色は紅潮し、再び襟を掴もうとしてきた。