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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2023年11月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第745話

 頭は冴えていて、目を閉じてもいびきが気になって一向に眠くならなかった。眠ろうと目を無理…

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水深800メートルのシューベルト|第744話

僕らはバスに大勢詰め込まれてこの湖までやって来た。バスは次から次へと到着していた。大勢の…

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水深800メートルのシューベルト|第743話

 しかし、僕が大学に行く理由は会計士になることのはずだった。それなのに会計士になる理由は…

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水深800メートルのシューベルト|第742話

僕は、いたたまれなくなって言った。 「いいんだ、ギャングとしてあのチームに入ったことは本…

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水深800メートルのシューベルト|第741話

「もっとも、アシェルは八週間もここに残っていられるとは思えないがな」  ダカーリが今度は…

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水深800メートルのシューベルト|第740話

「君は自主トレーニングをしていたのかい?」  エウヘニオの分別臭い顔は、急に誇らしげで自…

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水深800メートルのシューベルト|第739話

「指示を待たないといけなかったんだろう? 知っているよ」  面倒臭くなってきた。今日一日ずっと体を動かしていたので、早く休みたい。そう思って、相手が話を切り上げてくれるのを願った。 「それは一つだ。命令がないのに勝手な真似はしない」  エウヘニオの言葉は、入隊時から何度も教官たちに訊かされていたことだ。僕は何度も頷いて毛布に手をかけた。 「まだある。お前はわかっていないんだ。やつらは何を恐れているか? 反乱や反抗だ。勝手に人の銃を集めるな。以前陸軍で乱射事件があっただろう

水深800メートルのシューベルト|第738話

「そんなんじゃないよ。罰でトレーニングさせられていたんだ。あの子も一緒に」  僕はぶっき…

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水深800メートルのシューベルト|第737話

「アシェル、馬鹿、こっちだ」  隣のベッドから小声で窘める声がした。改めて声のするベッド…

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水深800メートルのシューベルト|第736話

「言い忘れてたわね。こちらこそ、射撃場で助けようとしてくれたよね。ありがとう。あなたはク…

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水深800メートルのシューベルト|第735話

「僕のママだって、資格さえあれば、きっと一緒に住んでくれたんだ」  僕は、ママを責められ…

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水深800メートルのシューベルト|第734話

「トリーシャも奨学金を貰いに?」 「そうよ。あたしたちみたいな貧乏人が大学へ行こうとする…

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水深800メートルのシューベルト|第733話

 またしばらく彼女は黙り込んだ。僕は何も気の利いたことを言えないのをもどかしく思った。お…

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水深800メートルのシューベルト|第732話

「でも、相手の男は、働かないで酒とヘロインばっかりでさ。気分が乗ってくると暴力振るうし、逃げたの」  その言葉を聞くと、パパのグリーンのトレーラーハウスが脳裏に浮かんだ。うちも同じだよと、言いそうになった。しかし、彼女はこの際吐き出したい話があるようなので、頷くだけにした。 「この国じゃ、大学行かないとブルシットジョブするしかなくて、使い捨てられて終わりなんだよね。あたしのママもピザの配達してたけど、バイクで事故を起こしてすぐクビになっていたし」 「ブルシットジョブ?」