水深800メートルのシューベルト|第741話
「もっとも、アシェルは八週間もここに残っていられるとは思えないがな」
ダカーリが今度は嫌な笑い声を立てた。エウヘニオは頭を下に向けて梯子を下りた。
「すまない。気分が昂っていたんだ。しかし、ここにいる間だけでも仲間として振舞わないか? アシェルに敵意を向けたところで良いことはないぞ」
僕は、体を起こして、ベッドから下をそっと覗いた。エウヘニオは一番下まで降りていた。
「ふん、アシェルがここにいるだけで、許せないだけだ」
「しかし、過去のことだろう?」
エウヘニオは諭すように言った。
「罪も償っていない奴が、時間が経ったら許されるとでも言うのか? なかったことになるとでも?」
ダカーリは声を荒げた。