「言い忘れてたわね。こちらこそ、射撃場で助けようとしてくれたよね。ありがとう。あなたはクラムジーだけど優しいわ。あと六日間頑張りましょう」
そう耳元で囁くと、恥ずかしがった様子でスピードを上げて背中を見せた。僕も、これ以上怒られる口実を作られないよう、慌てて彼女について行った。
トリーシャたちを別れて、三段ベッドが並ぶスペースに戻った。すぐに電灯が消え、部屋の隅にある非常灯のぼんやりした明かりだけを頼りに、自分のベッドを探した。
梯子に手をかけ、一段上って首を伸ばすと、大きな人の塊が毛布の中でうごめいているのが見えた。間違えたのだ。
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