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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2022年8月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第289話

「君の紹介で、一人入隊が決まったんだ。取っとけよ」  そう言われて、チームのボスは紙幣を…

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水深800メートルのシューベルト|第288話

「ほら、これでランチでも食えよ」  ナージフと呼ばれた男は、ズボンのポケットから紙幣を一…

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水深800メートルのシューベルト|第287話

 バーナードがリクルーターだと言っていたその男は、僕の近くに座っているメイソンを見つける…

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水深800メートルのシューベルト|第286話

 この日は歴史の授業だった。これが終わればランチだ。僕は、空腹でだるい体を起こして、暗が…

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水深800メートルのシューベルト|第285話

     (21)  学校に慣れて周りを観察する余裕ができると、朝のバス停や、国旗の下で…

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水深800メートルのシューベルト|第284話

 あと一回曲が流れれば終わる。いや、もう一回かな。このように曲の繰り返す回数で時を計りな…

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水深800メートルのシューベルト|第283話

「アシェル、ふざけないで! タコみたいになっているわよ」  そこで、前のクスクス笑いが大爆笑に変わったので、いたたまれなくなった。  やがて、先生は曲を止めると、生徒を見放したというような口調になった。 「もういいわ! 列に戻って。やる気のない子に使う時間はないの」  そう言って、背中を小突いた。  僕は、背中を押された勢いでよろめきながら、ぽかんと空いた僕のための狭い空間に戻った。  再び曲が始まると、周囲が嘲笑しながら、わざと僕の目の前に手を突き出してきた。先生は、手

水深800メートルのシューベルト|第282話

 先生の左眼がひときわ大きく開いたので、怖くなってとにかく曲に合わせようと懸命になった。…

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水深800メートルのシューベルト|第281話

 先生は、痩せているが筋肉質な体で、常にポジティブに生きていることを自慢するかのように大…

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水深800メートルのシューベルト|第280話

「元気そうね。呼吸が苦しくないなら、教室に戻りなさい」  (ナースがそう言ったので)そこ…

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水深800メートルのシューベルト|第279話

 荒くれもので有名な彼が、僕に何をやらせるつもりだろう? それを考えると不安になった。 …

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水深800メートルのシューベルト|第278話

「倒れたことを言っているのか? いや、アシェルはメイソンが怒っているから、わざと倒れてく…

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水深800メートルのシューベルト|第277話

このままでは、メイソンが怒りだすと思ったのか、彼(バーナード)は話題を変えた。 「相談な…

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水深800メートルのシューベルト|第276話

「親父は、あんな風になったけどよ、小さい時には、毎週キャンプに連れて行ってくれたり、銃やナイフの使い方を教えてくれたりしてくれた。男の理想だったんだ。それをあいつは!」  彼(メイソン)が熱っぽく話すのを、小さく頷きながら聞いていた。 「でもさ、さっきはアシェルが止めてくれて良かったよな。あんな数学教師のお坊ちゃんなんて、街に出りゃ俺たちに身ぐるみ剝がされて終わりだろうけど、な」  バーナードが大きめの声で言うと「シッ!」とメイソンが睨んで止めさせた。 「余計な事を言うん