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水深800メートルのシューベルト|第278話

「倒れたことを言っているのか? いや、アシェルはメイソンが怒っているから、わざと倒れてくれたんだよ、な?」


 バーナードが、商品の丈夫さを証明しようとするように、僕の肩をバンバン叩いて、顔を覗きこんできた。体が揺れて、それだけで再び気分が悪くなりそうで、やめさせるために「あ、ああ」と曖昧に返事をした。


「ふん。変に知恵の回る奴だな。先生を騙すなんてよ」
 メイソンは少しムッとしたようだった。
「でも、助かったことには違いねえし……。そうだな、まずは『見習い』として、俺たちについてきな。いくつか『試験』をやってやるから、それに合格したら、仲間に加えてやるよ」

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