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水深800メートルのシューベルト|第287話
バーナードがリクルーターだと言っていたその男は、僕の近くに座っているメイソンを見つけると、旧友に会った時のような笑顔で彼と目を合わせ、近づくと肩をポンポンと叩いた。
「やあ、ナージフじゃないか、いつまでも旗の下に立たされているのかと心配していたぜ」
メイソンは僕たちに、二人の関係を見せびらかしているように見えた。
「空気の悪いオフィスにいると、気が滅入りそうなんでね。君たち若者のオーラを浴びたくてさ。それに、そろそろ誰かをスカウトしないと、上官に目をつけられる」
旗の下にいる時は、戦場で絶望に打ちひしがれた世捨て人のようだった彼は、現生の楽しみを発見したように浅黒い顔に皺を刻んでクシャクシャの笑顔を見せた。それは、メイソンとフランクな会話を楽しんでいるようだった。