水深800メートルのシューベルト|第279話
荒くれもので有名な彼が、僕に何をやらせるつもりだろう? それを考えると不安になった。
「そう固い顔すんなよ。そうそう、お前午後の選択授業、何を取るんだ?」
午後は、芸術の枠でいくつかの授業から一つは選ばなければならない。
「ダ、ダンス」
「それなら俺たちと一緒だ」
バーナードがメイソンの方を向いた。
「最初のテストはアシェルの踊りをみてからだな。それに合格したら、兄貴の車に乗せてやるよ。ドライブ先で二次試験だ」
メイソンはそう言ってベッドから降りると、振り返ることもなくカーテンを捲って出て行った。代わりにスクールナースが心配して、というよりは早く僕に出て行って欲しいからといった様子で、ベッド脇にやって来た。