「君の紹介で、一人入隊が決まったんだ。取っとけよ」
そう言われて、チームのボスは紙幣をクルクルと丸めて、鼻に入れた。そして、そのままフンフンと嗅いでみせた。
「フレイク(注:コカインのスラング)なんかやるなよ」
ナージフは、にやにやしながら丸めた紙幣を取り上げる真似をした。そこにいる全員がドッと笑い、メイソンも笑いながら金をポケットに入れた。口髭の先生はそれをしかめっ面をして眺めながら、何も言わずにそそくさと出て行った。
「ところで、君の知り合いで大学の奨学金を必要としている奴はいないのか?」
アラブ系の言葉に、メイソンたちは互いを見合った。
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