水深800メートルのシューベルト|第283話
「アシェル、ふざけないで! タコみたいになっているわよ」
そこで、前のクスクス笑いが大爆笑に変わったので、いたたまれなくなった。
やがて、先生は曲を止めると、生徒を見放したというような口調になった。
「もういいわ! 列に戻って。やる気のない子に使う時間はないの」
そう言って、背中を小突いた。
僕は、背中を押された勢いでよろめきながら、ぽかんと空いた僕のための狭い空間に戻った。
再び曲が始まると、周囲が嘲笑しながら、わざと僕の目の前に手を突き出してきた。先生は、手拍子を打ってリズム取りながら、
「そこ、ふざけないで! 出て行ってもらうわよ」
と僕の方を指先で、円を素早く描きながら怒鳴った。