北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮…

北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮」現代詩賞 第十四回・十九回奨励賞、第十八回・優秀賞 ブックショート2015 12月期 、2016 3月 優秀作品等々 問い合わせは、k.haiirosan1222@gmail.comへ

記事一覧

新宿大久保最寄り鬼ごっこの共犯者かたはらの君の名は。

 鬼ごっこがごっこ遊びでなくなる時、ガードレールに座る共犯者は傍観者となる。  存在しない新宿九丁目、片目のミッキーマウスを轢き逃げしたスヌーピースーサイド・ス…

北村灰色
11時間前
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フレームアウト、水星、死亡記事

人身事故に転がる臓器が描く5ch 名もなき999が三連星の行方を嘲笑う マネキンの指先が示す罪の痕跡 丑三つ刻閉店後のような足跡と血痕 剝がれたマニキュアの鮮やかさ 風な…

北村灰色
6日前
7

モノクロのストーリーテラー

――ザザ降り、さざめく余韻と窓際の花瓶 少女の敗血の痕にモノクロの記憶は藻屑と消えた 遭難と死を繰り返す日々は遺された水のような―― 無機質な残数をゲームセンター…

北村灰色
2週間前
18

輪廻と記憶のミルフィーユ

曇天は暁の喧騒を掻き消し 私の線香花火は影に蹂躙された。 1999年、水煙草に封緘した記憶は 瞬く間に火災報知機と裁判の渦中に突き落とし 焼けつくような薄荷色を狂おしい…

北村灰色
3週間前
10

ダガーナイフの寝室

うつらうつらと死の午睡 ゆらりゆらトうたたね ヲ __________ 解体された遺失物 ブランケットの暗い空洞 横たわる匿名、揺らめく蜃気楼 薔薇色の太陽に焦土の嘆き…… ―…

北村灰色
3週間前
10

下北沢エレジー≒ポエジー

 烈夏の日曜日、ポエトリーフェス下北沢「詩で自由になりやがれ」に参加させて頂きました。  数年前と変わらない下北沢の街の様相、蜃気楼の様に揺らめく喧騒、入り口の…

北村灰色
1か月前
12

明晰夢と茜時の表象

崩れかけた境界線の障子の向こう 紫陽花の幾何学炎が 亡骸を抱擁し続ける畳を柔らかに葬る 渇いた発破音 通りすがる揚羽蝶に彩られて ――色褪せゆく血管すら 清廉なる青…

北村灰色
1か月前
11

誰もいない水彩画

桜花のような心臓爆ぜて 静脈/動脈が織りなす瞬冷の花火は 哀画を柔らかに染めてゆく 彼方の狂った柱時計 歪にひび割れた季節 うしろのしょうめんと匕首 障子濡るる渇きき…

北村灰色
1か月前
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地下鉄、血漿散る水無月

地下鉄、階下に横たわる海柘榴 声にならぬ声がへばりつく39面 奇数を刻む段数の末路に 偶数はそっと唇を噛みしめる 暴かれたハイヒールの行方 紅に濡れた花片は艶めかしく …

北村灰色
1か月前
12

百日紅四二八七

猿の頚動脈絡まる汽笛の悲鳴 潰れた咽喉から滲む着色料 百日紅誤読重ね薄ぼんやりした視界と 赫のスカート散らばる轢死体 「わたし」の敗血と罪に染まる手すら この世界を…

北村灰色
2か月前
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Broken Silence

――目が覚めると、世界は静寂を喪っていた。  オルゴールが永遠と鳴り響くメリーゴーランド、輪廻の果てに地上は見えず、視界を切り刻むのは、鳥たちが無垢に飛び交う碧…

北村灰色
2か月前
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9月のリプレイは存在しない

6〜7月半ばで良い感じに描けた原稿用紙詩画を詩と共に上げてみる。あと、次なる詩画のアイデアについて少し。 凍土に眠る海塩、死、アイスクリームの季節 彼方蜃気楼揺ら…

北村灰色
2か月前
5

上毛かるたと鬼ころしと――

 土曜日は前橋アートスープにおける「詩人と手紙展」の朗読会だった。  共演者や関係各位、観に来て下さった皆様ありがとうございました。 セトリは、 1、ポストに刻まれ…

北村灰色
2か月前
12

サンキューzinphony&告知

 レベルブックス@rebelbooksjpにおける、6月29,30日のZINPHONY @zinphony_infoに初参加しました。 俺の「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』は持参した半数、10…

北村灰色
3か月前
11

初詩集を販売します

俺の原稿用紙詩画集『灰色ノ指先』を、zineのイベントである『zinphony』において、出展販売させて頂きます。 価格は500円で、全篇フルカラー且つ手触りや質感の好い紙を使…

北村灰色
3か月前
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網膜のゾアとアスピリン

白磁散りばめられし水色に 瞬冷の秋は微かな暖かみを帯びて 全ての風葬された遺体に 無垢なる祈りを捧げる ――無表情の海抜39.9が ア_オの無い頸動脈を引き裂こうとも――…

北村灰色
3か月前
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新宿大久保最寄り鬼ごっこの共犯者かたはらの君の名は。

新宿大久保最寄り鬼ごっこの共犯者かたはらの君の名は。

 鬼ごっこがごっこ遊びでなくなる時、ガードレールに座る共犯者は傍観者となる。
 存在しない新宿九丁目、片目のミッキーマウスを轢き逃げしたスヌーピースーサイド・スクワッド、金属バットから立ち昇る近隣憎悪は線香フレーバーだと、あの日の回覧板には記されていた。
 ××三丁目××三丁目〜の無機質なアナウンスが残響するたびに、八割方の乗客がスマートフォンを紛失する。残りの2割は偶数の喪失と共にスポニチアネッ

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フレームアウト、水星、死亡記事

フレームアウト、水星、死亡記事

人身事故に転がる臓器が描く5ch
名もなき999が三連星の行方を嘲笑う
マネキンの指先が示す罪の痕跡
丑三つ刻閉店後のような足跡と血痕
剝がれたマニキュアの鮮やかさ
風なき世界、静脈のように揺れる電線
動脈の様にうねる縊死体嗤えば――
――これは真相の記憶? それとも、夢?
夕日に突入する白目の旅客機
奇数の暗翳、彼方揺れる火影に
柑橘の爆炎イロ鮮やかなるまま――
やがて炭化するこの季節を
渇きゆ

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モノクロのストーリーテラー

モノクロのストーリーテラー

――ザザ降り、さざめく余韻と窓際の花瓶
少女の敗血の痕にモノクロの記憶は藻屑と消えた
遭難と死を繰り返す日々は遺された水のような――
無機質な残数をゲームセンター或いは、
愛亡きふりをする愛という憎悪の片隅で
壊れた目のまま粉砕するみたいだ。
さあ、雨音鳴るままに____
閉ざされたベッドにカッターナイフを突き刺せば
今にも欠落しそうな爪と瞳から零れ落ちる
「理由なき理由」は今日もまた偏頭痛を催し

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輪廻と記憶のミルフィーユ

輪廻と記憶のミルフィーユ

曇天は暁の喧騒を掻き消し
私の線香花火は影に蹂躙された。
1999年、水煙草に封緘した記憶は
瞬く間に火災報知機と裁判の渦中に突き落とし
焼けつくような薄荷色を狂おしいと嘯く
然し、奇数の鮮やかな殺人と菜食主義者は
どうしても紫の円卓を回すことがない
灰燼と帰したレタス、蕃茄ノ血小板
周回遅れのグラスは褪せゆく『泡沫の日々』
――微笑__片隅に忘れられたワインから香る
紅色の家庭崩壊と孤独の兆しを

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ダガーナイフの寝室

ダガーナイフの寝室

うつらうつらと死の午睡
ゆらりゆらトうたたね ヲ __________
解体された遺失物
ブランケットの暗い空洞
横たわる匿名、揺らめく蜃気楼
薔薇色の太陽に焦土の嘆き……
――鳴らない目覚まし時計、屍の敗血
暗幕に閉ざされし部屋
暗渠に浸されたベッドには
揺らめくダガーナイフを携えた少女が
佇んでいたような気がして――
蒼白のワルツにヒジャブが被さり
世界は瞬く間に不協和音に浸されてゆく

「_

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下北沢エレジー≒ポエジー

下北沢エレジー≒ポエジー

 烈夏の日曜日、ポエトリーフェス下北沢「詩で自由になりやがれ」に参加させて頂きました。
 数年前と変わらない下北沢の街の様相、蜃気楼の様に揺らめく喧騒、入り口の狭いヴィレッジヴァンガードの蒼は記憶よりも少しばかりくすんで……
 会場の北沢タウンホールには初めて訪れたのだけれど、内部の建築構造が好きな感触で、再び訪れてみたい場所だった。
 詩のみならず様々な表現の展示や多種多様なオープンマイクが披露

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明晰夢と茜時の表象

明晰夢と茜時の表象

崩れかけた境界線の障子の向こう
紫陽花の幾何学炎が
亡骸を抱擁し続ける畳を柔らかに葬る
渇いた発破音 通りすがる揚羽蝶に彩られて
――色褪せゆく血管すら
清廉なる青の熱病を湛えたままだった
造花の彼岸花香りたつ雨暁
薬指の標本に収斂されし紫色素は
匿名の指輪に色づけをする
右三半規管の歪な解体
鈍色の刃先が水音に浸された時
此処には血を流す君と
左手を血で洗う貴女しかいないから……
(明晰夢と茜時

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誰もいない水彩画

誰もいない水彩画

桜花のような心臓爆ぜて
静脈/動脈が織りなす瞬冷の花火は
哀画を柔らかに染めてゆく
彼方の狂った柱時計
歪にひび割れた季節
うしろのしょうめんと匕首
障子濡るる渇ききった春雨
唯、雨にうたれた私には涙すらなく
――色__イロに拐かされた景色は
藍毒と狂った夢を火薬樽に巻きつけて
翠雨に水没せし校庭と遺失物
隠匿されし背景は淡い血痕滲ませて、混迷__
「身を投げた靴音」
屋上と傍観者の飛行機雲
砕け

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地下鉄、血漿散る水無月

地下鉄、血漿散る水無月

地下鉄、階下に横たわる海柘榴
声にならぬ声がへばりつく39面
奇数を刻む段数の末路に
偶数はそっと唇を噛みしめる
暴かれたハイヒールの行方
紅に濡れた花片は艶めかしく
階上の紙煙草を静脈血で浸せば
忌避すべき喧騒も
モノクロームの靴音も
きっと柔らかに消え去ってしまうから――
白黒を染めるのはいつも、
被害者じみた殉教者の血だって
記憶を彷徨う子供たちは贖罪の砂場に
「彼」と(彼女)を埋めていた

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百日紅四二八七

百日紅四二八七

猿の頚動脈絡まる汽笛の悲鳴
潰れた咽喉から滲む着色料
百日紅誤読重ね薄ぼんやりした視界と
赫のスカート散らばる轢死体
「わたし」の敗血と罪に染まる手すら
この世界を打擲する痛絶に意味を喪い
形而上/形而下の境界線も失い……
みずいろの陰翳に白磁の紅色が浮游する
決して傷むことのない水
決して塞がることのない傷
絆創膏の救命艇が足掻くままに
刹那の記憶すら__やがて柔らかに薄れて
この先が致命傷にな

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Broken Silence

Broken Silence

――目が覚めると、世界は静寂を喪っていた。
 オルゴールが永遠と鳴り響くメリーゴーランド、輪廻の果てに地上は見えず、視界を切り刻むのは、鳥たちが無垢に飛び交う碧色の空だけ。
 灰色の路上、裸足の花売り、裸のマッチ売り。
 此処には枯れゆく心、焦げつく足に祈りなどなく――人々は殺意に酔い痴れた車の下敷きになっても尚、その手に握り締めた造花を手放すことはない。
 淫らに散らばる花弁のような、或いは雪の

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9月のリプレイは存在しない

9月のリプレイは存在しない

6〜7月半ばで良い感じに描けた原稿用紙詩画を詩と共に上げてみる。あと、次なる詩画のアイデアについて少し。

凍土に眠る海塩、死、アイスクリームの季節
彼方蜃気楼揺らぐ 戦火 摂氏の花花
均一なる文字とパズルゲームが終幕して
色めき立つモノクロは意味を喪う
遺された硝子越しの現 33面以降の世界
眠り百合は解剖され、青い屋上が赫に染まる
リキュールの錠剤 実体のない鬼
鋼鉄の朝が引き裂く白いワンピー

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上毛かるたと鬼ころしと――

上毛かるたと鬼ころしと――

 土曜日は前橋アートスープにおける「詩人と手紙展」の朗読会だった。
 共演者や関係各位、観に来て下さった皆様ありがとうございました。
セトリは、
1、ポストに刻まれた記憶
2、13度以上14度未満(鬼ころし短編小説)
3、蝶を夢む(萩原朔太郎のカバー)
4、上毛かるた
(高砂部屋もといアートスープでの独り相撲ver.)
 変に弛れずに持ち時間きっちり、変幻自在且つ起承転結が終始キマっていたのもあっ

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サンキューzinphony&告知

サンキューzinphony&告知

 レベルブックス@rebelbooksjpにおける、6月29,30日のZINPHONY @zinphony_infoに初参加しました。
俺の「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』は持参した半数、10冊の内5冊が売れた。
 30日は搬出時間より早く訪れ、他の方の作品を読んだり、場の雰囲気を味わっていたのだけれど、その時に目の前で『灰色ノ指先』を手にとって読んで買ってくれた方が。
 俺からフラン

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初詩集を販売します

初詩集を販売します

俺の原稿用紙詩画集『灰色ノ指先』を、zineのイベントである『zinphony』において、出展販売させて頂きます。
価格は500円で、全篇フルカラー且つ手触りや質感の好い紙を使用しています。
是非会場にお越し頂き、北村灰色の独創性や、オルタナティブな感覚に充ちた「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』を手にとって頂ければ、本当に幸いです。

以下、イベント概要。
【ZINPHONY】

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網膜のゾアとアスピリン

網膜のゾアとアスピリン

白磁散りばめられし水色に
瞬冷の秋は微かな暖かみを帯びて
全ての風葬された遺体に
無垢なる祈りを捧げる
――無表情の海抜39.9が
ア_オの無い頸動脈を引き裂こうとも――
死を柔らかにいざなうモルヒネの笑み
炭化したアブサンの残り香
12月の空席/拐かされし太陽
オレンジ轢断した罪と罰の断片
網膜に浮游する春雷の幻惑
鼓膜に降る雨に、誰も傘を差しだすことは無く……
左手の機密、寝台の裏表とコイント

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