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輪廻と記憶のミルフィーユ

曇天は暁の喧騒を掻き消し
私の線香花火は影に蹂躙された。
1999年、水煙草に封緘した記憶は
瞬く間に火災報知機と裁判の渦中に突き落とし
焼けつくような薄荷色を狂おしいと嘯く
然し、奇数の鮮やかな殺人と菜食主義者は
どうしても紫の円卓を回すことがない
灰燼と帰したレタス、蕃茄ノ血小板
周回遅れのグラスは褪せゆく『泡沫の日々』
――微笑__片隅に忘れられたワインから香る
紅色の家庭崩壊と孤独の兆しを
注射器と地下室のような十代を
宿酔のスクリーンはモノローグを伴って映しだす
――燃えあがる二輪に挟まる猟犬の痕
新緑踏み荒らした猫の無邪気――
横たわる老爺とセブンスター 
灰色の日陰、疲れ切った紫煙、死の足音……
瞼の裏に映る世界が奇麗だとあの日言わなければ、
青ざめたシーツは汚れることはなかったのにね。
そう、心の格子から視た世界はいつも蒼雲。

私は嬉々とする幼女が抱く時限爆弾に、
落堕なスヌーピーの睡魔を捧げたい!
大人はすべての絶夏を黙認して
その熱病に吊られた腐敗すら
希望に充ちたゲームの中盤であるからと嘲笑う
虚ろな笑み、空白の日傘の茜色
これが始まりなら、彼らはきっと______
花瓶と悲鳴、調剤並ぶ薬局に問われた
「あなたのむかうべきばしょは?」

記憶に重ねられた4のミルフィーユ
溶けゆくアイスキャンディたちは
いつかの夢に現れた天使の片腕を思いだす度に
あの黒い太陽への憎しみを再燃させる
バスケットボールと首を誤る意味
スナッフ・フィルムを求める長蛇の列
機械的な審判が掻き鳴らす静かな警告に
繰り返す(本日の晴天)は真っ赤に充血した
――此処に最期に立っていたのは
私の翳すダガーナイフの揺らめきだったことを
「わたし」は今日も忘れてしまうから――

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