たくま 産科医パパ

産婦人科専門医,周産期専門医/一児のパパ 本来楽しいはずの育児で苦しむ人を1人でも減ら…

たくま 産科医パパ

産婦人科専門医,周産期専門医/一児のパパ 本来楽しいはずの育児で苦しむ人を1人でも減らすこと、パパの妊娠期からの育成をモットーに発信します。妊娠を考えたら是非旦那さんに読んでもらってください!

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本来楽しいはずの育児で苦しむ人を減らしたい〜産科医パパとしての発信〜Note始めました

キャリアブレイクを選択した訳「危なかった」 生ぬるいお風呂の中で冷や汗が出た瞬間でした。仕事でどっと疲れた中で、子供をお風呂に入れている時にふと意識が遠のいてしまっていました。 初めて子供と過ごすクリスマスの日は夜勤明け。気が付いたら睡魔に襲われ子供の横で寝てしまっていました。 「自分は父親として何をやっているのだろう」 子供の笑顔を見る度に逆に心苦しくなることがありました。 「本来楽しいはずの育児が、なんでこんな気持ちになってしまうのだろう」 それは私だけではありませ

    • お腹の中の赤ちゃんが小さい。パパとママ二人で共有すべき危険性。

      お腹の中の赤ちゃんが小さいってどういうこと? 妊婦健診で、「お腹の中の赤ちゃんの体重は何グラムですよ」と言われますよね。 どうやって体重を計測しているかご存知ですか? 「赤ちゃんの頭の大きさ、お腹周りの大きさ、足の骨の長さ」から、赤ちゃんの体重が推定出来る計算式というものが存在します。 それらを超音波で測定することで、お腹の中の赤ちゃんの体重を計算しています。 妊娠週数毎に、これくらいの体重であれば成長が順調ですよという目安があります。 例えば、妊娠30週の赤ちゃんの平

      • 流産はパパが原因でも起こりうる。流産した時にパパが出来る事とパパの支援。

        流産とは? 流産とは妊娠22週未満でお産になってしまうことを言います。 特に妊娠12週未満の流産を初期流産と言って、ほとんどが初期流産です。 妊娠がわかっても約15%が流産となるため、どの夫婦でも経験する可能性があります。 流産の原因と不育症について 初期流産の80%は、受精の段階で偶然起きてしまった染色体異常が原因とされています。 つまり、ママに何か病気があるから、ママが何かしたからという訳ではなく、偶然起きてしまった赤ちゃん側の原因なのです。 しかし、流産を

        • パパが買うべき血圧計。妊娠高血圧症候群について知る。

          パパから見た妊娠高血圧症候群 (夫)高血圧って太ってて生活習慣が悪い人がなるやつでしょ。うちの妻は大丈夫だよ。 →妊娠高血圧症候群は、誰でもなる可能性があります。痩せていて食生活を気にかけている人でも起こります。 (夫)うちの妻高血圧あるみたいだけど、妊娠してから血圧落ち着いている見たいだから大丈夫だな。 →一般的に妊娠中は一旦血圧が下がります。後半にかけて再度上がってくるので油断はできません。 (夫)妊娠高血圧って言われた!? 減塩減塩!運動もしなよ! →食生活の

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        本来楽しいはずの育児で苦しむ人を減らしたい〜産科医パパとしての発信〜Note始めました

          パパが気を使うべき食事。妊娠糖尿病について知る。

          (夫) 今日仕事で遅くなるからご飯待ってて。 (夫) 締めのラーメン食べに行こう! 妊婦さんの奥さんにこんなこと言ってないでしょうか? 旦那さんは妊婦さんの食事時間や内容に気を使う必要があります。 そしてもし奥さんが「妊娠糖尿病」になってしまったら、特に食事のことを気に掛けてください。 妊娠糖尿病って何? 妊娠中に初めてわかる糖代謝異常と定義されています。 糖代謝異常って何でしょうか。 糖代謝とは、食べた糖を体のエネルギーに変える働きのことです。 インスリンと言う

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          パパも知るべき切迫流早産。突然そして長期の入院。

          (夫) え!?今日から入院?? 今朝なんともなかったのにいきなりすぎない?? →切迫流早産では無症状であっても、妊婦健診きっかけで突然入院になる場合があります。 (夫) 入院してもう2週間も経つけど。まだ入院するの? →切迫流早産では時に長期の入院が必要になります。場合によっては数ヶ月入院することもあります。 (夫) こんな早い週数で手術?? 帝王切開以外に手術することあるんですね。 →切迫流早産では手術が必要になる場合があります。特に前回のお産で早産になった人は手術に

          パパも知るべき切迫流早産。突然そして長期の入院。

          性教育におけるパパの役割を考える

          学校では教えてくれない性教育 中学生になると本格的に性教育が始まりますが、カリキュラムを見てみると、内容は妊娠の仕組みと性感染症(エイズだけ)だけで、まだまだ不十分だと感じます。 産婦人科医からすると、妊娠した場合どのような経過を辿るのか、どれくらい妊娠出産が大変なものなのか、初めての性交渉前にワクチンを打つことが望ましいこと、具体的な避妊方法、万が一望まない妊娠をした場合に助けを求める手段は?などなど、中学生のうちから知ってほしいことは山程あります。 若くして望ま

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          パパにも迫り来る産後うつ。「孤立」を防ぐためにできること。

          パパの産後うつのリスクはママと同じ!? 産後うつなどのメンタル不調で苦しんでいるのは、ママだけではないことはご存知でしょうか。 国立成育医療研究センターの研究結果によると、産後1年以内にメンタル不調のリスクがあるパパは11%であり、ママと同程度のリスクがあります。 今やママだけでなく、パパにも起こりうる産後うつについて真剣に考える必要があります。 パパの産後うつの原因を考える ① 社会の問題 ママの産後うつや少子化の問題が注目される中で、パパの育休推進が社会的な

          パパにも迫り来る産後うつ。「孤立」を防ぐためにできること。

          パパもするべきブライダルチェック。急増する梅毒感染

          ブライダルチェックとは? ブライダルチェックとは、結婚や妊娠を前に、妊娠しやすいかどうか、妊娠や出産に影響を及ぼす病気にかかっていないか等を調べる検診です。 今や女性だけでなく男性も行うべきと考えます。 例えば旦那さんが、妊娠前に風疹の抗体を調べワクチンを打つことは、先天性風疹症候群という赤ちゃんの風疹感染を防ぐ目的で非常に重要です。 ブライダルチェックをする目的は、風疹の抗体を調べるだけではありません。 旦那さんが無症状で性感染症を持っていた場合、妊娠後の性交渉で

          パパもするべきブライダルチェック。急増する梅毒感染

          パパとママ二人で話し合うべき「出生前検査」

          出生前検査の特殊性 ママ「出生前検査どうしようかな?」 パパ「高齢だし心配だからやっとけば?」 そんな会話で出生前検査をするかどうか決めていないでしょうか? 出生前検査の特殊性を理解していますか? 例えば、熱が出て病院に行く場合、医者がインフルエンザなどの検査を勧め、検査結果によって薬の処方をするかなど方針を医者が決めます。 しかし、出生前検査は違います。 出生前検査という検査をするかどうかを夫婦が決めて、検査結果によってどのような判断をするか夫婦で決めます。

          パパとママ二人で話し合うべき「出生前検査」

          つわり中パパが出来ること。二人で乗り越えるべき最初の壁

          つわりとは 妊娠の初めに多くの妊婦さんが経験する症状です。 妊娠のホルモンの変化が原因で、気持ち悪くなったり、吐き気などの症状があります。 起床時やお腹が空いている時に症状が強く出ることが多く、匂いで気持ち悪くなってしまうこともあります。 食べ物の嗜好として、今まで好きだった食べ物が食べられなくなったり、逆に普段はあまり食べないものが食べたくなったりします。 いつ頃おこる? 早いと妊娠6週頃から始まって、妊娠12週-16頃に治ることが多いです。 妊娠6週という

          つわり中パパが出来ること。二人で乗り越えるべき最初の壁

          産後すぐにパパが必要な理由〜心編〜

          産後1年以内の死亡の原因第1位が自殺 産後1年以内でお母さんが亡くなってしまう原因の第1位が「自殺」です。 年間50人以上のお母さんが出産後1年以内に自殺しています。 自殺をした多くの方が「精神疾患」つまり心の病を持っていました。 その中でも、特に有名なのが「産後うつ」です。 産後うつとは? 産後に気持ちが落ち込み、楽しいことも楽しいと思えない、物事に対する興味がない状態がほとんど毎日、数週間以上続く状態です。 他にも食欲がなくなり体重が減ったり、不眠や過眠など

          産後すぐにパパが必要な理由〜心編〜

          パパが立ち会うべき出産。妊産婦死亡第1位の出血について

          産科医としてパパに言いたいことがあります。 それは「お産に立ち会ってほしい」ということ。 妊婦さんは命懸けの戦いをしている 「妊産婦死亡」という言葉をご存知でしょうか? これは、妊娠中または産後42日までに妊婦さんが亡くなってしまうことを指します。 つまり健康であったお母さんが、妊娠をきっかけに命を落としてしまうということです。 周産期医療の発展に伴い妊産婦死亡は低下しているものの、最近では下げ止まりです。 日本では毎年30-40人の妊婦さんが命を落としています。 世

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          パパが絶対に禁煙するべき理由

          こんにちは。もうすぐ2歳になるやんちゃ息子を持つ産科医パパです。 現在キャリアブレイクし育児に奮闘中。 本日は妊娠とタバコについて書きたいと思います。 夫が禁煙しなくてはいけない理由 妊娠中のタバコは良くないということはご存知かと思います。 ここで強調したいのが、妊婦さん自身が吸うだけでなく、旦那さんが吸ったタバコの副流煙を吸ってしまうこと(受動喫煙)も同様に害となります。 副流煙は妊婦さん、ひいてはお腹の中の赤ちゃんに害があります。 産後であっても、奥さんや赤ちゃん

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          産後すぐにパパが必要な理由〜体編〜

          産後すぐの体には不調がいっぱい 産後うつってよくニュースとかで目にします。 産後は奥さんのメンタルだけ気をつけておきます。 甘いです!!!! 産後はメンタルだけでなく体にもたくさんの不調が出てきます。 体の不調をわかってこそ一人前の旦那さんです。 痛み 私が経験した訳ではないので偉そうなことは言えませんが、多くの褥婦さんを診てきた経験から言うと、めちゃくちゃ痛そうです。 産後の病棟では、痛すぎて歩けず歩行器や車椅子を引いているケースなんてざらにあります。 痛す

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          パパが必ず打つべき風疹ワクチン

          風疹って何? 風疹とは風疹ウイルスによる感染症で、熱が出たり皮膚にポツポツが出る発疹などが特徴的です。 風疹には流行があり、直近では2012-2013年、2018年が流行年でした。 様々なウイルスの感染症がある中で、妊娠中に風疹にかかることを絶対に避けたい理由があります。 それは妊婦さんが感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症する可能性があるからです。 先天性風疹症候群って何? 先天性風疹症候群とは妊娠中に風疹に感染することによって起こる赤ちゃんの病気で、心臓

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