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産後すぐにパパが必要な理由〜体編〜



産後すぐの体には不調がいっぱい

産後うつってよくニュースとかで目にします。
産後は奥さんのメンタルだけ気をつけておきます。

甘いです!!!!

産後はメンタルだけでなく体にもたくさんの不調が出てきます。
体の不調をわかってこそ一人前の旦那さんです。


痛み

私が経験した訳ではないので偉そうなことは言えませんが、多くの褥婦さんを診てきた経験から言うと、めちゃくちゃ痛そうです。

産後の病棟では、痛すぎて歩けず歩行器や車椅子を引いているケースなんてざらにあります。
痛すぎて歩けないってなかなか経験しませんよね。

お産の痛みはよく聞きますが、産後もまだ痛いんです。

特に初めてのお産では、会陰切開といっておしもにハサミを入れることが多いため、痛みがより強いです。
しかもそこを糸で縫っていきます。
通常溶ける糸で縫うので抜糸はありません。
ということは、しばらくの間縫われている突っ張り感が残るのです。

私自身、産後4-5日目に退院前の診察を行なっていますが、その時点で痛みがない人はほとんどいません。
痛み止めも上限いっぱい山盛り出すことも多いです。

その状態で家に帰ることになるのですから、そりゃ大変ですよね。

特に帝王切開でお産になった人はより痛みが強いと言われています。
10cm以上の傷がお腹にあるのですから当然ですよね。
男性の皆さんは、切腹をするって考えてください。
私は気絶しそうになります。

また傷の痛みだけでなく、産後は腰や肩など全身の痛みがあります。
何十時間も全身を使って息むのですから、代償は本当に大きいです。

こんな状態で家事、育児してくださいって言われても難しいのはわかりますよね。
家事全般、特に力が必要なものは旦那さんが必ずやってあげてください。


出血

悪露と言って、産後はしばらく出血が続きます。
1ヶ月健診で出血が続いても、少量であれば異常ではありません。

しかし、時に子宮に溜まっていた出血が固まりとしてドバッと出たり、稀に胎盤が子宮の中に残っていて、大量に出血することがあります。

出血が止まらない場合には、子宮の中をきれいに取り出す処置や放射線治療、最悪の場合子宮を取る手術が必要になります。
出血が続いていると命に関わる場合があるため、通常これらの処置は緊急で行います。

出血が続くと貧血も進みます。
ただでさえお産によってたくさん出血し貧血があるのに、産後に出血が続く場合にはさらに貧血が進んでしまいます。
貧血が進むと体がフラフラになり、動悸やめまいなどの症状も伴うことがあります。

産後の大量出血は予測できないことも多く、そんな状態で家で一人でいたらどうなるでしょう。

家にいてあげるだけでも旦那さんの仕事です。
そして先ほども言いましたが力仕事は極力避けてあげてください。


便秘

便秘なんで日常茶飯事だよと思っていませんか?
産後の便秘は本当に辛い

数日なんてもんじゃなくて、1週間以上便が出ないなんてざらにあります。

お腹がパンパンに張って痛みもあるし、産後でエネルギーを取らなくてはいけないのに食欲も出ません。

なぜ産後はこんなに便秘になりやすいのか?
産後の貧血に対して鉄のお薬を処方することが多いのですが、この鉄剤が便秘を助長してしまうのです。
また痛みもあって息むのが怖いため、それも便秘を助長してしまいます。

旦那さんが日常的に経験している、数日便が出ないだけの便秘とは訳が違うと思っていてください。
消化の良いものを奥さんに作ってあげるだけでも喜ばれると思います。


乳腺炎  

おっぱいが張って痛みや赤みが出てきます。
痛くて痛くて仕方ないのに、そんな状態で熱も40度近く出ることが多いです。
インフルエンザなどで高熱を経験したことがある人ならわかりますが、40度近い高熱って本当に辛いですよね。

乳腺炎になるということは、母乳の分泌がうまくいっていない場合が多いです。
産前に母乳の重要性を何度も何度も教えられたので
「母乳をあげたい。でもあげれない。。。 」
メンタルにもグッときそうですよね。

おっぱいを上手くあげるのには時間がかかるため、乳腺炎は産後数日から数週間の間は特に起こりやすいです。

悪化すると抗生物質を飲んでもらったり、おっぱいに膿ができてしまって、メスを入れて取り除く処置が必要になることもあります。

完全母乳で行くと決めた夫婦でも、そんな時はミルクに頼らざるを得ません。
旦那さんはミルクの作り方は学んでおきましょう。
                    

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠を契機に血圧が上がってしまい様々な合併症をきたす怖い病気です。

実は産後に初めて発症する場合もあります。

何が怖いって、その合併症なんです。

①子癇発作
痙攣が起きます
文字で書くとそんなものかと思ってしまうかもしれませんが、一度見るとこれは大変なことが起きていると思います。

目は上を向き、手足をガクガクさせて、呼びかけにも反応しません。
痙攣を止めないと脳に障害が残ってしまう場合もあります。

子癇発作が起こる前には、頭痛や目がチカチカする症状が出ることがあると言われています。


②脳出血
急激な血圧の上昇で脳出血が起こり、手足の麻痺など後遺症が残ってしまう場合があります。
頭痛などの症状を伴う場合もありますが、血圧が高いだけで前兆なく突然起こる場合も多々あります。


③HELLP症候群
血液の中の赤血球が壊れ貧血が進んだり、血を止めてくれる血小板が減って出血が止まらなくなったりします。
また肝臓などの臓器にダメージを受けることがあります。

症状としてはみぞおちの痛みや吐き気などがあります。


①〜③の主要な合併症について述べましたが、これらの合併症によって、最悪の場合亡くなってしまう場合があるのです。

妊娠中や産後の入院時に血圧が高かった人は、自宅で血圧を測るように指導されます。
血圧計は必ず買って、医師の指示通りに測定するようにしてください。

旦那さんは、奥さんの血圧や症状に敏感になってあげてください

絶対に病院に連れて行くべき赤信号を覚えて!!

上の血圧が160以上または、下の血圧が110以上の場合は赤信号です。
奥さんを今すぐに病院に連れて行ってください。

先ほどの合併症でも述べましたが、頭が痛い、目がチカチカする、みぞおちが痛い、気持ち悪いなどの症状が伴う場合には、血圧に限らず注意すべき兆候です。
奥さんを今すぐに病院に連れて行ってあげてください。


その他の感染症や膠原病の悪化


ざっと主要なことだけを述べましたが、
その他にも子宮内膜炎、膀胱炎など感染症のトラブルも起こりやすくなります。

子宮内膜炎であればお腹の痛みや熱、膀胱炎であればおしっこをする時の痛みや頻回のトイレなどの症状を伴います。


また、奥さんがリウマチなどの膠原病(自分の細胞が暴走して自分自身を攻撃してしまう病気)を持っている場合には、産後に悪化することが知られています。
多くの膠原病は、妊娠中は症状が落ち着き、産後に悪くなるケースが多いのです。

特に多い関節リウマチという病気では、関節の節々に痛みを伴います。
節々に痛みがあると家事、育児にとっても負担がかかります。


まとめ


産後の体の不調についてわかって頂けたでしょうか。
ここで追い討ちをかけるようですが、マタニティーブルーなどの心の問題が起きやすい時期も一緒です。

体と心の問題が一緒に起こる
と考えると想像を絶しますよね。
(心の問題についてはまた別で詳しくお話ししたいと思います)


旦那さんには、「産後は奥さんは体がボロボロ、できることはなんでもやる」という強い気持ちを持って欲しいと思います。

また産後には命に関わる怖い病気もあるので、旦那さんも病気について学び、何か異変があればすぐに病院に連れて行ってあげて欲しいです。



これだけ覚えておいて!!


① 産後の痛みは傷だけでなく全身です。初産婦、帝王切開でのお産では特に痛みが強いです。旦那さんは家事全般やってください。

② 産後少量の出血は問題ありませんが、大量出血の場合には緊急処置が必要になる場合があります。旦那さんは家にいてあげてください。

③ 産後は薬や痛みの影響で便秘になりやすいです。旦那さんは消化の良い物を作ってあげてください。

④ 乳腺炎は痛みや熱を伴います。母乳をあげれなくなることもあるため、旦那さんはミルクの作り方を学んでおいてください。

⑤ 妊娠高血圧症候群は産後に初めて発症することがあります。
血圧160/110以上、頭痛、目がチカチカ、みぞおちの痛み、吐き気などの奥さんを病院に連れて行くべき赤信号を覚えておいてください。


2024/8/23時点のエビデンスを元に作成しています。

今回産後の体についてまとめましたが、心については別の記事でまとめていますので、読んでもらえると嬉しいです。

これからも妊娠、出産、育児に関連する記事を書いていきますのでスキまたはフォローして頂けますと幸いです。
宜しくお願い致します。





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