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パパもするべきブライダルチェック。急増する梅毒感染



ブライダルチェックとは?

ブライダルチェックとは、結婚や妊娠を前に、妊娠しやすいかどうか、妊娠や出産に影響を及ぼす病気にかかっていないか等を調べる検診です。
今や女性だけでなく男性も行うべきと考えます。

例えば旦那さんが、妊娠前に風疹の抗体を調べワクチンを打つことは、先天性風疹症候群という赤ちゃんの風疹感染を防ぐ目的で非常に重要です。

ブライダルチェックをする目的は、風疹の抗体を調べるだけではありません。
旦那さんが無症状で性感染症を持っていた場合、妊娠後の性交渉で妊婦さんに感染させてしまうかもしれません。

そして性感染症の中には、胎盤を通じて赤ちゃんに感染が及んでしまい、重篤な合併症を引き起こすものがあるため注意が必要です。

赤ちゃんに非常に怖い合併症を引き起こし、近年急増している感染症をご存知でしょうか。

それは「梅毒」です。


梅毒とは?

梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こる性感染症です。
性行為で粘膜や皮膚の小さな傷から感染します。

感染するとしばらくしてから、性器や肛門にしこりができたり、全身にポツポツが現れたりします。
ここで注意が必要なのが、しこりやポツポツは痛みなどの症状がないことが多いということです。
そして、特に治療をしなくてもこれらの症状は勝手になくなります。

しかし症状がなくなっても治ったわけではなく、性交渉の相⼿に感染させてしまいます。
性器同士だけでなく、オーラルセックスでも感染します。

また、梅毒感染を治療せずに放置すると、脳や心臓に重大な合併症を引き起こすことがあります。


急増する梅毒感染

時事ドットコムニュース【図解】梅毒患者報告数の推移

近年、梅毒感染が右肩上がりで急増しています。
都市部の繁華街だけでなく、今や地方都市でも増加傾向にあります。

女性では特に10-30歳代に流行のピークがあります。
つまり妊娠を考えている⼥性の年齢と⼀致しているのです。

それに伴い妊婦さんの梅毒感染も増えています。
梅毒は妊娠中に感染すると、胎盤を通じて赤ちゃんに感染してしまう恐れがあります。


先天梅毒とは?

妊娠中に梅毒に感染し、お腹の赤ちゃんに感染してしまうことです。
先天梅毒では、お腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまったり(胎児死亡)、早く産まれてしまったり(早産)します。
妊娠初期の梅毒感染で、約40%も胎児死亡に至るという報告もあります。

また、出生直後は無症状であることがほとんどですが、生後3ヶ月以内にポツポツや鼻炎などの症状が出てきます。
その後、年を重ねるごとに骨の痛みによって関節が動かせなかったり、発育不良や知的障害、難聴など多岐にわたる症状が出ることがあります。

産まれてから、赤ちゃんのうちに亡くなってしまう(新生児死亡)こともあり、非常に怖い病気です。


妊娠中に梅毒がわかったら?

妊婦さんは全員、妊娠初期に必ず梅毒に感染していないか調べます。
そこで梅毒感染がわかった場合には、速やかに注射を打ってもらったり薬を飲んでもらいます。
梅毒は基本的に抗生物質がしっかり効くため、完治できる病気です。

しかしここで重要なのが、妊娠中に治療をしたとしても、赤ちゃんへの感染は完全には防げないということです。
妊娠初期に抗生物質を飲んでもらっても、15%くらいは赤ちゃんに感染が成立していまします。

また妊娠中に抗生物質を飲むことで起こる副反応もあります。
梅毒の菌が壊れる過程で、高熱が出たり、震えや頭痛、筋肉痛、皮膚にポツポツなどが出ることがあります。
またこの反応によって、お腹が張り早産になってしまう場合もあります。

つまり、妊娠中に検査をして治療をしても遅いことがあるということです。
また妊娠初期の検査で梅毒の感染がなくても、その後の性交渉で感染してしまった場合には、赤ちゃんに感染してしまうおそれがあります。
加えて未受診妊婦(妊婦健診を受けずに出産になってしまったケース)では、妊娠初期の検査を受けていないため、出産後に梅毒が見つかることがあります。


夫にできることは?

妊娠前に、奥さんと一緒にブライダルチェックなどで、前もって検査をしておくことが望ましいです。
また、妊娠後は不特定多数の人との性交渉を控え、性感染症にならないことが非常に大切です。
また別の記事でまとめようと思いますが、妊娠中に感染すると怖い感染症は、梅毒だけではありません。

無症状であっても奥さんに移してしまう可能性があります。
もし心当たりがある人は早めに検査をし治療をしましょう。

奥さん、お腹の中の赤ちゃんのため何ができるのか真剣に考えましょう。


まとめ

① ブライダルチェックとは妊娠前に妊娠や出産に影響を及ぼす病気にかかっていないかを調べる検診であり、男性も行うべきです。

② 梅毒の症状はしこりやポツポツですが、痛みなどの症状がないため放置されやすく、また勝手に症状も消えてしまいます。しかし感染力はあるため、無症状で人に移してしまう危険性があります。

③ 梅毒が急増していて、女性は10-30代と妊娠を考える年代とピークが一致しているので特に注意が必要です。

④ お母さんが梅毒に感染すると赤ちゃんにも感染が及んでしまい、死産、早産、新生児死亡など重篤な合併症を引き起こします。

⑤ 妊娠中に梅毒の治療をしたとしても、赤ちゃんへの感染は完全には防げないため、妊娠前に夫婦でブライダルチェックをすることが望ましいです。

2024/9/4時点でのエビデンスを元に作成しています。

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