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産後すぐにパパが必要な理由〜心編〜



産後1年以内の死亡の原因第1位が自殺

産後1年以内でお母さんが亡くなってしまう原因の第1位が「自殺」です。
年間50人以上のお母さんが出産後1年以内に自殺しています。


自殺をした多くの方が「精神疾患」つまり心の病を持っていました。
その中でも、特に有名なのが「産後うつ」です。


産後うつとは?

産後に気持ちが落ち込み楽しいことも楽しいと思えない物事に対する興味がない状態がほとんど毎日、数週間以上続く状態です。

他にも食欲がなくなり体重が減ったり、不眠や過眠などの睡眠障害、焦りの気持ち、疲労感、思考力の低下なども症状として挙げられます。
自分は母親として資格がないといった母親としての自責感や死について繰り返し考えることさえあります。


これを読んでそんなの産後で当たり前だよって思った症状もたくさんあると思います。

母乳をあげてればそりゃ体重も減りますし(体重減少)
3時間おきに授乳をしなくてはいけず、準備を含めるとうたた寝もできないなんてざらにあります。(睡眠障害)
赤ちゃんはなんで泣いているかわからず、焦ってしまうこともある(焦りの気持ち)
毎日こんな生活で疲れた(疲労感)
寝れていないのでぼーっとする(思考力の低下)
私、お母さん向いていないのかも(母親としての自責感)


でも待ってください!!

楽しいことを楽しいと思えない、死も考えてしまうというのは通常ではありません。

赤ちゃんが産まれてからの生活はそりゃ大変ですが、必死におっぱいを飲んでいる姿、自分の指を握ってくれた小さな手、腕の中で眠る寝顔などなど幸せで溢れています。

育児をしていて些細な幸せを感じれなかったり、少しでも自殺を考えてしまう場合には産後うつを発症しているかもしれません。


産後うつとマタニティーブルーの違いは?

マタニティーブルーは産後うつとは区別して考える必要があります。

マタニティーブルーは、出産後にホルモンバランスが大きく崩れることによって起こる一時的な心の反応です。病気ではありません。
お産直後から産後10日以内に発症することが多いです。

焦り、不眠、食欲不振、疲労感、頭痛、涙もろいなどの症状があります。
産後訳もなく泣いてしまうなんてよくあります。
旦那さんは奥さんが泣いていてもびっくりしないでください。


ただ産後うつと決定的に違うのが、楽しいことも楽しいと思えない物事に対する興味がないというのはマタニティーブルーではありません。

育児の楽しさや幸せはわかる。
全く感じていないのであれば、それは産後うつを発症しているかもしれません。

マタニティーブルーであれば、通常は数日から1~2週間程度で自然に治ります。
ただし、マタニティーブルーを発症した人は産後うつのリスクとされているので、その後も心の変化に気をつけましょう。


どんな人が産後うつになりやすい?

産後うつの原因は様々ですが、リスク因子の一つに「パートナーや実母などからのサポート不足」というものがあります。
つまり、「孤立」です。

ワンオペ育児、シングルマザーなどの社会問題がありますが、一人での育児はすなわち産後うつのリスクです。

他にも、若年、初めての妊娠、妊娠について迷いがあったという人は特に注意が必要です。

環境の変化も産後うつのリスクとされています。
例えば、妊娠中や産後の引っ越しです。
赤ちゃんも産まれるし心機一転引っ越しをする夫婦もいるかと思いますが、あまりおすすめできません。
また出産時になんらかの理由で違う病院に運ばれてしまい、初めての病院で出産した場合も注意が必要です。


産後うつになりやすいキャラクターとしては、「人に頼りたくない、几帳面で神経質」というものがあげられます。
あなたの奥さんは当てはまらないでしょうか?

産後うつは赤ちゃんにも影響を与える


令和4年度児童虐待相談対応件数

これは児童虐待の相談対応件数の年次変化です。
年々増加しており社会問題になっています。

児童虐待を減らすためには何ができるでしょうか?
児童の死亡は特に0歳児が多く、実はその要因として産後うつが挙げられています。

つまり産後うつの発症を防ぐことができれば、お母さんだけでなく、救うことができる幼い命もあるということです。

また産後うつは子供の認知機能の発達に悪影響を与えると言われています。

夫にできることは?

「孤立」を防ぐことが産後うつにならないために重要な要素です。


男性の育児休暇取得は、この「孤立」を防ぐ点でとても大切です。

もちろん、「取るだけ育休」という言葉があるように、育休を取っても奥さんにとっては家事が増えたり、夫婦喧嘩が増えたりすることもあるかもしれません。

中には、「仕事に行ってくれた方がいい」と思うこともあるかもしれません。
しかし、そういった不満を言える、気持ちを吐き出せること自体が、心の健康にとっては良いことです。

育休中の過ごし方の内容が重要であることは言うまでもありませんが、少なくとも「孤立」を防ぐために男性の育休取得率を上げることは、非常に意義があると感じます。

また、産後うつは里帰り出産後に自宅に帰宅してから発症するケースもあります。
今は育休を取るタイミングを柔軟に決定できる制度が整っているので、夫婦でどのタイミングで育休を取るかを話し合うことも重要です。


お母さんが頼れるのはもちろん夫だけではありません。
産後ケア事業は意外と充実しています。
産後ケアハウス含め頼れるものはなんでも頼ってください。
お産をした病院の助産師さんが相談に乗ってくれると思います。

また個人的にオススメなのが赤ちゃんの習い事です。
私はベビースイミングに通わせていましたが、そこでできたコミュニティーに救われました。
男性の意見なんて..と思われるかもしれませんが妻もそうでした。
(私がキャリアブレイクする前は妻がワンオペ育児でした)

赤ちゃんの習い事なんて難しい!って人は近くのショッピングモールに行くだけでも違います。
子供に悪戦苦闘している両親を見ると、「あー自分だけじゃないんだなー」と心が少し楽になります。

とにかく「孤立」しないこと。
頼れるものはなんでも頼って、お母さんに切れ目のない支援を送りましょう。


まとめ

① 産後1年以内でお母さんが亡くなってしまう原因の第1位が「自殺」で、年間50人以上が亡くなっています。その多くが産後うつなどの心の病気を持っています。

② 産後うつの症状は様々ありますが、楽しいことを楽しいと思えない、死も考えてしまう場合は注意が必要です。

③ マタニティーブルーは病気ではなく数日から数週間で自然に良くなることが多いですが、産後うつのリスクなのでその後も心の変化は注視しましょう。

④ 産後うつは児童虐待の原因になり、子供の認知機能にも悪影響を与えます。

⑤ 夫にできることは孤立を防ぐために育児休暇を取得すること。取得時期は柔軟に決定できるので、取得するタイミングについては夫婦で話し合いましょう。

2024/8/29時点でのエビデンスを元に作成しています。

今回は産後の心についてまとめましたが、産後の体についても記事にまとめていますので、読んでもらえると嬉しいです。


これからも妊娠、出産、育児に関連する記事を書いていきますのでスキまたはフォローして頂けますと幸いです。
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