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雑記など

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あたたかい日常
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2020年5月の記事一覧

遠くの方にある記憶

記憶の亡霊めいたものに出くわす。
たくさん、たくさん、記憶が突然現れてびっくりする。記憶の亡霊は脈絡なくやってくる。花を見ると花の記憶が降ってくる、ということもあるが、ベッドで黙っていたってご飯を食べていたって本を読んでいたって、来るときは来るのだ。記憶の亡霊は敵ではない。かといって、全く心が動かされないでもないのでちと困る。

思い出、と言うにはあまりに鮮烈であまりに…消化しきれていないようなも

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朝とかいう概念が怖い

朝とかいう概念が怖い

朝が怖い。朝が来るのが怖い、というより「朝」という概念が既に怖い。

6時と7時が特に怖い。6時と7時は、学校や会社に行く人が起きるのに丁度いい時間だから、社会の多数の人間がこのあたりで起床するのかと思うと気持ち悪い。みんなぞろぞろ起きてくる。気持ち悪い。みんな7時とか8時とかに家を出る。気持ち悪い。みんなで朝からラジオ体操。気持ち悪い。だから私は朝の情報番組というやつがこの世のテレビ番組の中で一

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不安な子供

不安な子供

不安な子供のことは、自分で大事にしておきたい。

私は不安な子供だった。それは怯えや情緒不安定とは形容されない、けれど気が弱い等という性格由来のものでもない。純粋に、不安な子供だった。

何が不安だったのかと聞かれると思い出せない。当時も明確にこれと言えるものはなかったのだと思う。言い換えると全てのことが漠然と不安だったのだと思う。

不安な子供になったのは小学校の5年生の始業式丁度からだったと記

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キレて閉鎖病棟退院したお話と入ってみた感想

キレて閉鎖病棟退院したお話と入ってみた感想

閉鎖病棟は健康的でした。朝6時に起きて21時消灯。3度のご飯と服薬。午前と午後にそれぞれ作業療法や心理検査などを行います。

ただお風呂が週に2回のみなのは、かなり参りました。しかもなんか浴室のドア開けた途端土下座してる人とかいるし…面白いけどハードコア?ロック?なんだこれ。退院後同じ病棟に入院した友人に聞くと友人は看護師さんに言って秘密裏に毎日入っていたとのことだったので、衝撃を受けました。そん

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映画『蜜蜂と遠雷』とピアノ・コンプレックス

映画『蜜蜂と遠雷』とピアノ・コンプレックス

※映画の感想はほとんどありません。

コンクール出場者の風間塵に滅茶苦茶腹が立った。というかキレてた。風間塵は天真爛漫な天才タイプで、ピアノが大好きと公言しており、コンクールでも本当に楽しそうにピアノを弾く。

ピアノに対して迷いのある主人公亜夜ちゃんに出番直前に話しかけたり、即興を思い付いたっぽい亜夜ちゃんの後をつけていって亜夜ちゃんが弾く予定だったピアノを勝手に弾き始めたり、浜辺の砂に足跡を付

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10年経ってもトロピカルパフェ事件の煌めきは色褪せない

10年経ってもトロピカルパフェ事件の煌めきは色褪せない

『夏期限定トロピカルパフェ事件』という小説があります。

『氷菓』や『さよなら妖精』で知られる米澤穂信さんの推理小説です。この小説はシリーズもので他に『春期限定いちごタルト事件』『秋期限定栗きんとん事件』が刊行されており、最近11年ぶりの続編として『巴里マカロンの謎』が出版されました。次絶対「冬期限定」だと思ってた…。

おおざっぱな内容としては「小市民」を志す高校生小鳩くんと小佐内さんが次々と事

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