【53】 ミソちゃんは天邪鬼。自然になろうとして「不自然」になる
せっかく薬なしで眠れる日々がぽつぽつと生まれたのに、なぜかまた薬に頼りがちの日々が始まってしまいました。
昔から、「いつでもどこでも眠れる」と言う母。
先日も、食道がんの定期検査のために病院にやってきた母は、私としばらく話をした後、待合室でこくりこくりと頭を揺らし始めました。
私は診察番号とモニターをこまめにチェックして、母を起こすタイミングを見計らっています。
こんな場所でリラックスして眠れる母と、病院という場所で気が張っている私……如実に現れる、この性格の違い(笑)
自律神経についての知識を得たのち、「眠る」ということも脳のメカニズムであり、「スキルみたいなものでしょう」と分かった気でいた私。
ところが「寝るぞ」と意識すればするほど、うまく入眠できない……「眠れない人あるある」にハマってしまいました。
気にしないのが一番。
そう分かっていても、それができない。
「ああ、眠れないまま夜中になってしまった!」
脳みそのミソちゃんが焦っています。
それにつられて、スマホの時刻を見てさらに焦る私。
目を閉じ、無になろうとしても、思考があれこれと飛び出し、さまよいはじめてしまう。
いかん、いかん、深呼吸して「今ここ」に戻ってこよう……と、今度はそのことに必死になってしまう……。
「意識するのをやめよう、やめよう」とすればするほど、それしか考えられなくなるミソちゃん。
「シロクマ理論」のとおりに、「シロクマのことを考えるな」と言われれば、人は結局シロクマのことを考えてしまうのです。
「まったくもって、ミソちゃんは不器用にできてるよね……」
「すみません……」
ミソちゃんが苦笑いしています。
「いやいや、私の方こそ、うまくできなくてごめん……ミソちゃんだって、おやすみしたいのにねぇ……どうして眠れないんだろう」
二人でぺこぺこ頭を下げ合います。
どうやらそれが、私は不得手のようでした。
コントロールしようとしてしまうのですよね。
一方で、母はこれが上手なのです。
「なるようになるわ~難しいことは考えないことよ~」とね(笑)
そんな感じで、一進一退の私とミソちゃんの関係性。
ミソちゃんの存在を意識することで、
そこまではできるようになりました。
しかし、それから「またどうしよう、眠れない」と焦り始めてしまう……。
ああ!
もう!
ごちゃごちゃ頭で考えるのをやめて、自然にしたらいいんだよ……。
眠ることにおいて、まだまだ私の不器用さは、治っていないようです。
しばらく眠れない日々と格闘していましたが、この後、思わず膝を打つ一冊の本に出会います。