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弱さを知るおじさん
2023年9月24日 09:35
小池水音さんの「息」を読んだ。テーマは暗い。登場人物は皆苦しみを抱えて、ハッピーな息遣いは聞こえてこない。けれど、読後に残るのは、今生きていることへの感謝だ。当たり前に息をして生きていられることの奇跡を、改めて感じさせてくれる。人との繋がりも然りだ。人はいつか死ぬ。私も死ぬし、妻も死ぬし、両親も死ぬ。それはいつになるかわからないし、どんな順番になるのかもわからない。その時にど
2023年9月22日 23:06
三浦しをんさんの「墨のゆらめき」を読んだ。真面目なホテルマンと天才肌の書道家のバディものだ。この二人の関係がすごく心地よい。私は友達が少ない。でも、それでいいと思う。気の合う大切な存在を大切にしていけたらいい。友達の多さが人生の豊かさと直結するわけじゃない。気の合う仲間と飯を食い、酒を飲む。競馬をしたり、くだらない話で時間を無駄にしたり。そんな日々こそが尊い。当たり前すぎ
2023年9月16日 18:45
妻の本棚から、一冊の小説を借りた。「その小説、あんまり面白くなかったよ。」小説を読むのには時間がかかる。面白くないと定義づけられた物語を読むことに、時間を費やすのも癪だ。だが不思議と、私のページを捲る手は止まることなく、最後の1ページまでを捲り続けた。感性の違いだろうか。確かに、好き嫌いが分かれる小説だろうなとは感じた。私は明らかに好きな側の人間なのだけど。4編の短編が収
2023年9月15日 22:29
原田ひ香さんの「図書館のお夜食」を読んだ。とても暖かい本だった。優しさに包まれた本だった。図書館っていいよなって、改めて思う。色んな本がある。それを読む人、書いた人、それぞれに色んな人生がある。ある人が本を読み、そこにインスピレーションを受けて本を書き、誰かが本を読む。そうして物語と世界は紡がれていく。この本を読んだことが、私の人生にどう影響を与えるのだろうか。影響を与
2023年9月10日 08:50
杉井光さんの「世界でいちばん透きとおった物語」を読んだ。驚かされた。感動した。こんな小説があるんだ。こんな方法もあるんだ。どうしても人は既成の価値観にとらわれてしまう。そこに柔軟性を持ち込んで、視野を広げてみるときっと人生は楽しくなる。読んでよかった。世界が広がった。タイトルの通り、僕の視界も透き通ったかもしれない。手法だけじゃない。端々の言葉遣いもとても美しい。
2023年9月9日 07:06
くわがきあゆさんの「レモンと殺人鬼」を読んだ。登場人物が皆んなどこかおかしい。端的に言うとヤバい。だから全員が疑わしくなって、どんどん楽しくなっていく。ページを捲る手が止まらない。特に後半で主人公のキャラが一変していく様が印象的だ。虐げられるものから、虐げるものへ。腹を括り、開き直ってしまった人間の怖さを改めて感じた。誰しもが苦しみを抱えて生きている、わけではないのかもしれな
2023年9月2日 07:54
高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」を読んだ。主に職場の人間関係をテーマにした小説だが、「わかる〜」と唸りながら読んでしまった。とても人気な小説であることから、現代の人々が同じようなフラストレーションを感じながら生きていることがわかる。弱い人間は配慮される。なんだか守ってあげたくなる人っている。そんな人が憎い。特に努力して努力して、甘えなんて許せないタイプの人には。
2023年9月2日 07:28
ビートたけしさんの「アナログ」を読んだ。映画化される程の純愛ストーリーで、読んでいて心が洗われた。爆笑問題の太田さんが書評を書いていた。この物語は恋愛小説ではなく、母への愛がテーマだと。確かに、この小説を一言で恋愛小説と括ることはできない。母への愛であり、恋人への愛であり、仕事への愛であり、友人への愛であり。さらに言えば、こちらからベクトルが伸びた愛だけではなく、こちら側へと向け