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水と教養

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水を軸に歴史、宗教、カルチャーなどを紐解く記事をまとめています。
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記事一覧

日本人と風呂文化 ~風呂好き日本人のルーツをたどる~

日本人と風呂文化 ~風呂好き日本人のルーツをたどる~

日本人なら、誰しもが愛する「風呂」。その理由が気になり、日本独自の風呂文化の発展について深堀りしてみました。

風呂文化のはじまりは、仏教伝来日本の風呂文化の起源は、6世紀の仏教伝来だと言われています。

仏教には「温室教」という経文があり、「入浴により七病を除去し、七福が得られる」という教えがあります。

当時の寺院には温浴の設備がつくられ、僧侶が水を浴びて心身を清める禊である「斎戒沐浴」を行い

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上下水道の歴史③ ~戦後、経済成長、成熟、そして次世代へ

上下水道の歴史③ ~戦後、経済成長、成熟、そして次世代へ

日本における上下水道発展の歴史、最終回です。

前回は、明治維新による水道・下水道の文明開化について書きました。

第3回(最終回)は、戦後、高度経済成長期、成熟社会における水道・下水道の変遷をたどりながら、今後の水インフラについて考えます。

戦後のGHQ占領下における水道整備第二次世界大戦後、日本の水道はGHQ占領下で米国化が進みます。

GHQ指示により、当時の米国基準をもとに水道の塩素消毒

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上下水道の歴史② ~明治維新による水道・下水道の文明開化~

上下水道の歴史② ~明治維新による水道・下水道の文明開化~

日本における上下水道の発展について、全3回に分けて紹介します。

前回は、江戸の優れた「和製水インフラ」を紹介しました。

第2回は、明治維新を起点にした上下水道の変遷に注目します。
明治の西洋化トレンドに、上下水道は大きく影響を受けました。この時期に、水道・下水道に関する学問の体系化も加速しました。

明治維新と近代水道の普及1868年の明治維新後、新政府は西洋の技術を取り入れ、近代的な上下水道

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上下水道の歴史① ~江戸の”和製水インフラ”は世界最先端だった~

上下水道の歴史① ~江戸の”和製水インフラ”は世界最先端だった~

日本における上下水道の発展について、全3回に分けて紹介します。

第1回は、『和製水インフラ』が整備された江戸時代に注目します。
江戸は、都市化による人口の急増に伴い、清潔な水の確保、衛生環境の整備が喫緊の課題となったことで、水インフラが発展しました。

江戸の水道 ~ハイブリットな水利用~江戸時代の都市部では、各家庭や商家は浅井戸を掘って水を確保していましたが、飲用には適しませんでした。
埋め立

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水×現代アート ~社会変革の”触媒”としての水~

水×現代アート ~社会変革の”触媒”としての水~

水×現代アートの取り組み、社会へのインパクトを考察します。
今回は、デンマーク出身のアーティスト、オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)です。

■水の現代アーティスト、エリアソン水のインスタレーション作品で、世界的に活躍するのアーティストです。アイスランドの自然に親しみ育ったエリアソンは、光や水といった自然現象への感性が非常に豊かであり、それらを重要な要素として作品に取り入れて

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水とアート ~ビジュアルアートで、水問題を”感性”に突き刺す~

水とアート ~ビジュアルアートで、水問題を”感性”に突き刺す~

水×アートで、水の魅力を伝える取り組みをご紹介します。
今回は、水の課題をビジュアルアートで提起する『HYPE FREE WATER』です。

HYPE FREE WATERとは、2020年に、人気音楽ユニット『水曜日のカンパネラ』元ボーカルのコムアイさんと、アートディレクターの村田実莉さんが立ち上げた、水問題を提起するプロジェクトです。フィールドワーク、専門家との対話を通じて、水に関する課題や技

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水と読書 『渇きの考古学 ~水をめぐる人類のものがたり~』

水と読書 『渇きの考古学 ~水をめぐる人類のものがたり~』

水を軸に本を紹介するシリーズ『水と読書』。
今回は『渇きの考古学 ~水をめぐる人類のものがたり~』をご紹介します。

どんな本か

考古学的アプローチから、様々な古代文明の盛衰と水の関係を紐解き、現代の水管理のあり方を考える重要性を提起している。

著者

スティーヴン・ミズン(Steven Mithen)
1960年イギリス生まれ。レディング大学 考古学教授。認知考古学の分野で功績多数。

要約

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水と読書 『水とまつりの古代史』~日本人と水の繋がりの起源を探る~

水と読書 『水とまつりの古代史』~日本人と水の繋がりの起源を探る~

水を軸に本を紹介するシリーズ『水と読書』。
今回は『水とまつりの古代史』をご紹介します。

古代中世の日本人と水の繋がりを深堀する本書は、現代に生きる我々に重要な示唆を与えてくれます。

どんな本か考古学の専門家、学者による「水と古代史」に関するシンポジウム(2004年開催)をもとに編集された本。古代~中世の日本人と水の関わりについて、豊富な専門知や資料を用いて論考を展開する良書。

著者森 浩一

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