小田嶋龍飛 | 水ワクLabo

水をテーマに生活やビジネスを豊かにする『水ワクLabo』を運営。 水処理エンジニア→総…

小田嶋龍飛 | 水ワクLabo

水をテーマに生活やビジネスを豊かにする『水ワクLabo』を運営。 水処理エンジニア→総合水事業会社。企業で働きながら、NPOでバリ島の農村に水道を整備し、日本水大賞 国際貢献賞を受賞。水を起点に、社会にワクワクをつくるための発信や講演、キャリア支援等を実施中。

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自己紹介

はじめまして。水を軸に会社員、NPO 、個人事業など色々と活動しています。簡単に自己紹介と、noteを始めた理由、何を発信するかについて書きます。 プロフィール小田嶋 龍飛(オダシマ リュウト) 1994年生まれ 経歴 【学生時代】 ・中央大学 衛生工学専攻 修士 ・インドネシア バンドン工科大学に研究留学 (文科省のトビタテ留学Japan!)  ・国内外の水道、下水道技術に関する研究 【しごと】 ・水処理プラントのエンジニア ⇒ 総合水事業会社のプロマネ  兼 インド

    • 日本人と風呂文化 ~風呂好き日本人のルーツをたどる~

      日本人なら、誰しもが愛する「風呂」。その理由が気になり、日本独自の風呂文化の発展について深堀りしてみました。 風呂文化のはじまりは、仏教伝来日本の風呂文化の起源は、6世紀の仏教伝来だと言われています。 仏教には「温室教」という経文があり、「入浴により七病を除去し、七福が得られる」という教えがあります。 当時の寺院には温浴の設備がつくられ、僧侶が水を浴びて心身を清める禊である「斎戒沐浴」を行いました。また、僧侶の修行の一環として、俗世の病人や貧しい人々にも、施設を開放して

      • 上下水道の歴史③ ~戦後、経済成長、成熟、そして次世代へ

        日本における上下水道発展の歴史、最終回です。 前回は、明治維新による水道・下水道の文明開化について書きました。 第3回(最終回)は、戦後、高度経済成長期、成熟社会における水道・下水道の変遷をたどりながら、今後の水インフラについて考えます。 戦後のGHQ占領下における水道整備第二次世界大戦後、日本の水道はGHQ占領下で米国化が進みます。 GHQ指示により、当時の米国基準をもとに水道の塩素消毒が義務付けられました。 GHQは、水道に対して塩素を2ppm(ppm:百万分の一

        • 上下水道の歴史② ~明治維新による水道・下水道の文明開化~

          日本における上下水道の発展について、全3回に分けて紹介します。 前回は、江戸の優れた「和製水インフラ」を紹介しました。 第2回は、明治維新を起点にした上下水道の変遷に注目します。 明治の西洋化トレンドに、上下水道は大きく影響を受けました。この時期に、水道・下水道に関する学問の体系化も加速しました。 明治維新と近代水道の普及1868年の明治維新後、新政府は西洋の技術を取り入れ、近代的な上下水道システムの整備を開始しました。 近代水道が普及した大きなキッカケは、1886年

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        • 水と社会
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          上下水道の歴史① ~江戸の”和製水インフラ”は世界最先端だった~

          日本における上下水道の発展について、全3回に分けて紹介します。 第1回は、『和製水インフラ』が整備された江戸時代に注目します。 江戸は、都市化による人口の急増に伴い、清潔な水の確保、衛生環境の整備が喫緊の課題となったことで、水インフラが発展しました。 江戸の水道 ~ハイブリットな水利用~江戸時代の都市部では、各家庭や商家は浅井戸を掘って水を確保していましたが、飲用には適しませんでした。 埋め立て地や湿地帯であった江戸の井戸水には、塩分などが混じり、水質が悪かったのです。

          上下水道の歴史① ~江戸の”和製水インフラ”は世界最先端だった~

          水×現代アート ~社会変革の”触媒”としての水~

          水×現代アートの取り組み、社会へのインパクトを考察します。 今回は、デンマーク出身のアーティスト、オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)です。 ■水の現代アーティスト、エリアソン水のインスタレーション作品で、世界的に活躍するのアーティストです。アイスランドの自然に親しみ育ったエリアソンは、光や水といった自然現象への感性が非常に豊かであり、それらを重要な要素として作品に取り入れています。 作品を通じて、自然と人間の関係性、環境問題、人間の社会的、文化的規範

          水×現代アート ~社会変革の”触媒”としての水~

          水と記念日 ~社会変容を促すコンセプト~

          普段の生活で、意識するキッカケが少ない「水」。 実は、国際機関や民間企業など多様な主体が、水に思いをはせるために、様々な記念日を制定しています。 今回は、水に関する記念日の事例やその効果、可能性を考察します。 記念日=コンセプトに深みと社会的意義を加えるアプローチと捉えると、汎用性が無限大の”水”を軸に、あらゆる活動やビジネスを促進できるかもしれません。 ■水に関する記念日の紹介①世界 水の日(3月22日) 1992年に国連総会により制定されました。『きれいで安全な

          水と記念日 ~社会変容を促すコンセプト~

          水とベンチャー企業 ~水インフラを変革する企業5選~

          何となく古いイメージがある水ビジネスですが、近年、先進的なベンチャー企業が活躍しています。 今回は、水業界で有望な日本のベンチャー企業を紹介していきます。 ■水インフラのトレンド 水インフラの課題に対して、ベンチャー企業は多方面からアプローチしています。 そこでキーワードとなるのが、水インフラの「分散化」、「自動化」、「個別最適化」です。 ・分散化 従来の浄水場、下水処理場は、長距離の配管を引いて、集めて処理する”集約型”です。 一方で、人口減、老朽化、税収減が進

          水とベンチャー企業 ~水インフラを変革する企業5選~

          水と読書 『水とまつりの古代史』~日本人と水の繋がりの起源を探る~

          水を軸に本を紹介するシリーズ『水と読書』。 今回は『水とまつりの古代史』をご紹介します。 古代中世の日本人と水の繋がりを深堀する本書は、現代に生きる我々に重要な示唆を与えてくれます。 どんな本か考古学の専門家、学者による「水と古代史」に関するシンポジウム(2004年開催)をもとに編集された本。古代~中世の日本人と水の関わりについて、豊富な専門知や資料を用いて論考を展開する良書。 著者森 浩一 他 1928年生まれ。日本考古学、文化史学専攻。同志社大学名誉教授。 要約古

          水と読書 『水とまつりの古代史』~日本人と水の繋がりの起源を探る~

          水への関心度ってどのくらい? 調査結果から考える、水の魅力の伝え方

          今回は、2023年にミツカン水の文化センターが実施した『水にかかわる生活意識調査』(調査対象:20~60代、n=1500)の結果をもとに、水の魅力の伝え方を考えます。 ・水への関心度はどのくらい? 普段の生活では、なかなか意識しにくい水。 『水にかかわる生活意識調査』(以下、同調査)において、『水に関心がある』と回答した人の割合は約70%でした。 なんとなく、『関心があるかと聞かれたら、まぁ、少しあるかなぁ...』というニュアンスで答えている方も多い気がします。 そ

          水への関心度ってどのくらい? 調査結果から考える、水の魅力の伝え方

          水とアート ~ビジュアルアートで、水問題を”感性”に突き刺す~

          水×アートで、水の魅力を伝える取り組みをご紹介します。 今回は、水の課題をビジュアルアートで提起する『HYPE FREE WATER』です。 HYPE FREE WATERとは、2020年に、人気音楽ユニット『水曜日のカンパネラ』元ボーカルのコムアイさんと、アートディレクターの村田実莉さんが立ち上げた、水問題を提起するプロジェクトです。フィールドワーク、専門家との対話を通じて、水に関する課題や技術、人類の在り方まで幅広く発信しています。 上の写真は、HYPE FREE W

          水とアート ~ビジュアルアートで、水問題を”感性”に突き刺す~

          水と長期投資② ~各国の水市場と注目企業~

          前回の記事では、水ビジネスの将来性と水ETF・投資信託をご紹介しました。 今回は、各国の水市場動向を交えながら、水ETF・投資信託の上位構成銘柄をご紹介します。コロナ禍でも値動きが安定していた銘柄も多く、長期目線でのポートフォリオの参考になると思います。 前回の記事はこちら。 ■米国の水市場経済大国のアメリカ。主力産業である農業やITは大量の水を必要としますが、アメリカ全土で深刻な水不足が起きています。急速な経済成長、人口増加、気候変動に対応するために、流域単位での効率

          水と長期投資② ~各国の水市場と注目企業~

          水と長期投資① ~水ビジネスの将来と水ETF・投資信託について~

          新NISAが始まり、長期目線でポートフォリオを検討している方も多いのではないでしょうか。 今回は、全人類にとってのコモディティである「水」をポートフォリオに混ぜると面白いかも、というお話を、全2回に分けて書きます。 特定銘柄のおすすめ、というよりは、水ビジネスの将来性、水ETF・投資信託、構成銘柄をご紹介し、皆さんが「水と投資」、「水とビジネス」を考えるきっかけを提供できればと思います。 第1回は、水とETF・投資信託についてです。 ■水ビジネスの将来性水ビジネスは、

          水と長期投資① ~水ビジネスの将来と水ETF・投資信託について~

          会社員×NPOで「小さく社会を変える」キャリアのすすめ

          日本企業で副業解禁が進んでいます。改めて、今後のキャリアを考えている会社員の方も多いのではないでしょうか。 そこで、今回は私の経験をもとに、『会社員NPO』というキャリアをご紹介します。 大企業で働きながら、インドネシアの農村に水道を通した話はこちら。 ■なぜ、会社員NPOがオススメなのかNPOは国内外問わず、困難な社会課題に直接リーチしています。 しかし、活動分野の特性上、資本主義のスキームが機能しにくく、人・モノ・金のリソースが不足しがちというジレンマがあります。

          会社員×NPOで「小さく社会を変える」キャリアのすすめ

          日本経済の命運は企業の水リスク対策にあり?

          新NISAが活況です。改めて日本経済への注目が高まっていますが、「企業の水リスク対策」の観点から日本企業を見ると面白いです。 そもそも「企業の水リスク」って何? 水リスクとは、企業活動にマイナスとなる水に係わる不確実性を指します。 水リスクは、大きく3つに大別されます。 ① 物理リスク(洪水、渇水、水質汚染等) 2023年には、渇水によりパナマ運河の航行制限が行われ、物流に大きな影響がありました。また、近年では洪水により工場が操業停止に追い込まれるケースも増えています

          日本経済の命運は企業の水リスク対策にあり?

          水に関するイケてる情報ソースまとめ

          今回は、水について幅広く活動している私が、特に参考にしている情報ソースをまとめてみました。 ■国際協力系 ・WaterAid ウォーターエイドは、1981年にイギリスで設立され、40年以上にわたり、水・衛生分野に特化して活動してきた国際NGOです。「すべての人がすべての場所で、清潔な水と衛生設備を利用し、衛生習慣を実践できる世界」をビジョンに掲げ、計26か国で活動している世界で最も大きな水・衛生分野の国際機関の一つです。 以下の活動レポートからは、深刻な水問題を抱える地域

          水に関するイケてる情報ソースまとめ