記事一覧
ケーニヒスベルクの皮肉〜カントと平和〜【生誕300年】
今年2024年は、哲学者イマヌエル・カントの生誕300年にあたるため、それを記念した大小さまざまなイベントが計画されています。
中でも大きな国際会議が二つ予定されています。一つは、4月にロシアのカリーニングラードにある、イマヌエル・カントバルト連邦大学で、生誕300年記念国際会議が開かれます。もう一つは、9月にドイツのボン大学でやはり国際会議が開かれる予定です。
なぜ二つ開かれるのでしょうか。
日本の女性医師のパイオニア宇良田唯 〜生誕150年〜
石原あえか『ドクトルたちの奮闘記』(慶應義塾大学出版会)を読んだ。
宇良田唯について書いた本を読みたかったからだ。宇良田唯は明治〜昭和初期頃の女性医師。日本初の女性医師の一人である。宇良田唯について書かれた本を読みたいと思っていたがなかなかなくて、やっと見つけたのがこの『ドクトルたちの奮闘記』だった。
この本は副題が「ゲーテが導く日独医学交流」なので、宇良田唯だけではなく、幅広く日本とドイツの
お金とは何か 〜価値の本源〜
日経が #お金について考える というお題で募集していたので、お金とは何かということについて考えてみたい。
日本経済新聞で「今読むべきお金の本」というシリーズをやっている。
私はここに二冊の本を加えたい。アダム・スミスの『国富論』と三浦梅園の『價原』だ。今から約250年前にお金とは何かということを根源的に考えた二人の思想家の本だ。
私は、お金の価値の本源について考えたくて三浦梅園の『價原』を読
CBDCの本質は「デジタル」ではない
今月、日本経済新聞が「動き出す中銀デジタル通貨」という特集を上、中、下、番外編と四回に分けてやっていた。日本国民の間でまだほとんど話題になっていないCBDC(Central Bank Digital Currency 中央銀行デジタル通貨)に関する特集である。
ここに「紙幣等」というグループと「ビットコイン等」という二つのグループがあったとしよう。そこに新しくCBDC(中央銀行デジタル通貨)が入
死亡・相続ワンストップとマイナンバー
2023/10/17の朝日新聞(多事奏論)に載っていたこちらの記事。
記者が、親が亡くなったときのさまざまな手続きがいかに大変だったか、そしてそこからタテ割り行政を生活者視点で見直すことを指摘している。
記者も記事中で言っているように、今は「年150万人が亡くなる大相続時代」であり、このような大変な手続きを経験しなければならない人は何百万人もいる。「死亡・相続ワンストップ」の話は国でも以前から
三浦梅園の経済論 〜生誕300年〜
今年2023年は三浦梅園生誕300年の記念すべき年になる。大分県国東半島の思想家、三浦梅園は自然哲学者として有名だが、経済に関する書物も書き残している。『價原』という本がそれである。『價原』はお金の本質とは何か、価値の本質とは何か、に鋭く迫って考察している名著であるが、現代ではほとんど読まれていないのをもったいなく感じる。
梅園が語るお金の本質
梅園『價原』に曰く、
と。
つまり、「お金」
マイナンバーカードの本当の問題点
マイナンバー、マイナンバーカードで相次いで問題が発覚し、国民のマイナンバー制度に対する信頼はどんどん下がり、ますます厳しい批判の目が向けられるようになってきた。
しかし、マイナンバーカードの本当の問題点は誤紐づけではない。
今のマイナンバーカードのより深刻な、そして一番の問題は、一本化による「強制」である。マイナンバーカードは、マイナンバーと違って、本来持つか持たないかは選択式であり自由