関東大震災100年
今から100年前、関東地方を強い揺れが襲った。日本史上最大の地震の一つに数えられる関東大震災。神奈川と東京で揺れが大きかった。特に人口が密集していた東京では被害が大きかった。東京の中でも特に被害が大きかったのは本所・深川地域。今でいう墨田区・江東区あたりだ。地震後の火災によりほぼ「全滅」と言われた。東京市内全域で甚大な被害が出た。
その当時から今に至るまで多くの学者が東京の街づくりとその危険性について指摘してきた。にもかかわらず、東京はずっと無計画無秩序な開発が進んでいる。
関東大震災に対する反省はなかったし、この無反省により再び大きな被害に遭うだろう。100年経って悲惨な記憶が薄れたのではない。関東大震災の記憶はだいぶ早い段階で忘れられていた。関東大震災からたったの15年ほどで戦争が始まった。それも日本史上、世界史上最大の戦争で東京人の意識も震災から戦争へと移った。
愚かな人類はいつまで無反省を続けるのだろう。あれから100年を契機として、今からでも改めるべきだ。
建物は大正時代に比べてずっと頑丈になったかもしれない。いま同じ規模の地震が起こったとしても倒潰などの被害は当時より少ないだろう。だが、現代の方が大きくなっている問題もある。それは「地震後」だ。地震が起こった瞬間の被害は今のほうが少ない。しかし地震後のダメージは今の時代はとても大きくなるはずだ。東日本大震災のときも明らかになったが、帰宅困難者の問題が当日翌日にかけて発生する。その後は物流が止まることにより食料難と生活必需品の困窮が始まるだろう。また水、ガス、電気等のインフラの問題、インターネットが繋がらなくなれば手続きや連絡ができなくなるだけでなく、もっと広範な問題が発生する。
これは公益財団法人東京都慰霊協会が公開している関東大震災を紹介している動画だ。当時の惨禍を伝えるよい動画だが、動画のいちばん最後に出てくる東京スカイツリーが東京、日本の”駄目さ”を象徴している。
東京一極集中の弊害はもう何十年も前から指摘されてきた。その最大の弊害の一つに地震がある。現代は100年前に比べて建物の倒潰や火災のリスクは下がっているかもしれないが、帰宅困難や食料、生活必需品の不足は100年前よりも何百倍も深刻なレベルで襲ってくるだろう。地方からの供給に頼って生活している東京人は深刻な食料、物資不足に陥る。普段の買い物が、コンビニやスーパーなどのリアル店舗派であろうが、ネットショッピング派であろうが関係ない。物流が止まればそのどちらも止まる。東京は大混乱に陥る。そのときは地方が東京を助けてあげればいいじゃないか、と思うかもしれないが、地方には人がいない。いたとしても老人ばかり。テレビやネットを見て、「東京の人たちは大変ねぇ」、「東京の人たちかわいそうねぇ」と言うだけだ。
そして東京が麻痺すれば日本は止まる。すなわち地方も止まる。ネットワークの発達は概ね悪いほうに作用するだろう。東京に一極集中しているということは関東大震災クラスかそれ以上の地震が起こった場合は、単に東京だけの問題ではなくなってくる。地震被害がなかったはずの地方にも大きな皺寄せが来る。
なぜ苦しみを憶えていないのだろう。なぜ過去何度も襲ってきて人間を苦しめてきた震災の記憶を人々は簡単に忘却するのだろう。
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