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私の考え

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私の気持ちや考えを詰めた投稿をまとめています。
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人生を変えた一冊

人生を変えた一冊

私には、私の人生を大きく変えた本がある。
本、というより一つの作品、と言った方が正しいか。
変えたといっても、それは価値観の範疇だが。

それは太宰治の『火の鳥』という作品だ。
広く知られている人間失格や走れメロスは知っていても、火の鳥と聞いて太宰の作品だと気付く人間は少ないかもしれない。火の鳥と聞けば、手塚治虫が思い付く人の方が多いのではないだろうか。

火の鳥、文字通り不死鳥の話である。しかし

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加点のない正解の人生

加点のない正解の人生

やるべきことを従順にこなす。疎かにしない。
やりたいことは、時にそっと蓋をする。
そんな風に、24年間生きてきた。
「正解」を、自分で決めることが苦手だ。

やるべきことをこなすのは簡単だ。
行為の内容が難しいとか、大変だとか、そういう問題以前に「やるべきこと」はやる「べき」なのだから。

例えば学生時代の宿題。時に面倒だし、つまらないし、やりたくないと思ったことだって何度もある。しかし宿題は確実

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失敗の切符を持って、可能性の改札を抜けると。

失敗の切符を持って、可能性の改札を抜けると。

「失敗は成功のもと」なんてよく言ったものだが、「あの失敗があったから」という文字列を目にして思い浮かんだのは、失敗ではなく、とある成功体験だった。

失敗の中に成功を見る。
まるで生の中に死を見るデカダンスの対比のようだ。
限りのない影の中に、一筋の光の存在を見るような、不可思議な感覚。意識の下ではない、直感にして真実と言わざるを得ないそんな感覚の中で、過去のそれを現在の私は一体どう結論付けている

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文章を綴ること

文章を綴ること

文章。それは私が私である証拠。

私は文章を綴ることが好きだ。活字に触れながら、自分を表現することが好きだ。そして素敵な文章を見い出せる人間のことを心から尊敬している。

私は考えていることを文章にすることで、初めて自分の思想に辿り着く。自分の思惑を昇華出来る。何度も何度も自分の考えを自ら反芻して、「考えについて思考」して、それを一つ一つの言葉で表す。そんなことの繰り返しで自分がいつ何を、どのよう

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愛を表現するということについて

愛を表現するということについて

最近、妹尾武治氏の「未来は決まっており、自分の意志など存在しない」という心理学の新書を読み始めた。暇潰しに入った書店に並ぶその斬新な文字列に、はたと目を奪われたのだ。

常日頃、愛だの恋だの、生だの死だのに対して崇拝にも似た感情を抱いている(それらに夢を見ていると言ってもいい)私にとって、人間の「意志」や「思想」は尊ぶべきものだ。それこそ幻想の原点である。愛するとは、生きるとは、そして死ぬとは。そ

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