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【marcyノート】(管理栄養士国家試験対策の解説)

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2023年11月の記事一覧

シリーズ『食事摂取基準』#45(個人と集団)

集団で使う指標 個人に対して、集団の使い方は次のようにまとめられています。 もちろん「目的」は同じですが、最も注目すべきは「栄養素の不足の評価に推奨量を使わない」という点です。(指標欄にない) 推奨量は、推定平均必要量から換算係数を用いて算出される指標であり、ほとんどの人(97~98%の確率)で足りている値でした。この「足りている確率」イコール「じゃあ下回っているから不足だね」ではない、という理解が、整理すべきポイントです(^^ 関連する問題 今日も勉強おつかれさま

シリーズ『食事摂取基準』#44(個人と集団)

個人で使う指標 前回、食事摂取基準の使い方は、個人と集団で違うという話をしました。この内、「個人」についてまとめられたのが次の表です。 「目的」は、これまで見てきたように、エネルギー摂取量の話・栄養素の不足の話・栄養素の過剰の話・生活習慣病予防の話の4つに分類されています。 また、それぞれで「用いる指標」も「体重変化量・BMI」「推定平均必要量・推奨量・目安量」「耐容上限量」「目標量」と、これまで見てきた通りです。 今日も勉強おつかれさまです。 marcy

シリーズ『食事摂取基準』#43(個人と集団)

個人と集団は別もの 食事摂取基準を使うとき、対象が「個人」なのか「集団」なのかで、実は使い方が変わってきます。 いちばんのポイントは、個人は「その個人の摂取量」から不足や過剰を判断するのに対して、集団は「その集団の摂取量の分布」から不足や過剰の「割合」を判断する、という点。(各図の左ブロックに記載されている部分) 例えば、「この集団でビタミンCの推定平均必要量を下回っている者の割合は、10%だな」と判断し、「10%が5%になるように食事計画を見直そう」のようなイメージ。

シリーズ『食事摂取基準』#42(指標別活用の留意点)

総合的に考える。 食事摂取基準を使うときは、「いろいろな特性を考慮して、総合的に判断しよう」と繰り返し述べられています。 これを具体的に表したのが、次の図です。(目標量視点) その対象者ごとに、エネルギー管理を優先するのか、飽和脂肪酸摂取量の管理を優先するのかなどが変わる。食事だけが要因ではない。また、すべて理想通りにいくわけではないし、絶対的な正解があるわけでもない。 以前、食事摂取基準のサイクルは「アセスメント」から始まるというお話がありましたが、そこともつながる

シリーズ『食事摂取基準』#41(指標別活用の留意点)

目標量 目標量は、生活習慣病の発症予防を目的とした指標でした。 使うにあたっての注意点は2つ。 1つ目は、生活習慣病の原因には多数あり、食事はその一部であるということ。 例えばナトリウムは、高血圧の予防として値が設定されていますが、他の要因(運動・肥満・アルコール・カリウムなど)を無視して考えても意味がありません。 2つめは、生活習慣病は、欠乏症や過剰症よりも長い年月をかけて発症するということ。 そのため、短期間に厳しく管理したとしても、効果が出るものではありませ

シリーズ『食事摂取基準』#40(指標別活用の留意点)

耐容上限量 耐容上限量は、過剰障害の回避を目的とする指標でした。 カンタンに言うと「過剰摂取を回避する量」 しっかりした定義では「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」 つまり、耐容上限量の値を超えて摂取した場合、過剰摂取による健康障害発生リスクが0より大きいことを示します。ただし、通常の食品を食べている場合で、この値を超えることはほとんどありません。 また、以前見た通り、耐容上限量を策定する根拠は、多くが「症例報告」(発生事故事例)であり、

シリーズ『食事摂取基準』#39(指標別活用の留意点)

目安量 目安量は、十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量や推奨量を算出することができない場合に設定される指標でした。 不足を起こさないためのざっくりとした値なので、理論的には推奨量よりも高い値であると感がられます。 よって使うときの視点に立つと、目安量付近を摂取していれば「個人の場合は不足の確率がほとんどない」「集団の場合は不足が生じていると推定される対象者はほとんど存在しない」となります。 また、一方で注意点もあり、それは「目安量未満を摂取していても、不足の有無

シリーズ『食事摂取基準』#38(指標別活用の留意点)

推奨量 推奨量は、栄養素の不足を回避するための指標であり、推定平均必要量から推奨量換算係数をかけて算出される値でした。 カンタンに言うと「ほとんどの者が充足している量」 しっかりした定義では「ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団に属するほとんどの者(97〜98%)が充足している量」 よって使うときの視点に立つと、 「個人の場合は不足の確率がほとんどない摂取量」「集団の場合は不足が生じていると推定される対象者がほとんど存在しない摂取量」となり、「この

シリーズ『食事摂取基準』#37(指標別活用の留意点)

推定平均必要量 推定平均必要量は、栄養素の不足を回避するための指標でした。 確率的には、個人では「不足の確率が 50%」、集団では「半数の対象者で不足が生じると推定される摂取量」です。 そのため、摂取量が推定平均必要量を下回っている場合、不足のリスクが高くなります。 ここでポイントとなるのは、推定平均必要量を下回った場合のリスクの高さは、「栄養素によって異なる」という部分です。 a 集団内の半数の者に不足又は欠乏の症状が現れ得る摂取量をもって推定平均必要量とした栄養素

シリーズ『食事摂取基準』#36(指標別活用の留意点)

エネルギー 食事摂取基準におけるエネルギー摂取量の指標はBMIでした。BMIは、身長と体重から計算されます。ただし、成人になってから基本的に身長は変化しないため、実際には「体重」を測定し、その変化を見ていくことになります。 今日も勉強おつかれさまです。 marcy

シリーズ『食事摂取基準』#35(活用に関する基本的事項)

調理による変化 食事摂取基準で示されている値は、「摂取時」の値として設定されています。言い換えるとこれは、「調理による栄養素の変化は考慮されていない」ということでもあります。 「料理をする前に準備した材料に含まれる栄養素量」と、「料理として実際に口から食べた分に含まれる栄養素量」は違う、という点がポイントです(^^ 今日も勉強おつかれさまです。 marcy

シリーズ『食事摂取基準』#34(活用に関する基本的事項)

食品成分表との違い 食事調査によって得られた摂取量から、エネルギー量や栄養素量を推定するには「食品成分表」が用いられます。 食事摂取基準2020年版では、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」が用いられています。 食事摂取基準や食品成分表で提示されている栄養素は、基本的に同じものです。ただし中には例外があり、「名前とその中身の定義」が異なっているものがあります。 関連する問題 今日も勉強おつかれさまです。 marcy

シリーズ『食事摂取基準』#33(活用に関する基本的事項)

日間変動 食事調査における測定誤差で、「過小申告・過大申告」と同じように重要なのが、「日間変動」です。日間変動は、同じ人であっても、摂取するエネルギーや栄養素量には、毎日差があるというものです。 食事摂取基準は「習慣的な摂取量」で判断するものなので、日間変動を考慮しないと評価を間違えてしまいます。また、栄養素の種類によっても、日間変動の大きさが異なることに注目です。例えばビタミンDは、変動が大きい栄養素として知られています。 食事摂取基準では、「(日間変動が非常に大きい

シリーズ『食事摂取基準』#32(活用に関する基本的事項)

測定誤差 どんな食事調査であっても、得られる摂取量には必ず「測定誤差」があります。なかでも「過小申告・過大申告」と「日間変動」は重要な誤差であり、この存在を知っておくことが大切です。 過小申告・過大申告 食事調査は、多くの場合食べた人の自己申告によって情報を得ます。そのため、この申告時に誤差が出ることが考えられます。具体的には、多く申告してしまう「過大申告」と、少なく申告してしまう「過少申告」です。 【特徴】 ・エネルギー摂取量の過小申告が多い ・肥満度の影響を強く受