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【marcyノート】(管理栄養士国家試験対策の解説)

marcyノートは、国試対策に特化したマガジン(記事集)です。 (このマガジン(有料版)は、2024年9月30日 に終了いたします)
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2023年10月の記事一覧

シリーズ『食事摂取基準』#15(レビューの方法)

エビデンスレベル 医療分野における疾患ガイドラインでは、一般的にエビデンスレベルが明示されていることが多いです。 が、現在の食事摂取基準では、基本的にこの方法はとられていません。 ただし2020年版からは、「目標量」に限ってエビデンスレベルが明示されるようになりました。 つまり同じ「目標量」であっても、「たんぱく質の目標量」と「炭水化物の目標量」では、その根拠の強さが違うということがわかります。 関連する問題 今日も勉強おつかれさまです。 marcy

シリーズ『食事摂取基準』#14(レビューの方法)

科学的根拠 食事摂取基準は、基本的に「科学的根拠に基づいて策定」されています。つまり、専門家の勘や経験ではなく、1つの研究だけでもなく、「国内外の学術論文や入手可能な学術資料を最大限に活用」して考えられています。 システマティック・レビュー そしてその手法は、具体的に「システマティック・レビュー」(系統的レビュー)という方法で行われています。 関連する問題 今日も勉強おつかれさまです。 marcy

シリーズ『食事摂取基準』#13(年齢区分)

大きな年齢区分 食事摂取基準で与えられる値は、年齢ごとに区分されています。 乳児 →「出生後6か月未満」「6か月以上1歳未満」の2つ 小児 → 1〜17 歳 成人 → 18 歳以上 高齢者 → 「65〜74 歳」「75 歳以上」の2つ 細かい年齢 大きな年齢区分では、小児・成人は1つのかたまりでしたが、実際はもう少し細かく区切られています。 具体例(たんぱく質) 実際の表を見ながら、ここは乳児、ここは高齢者、と言い換えられるようになるとグッドです(^^ 関連する

シリーズ『食事摂取基準』#12(登場する指標)

栄養素と設定されている指標 栄養素の指標の最後に、どの栄養素にどの指標が設定されているのかを確認しておきます。 すべての栄養素にすべての指標が設定されているわけではない 推定平均必要量がある栄養素には、基本的に推奨量もある(ナトリウムは例外) 推定平均必要量と推奨量が設定されている栄養素には、目安量はない 目安量がある栄養素には、推定平均必要量と推奨量はない 耐容上限量は(科学的根拠が十分でないから)設定されていないものがある 目標量は設定されているものの方が少

シリーズ『食事摂取基準』#11(登場する指標)

栄養素の指標まとめ これまで、栄養素に設定されている5種類の指標をみてきました。ここで一度まとめて振り返っておきます。 全体を理解する 食事摂取基準本文の中には、栄養素の各指標を概念的に理解するための表が載っています。 まず、横軸が「習慣的な摂取量」右にいくほど多い 縦軸左が「不足のリスク」上にいくほどハイリスク 縦軸右が「過剰のリスク」上にいくほどハイリスク ・推定平均必要量は、半分の確率で足りている値なので、「不足のリスク0.5」の位置。(いちばん摂取量が少ない

シリーズ『食事摂取基準』#10(登場する指標)

目標量 食事摂取基準において「目標量」と聞いたときは、 ・栄養素の「指標」である ・「生活習慣病の発症予防」が目的である と思い浮かべるのがスタートです。 「目標量」(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases:DG) カンタンに言うと「生活習慣病予防のための摂取量」 しっかりした定義では「生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量」 注意点 指標とし

シリーズ『食事摂取基準』#9(登場する指標)

耐容上限量 食事摂取基準において「耐容上限量」と聞いたときは、 ・栄養素の「指標」である ・「過剰摂取による健康障害の回避」が目的である と思い浮かべるのがスタートです。 「耐容上限量」(tolerable upper intake level:UL) カンタンに言うと「過剰摂取を回避する量」 しっかりした定義では「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」 特徴「十分な科学的根拠が得られたものについては耐容上限量を設定する」「十分な科学的根拠が得ら

シリーズ『食事摂取基準』#8(登場する指標)

目安量 食事摂取基準において「目安量」と聞いたときは、 ・栄養素の「指標」である ・「摂取不足の回避」が目的である ・3つあるうちの1つである と思い浮かべるのがスタートです。 「目安量」(adequateintake:AI) カンタンに言うと「十分な量」 しっかりした定義では「特定の集団における、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量」 大きな特徴「十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合に算定される」 もちろん、適当に決めているわけでは

シリーズ『食事摂取基準』#7(登場する指標)

推奨量 食事摂取基準において「推奨量」と聞いたときは、 ・栄養素の「指標」である ・「摂取不足の回避」が目的である ・3つあるうちの1つである と思い浮かべるのがスタートです。 推奨量(recommended dietary allowance:RDA) カンタンに言うと、「ほとんどの者が充足している量」 (推定平均必要量を補助する目的で設定される) しっかりした定義では、「ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団に属するほとんどの者(97〜98%)が充

シリーズ『食事摂取基準』#6(登場する指標)

推定平均必要量 食事摂取基準において「推定平均必要量」と聞いたときは、 ・栄養素の「指標」である ・「摂取不足の回避」が目的である ・3つあるうちの1つである と思い浮かべるのがスタートです。 「推定平均必要量」(estimated average requirement:EAR) カンタンにいうと「半数の者が必要量を満たす量」 しっかりした定義では「ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団(例えば、30〜49歳の男性)における必要量の平均値の

シリーズ『食事摂取基準』#5(登場する指標)

「指標」には種類がある 食事摂取基準には、「エネルギー」と、30種類以上の「栄養素」が登場します。そしてこの登場人物たちには、それぞれ不足や過剰などを判断するための「指標」が設定されています。 エネルギーの指標 エネルギーは、「エネルギー摂取の過不足の回避を目的とする指標」が設定されています。具体的には、シンプルに「BMI」(体重kg÷身長mの2乗で計算する体格指数)です。 BMIの変化を見ることで、エネルギーの過不足を判断しよう、という方針です。 栄養素の指標

シリーズ『食事摂取基準』#4(登場する栄養素)

根拠法 食事摂取基準は、健康増進法がベースになっています。 関連する問題 見逃しがちですが、健康増進法、厚生労働省、厚生労働大臣は、食事摂取基準の土台となるキーワードです(^^ 今日も勉強おつかれさまです。 marcy

シリーズ『食事摂取基準』#3(内容の分類)

2020年版の対象者 食事摂取基準の定義では、 「健康な個人及び集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの」と書いてありました。 基本骨格はこの通りですが、2020年版では、「対象者」の範囲が広がっています。 対象者 ・健康な個人及び健康な者を中心として構成されている集団 ・生活習慣病等に関する危険因子を有しているものを含む ・高齢者はフレイルに関する危険因子を有していても、おおむね自立した日

シリーズ『食事摂取基準』#2(内容の分類)

本文の構造 食事摂取基準の本文は、大きく「総論」と「各論」に分かれています。 各論は、たんぱく質やビタミンCといった具体的な栄養素についての話で、一般的にイメージされる部分です。 一方総論は、食事摂取基準がどんな存在で、どう使えばいいのか、どう理解すればいいのかといった、土台になることが書かれています。 試験においては両方から出題されており、もちろん内容もつながっています。 今回のシリーズは、より全体を把握するために、総論から見ていきます。 2020年版の目的 前