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シリーズ『食事摂取基準』#11(登場する指標)

栄養素の指標まとめ

これまで、栄養素に設定されている5種類の指標をみてきました。ここで一度まとめて振り返っておきます。

引用 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

「推定平均必要量」(EAR)
カンタンにいうと「半数の者が必要量を満たす量」
しっかりした定義「ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団(例えば、30〜49歳の男性)における必要量の平均値の推定値を示すもの」「当該集団に属する50%の者が必要量を満たす(同時に、50%の者が必要量を満たさない)と推定される摂取量」

「推奨量」(RDA)
カンタンに言うと「ほとんどの者が充足している量」
(推定平均必要量を補助する目的で設定される)
しっかりした定義「ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団に属するほとんどの者(97〜98%)が充足している量」
特徴「推奨量は、推定平均必要量が与えられる栄養素に対して設定される。また、推定平均必要量を用いて算出される。」

「目安量」(AI)
カンタンに言うと「十分な量」
しっかりした定義「特定の集団における、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量」
特徴「十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合に算定される」

「耐容上限量」(UL)
カンタンに言うと「過剰摂取を回避する量」
しっかりした定義「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」
特徴「十分な科学的根拠が得られたものについては耐容上限量を設定する」「十分な科学的根拠が得られない栄養素については設定しない」

「目標量」(DG)
カンタンに言うと「生活習慣病予防のための摂取量」
しっかりした定義「生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量」

全体を理解する

食事摂取基準本文の中には、栄養素の各指標を概念的に理解するための表が載っています。

引用 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

m.ちょっと難しそうですが、各指標の特徴を知ったうえで、1つずつ分解してみていくと、なんとなくわかるようになってきます。(これがわかると理解がグット深まるので、がんばるポイント!)

まず、横軸が「習慣的な摂取量」右にいくほど多い
縦軸左が「不足のリスク」上にいくほどハイリスク
縦軸右が「過剰のリスク」上にいくほどハイリスク

m.単に、摂取量が少ないと不足のリスクが高くなるし、多くなると過剰のリスクが高くなるよね、を表している曲線です。そして、栄養素の各指標は、この曲線のどの辺りにポジションされるのかな?を表した図です。

・推定平均必要量は、半分の確率で足りている値なので、「不足のリスク0.5」の位置。(いちばん摂取量が少ない)

・推奨量は、97-98%足りている値なので、「不足のリスク0.025」あたり。

・目安量は、推定平均必要量と推奨量がわからないときに設定されるだいたいの値。不足がおこらない多めの位置。(くわしい値がわからないから)

・耐容上限量は、過剰による健康障害のリスクが上がらないギリギリの値なので、曲線が上昇する手前。

・そして目標量は、生活習慣病発症予防の指標なので、この表には入れられない。(他の4つとちょっと性質が違う)

m.栄養素の指標の全体像がつかめれば、食事摂取基準自体の理解もグッと深まります(^^

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