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シリーズ『食事摂取基準』#6(登場する指標)

推定平均必要量

食事摂取基準において「推定平均必要量」と聞いたときは、
・栄養素の「指標」である
・「摂取不足の回避」が目的である
・3つあるうちの1つである と思い浮かべるのがスタートです。

引用 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

「推定平均必要量」(estimated average requirement:EAR)
カンタンにいうと「半数の者が必要量を満たす量」
しっかりした定義では「ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団(例えば、30〜49歳の男性)における必要量の平均値の推定値を示すもの」
「当該集団に属する50%の者が必要量を満たす(同時に、50%の者が必要量を満たさない)と推定される摂取量」

m.例えば、何かの栄養素の推定平均必要量が「50g」であれば、50gを摂取すればその集団の半分の人たちが足りている状態。つまり50g以上とっている人は、「50%の確率で不足していない」と言うことができる。食事摂取基準は確率で考えるので、「100%足りてます・不足してます」と判断しないところがポイントです。

また、推定平均必要量は「十分な科学的根拠が得られたものについては、推定平均必要量を設定する」とされています。つまり、たくさんの調査があり、しっかりした根拠がある栄養素には「推定平均必要量」が載っている。そういう意味でも、いちばん基本となる指標というイメージです。

注意点

推定平均必要量は、摂取不足の回避が目的だが、ここでいう「不足」とは、必ずしも古典的な欠乏症が生じることだけを意味するものではなく、その定義は栄養素によって異なる。

引用 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

推定平均必要量は、いろいろな栄養素に設定されており、すべて「摂取不足の回避が目的」です。ただし、何をもって「不足」というのかは、栄養素によって異なります。

例えば、ビタミンのナイアシンは、欠乏症のペラグラの発生が「不足」。
ビタミンCは抗酸化作用の有無が「不足」と判断されています。(ビタミンC欠乏症の壊血病ではないという意味)

m.ちょっとややこしいですが、同じ「推定平均必要量」という指標であっても、栄養素によって「どんな不足を回避しようとしているか」は違う。個別に決まっているので、それぞれを把握してね、ということです。

関連する問題

25回167番
「日本人の食事摂取基準」に関する記述である。正しいのはどれか。
(1) 推定平均必要量は、対象集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される摂取量である。
答え 〇

29回91番
日本人の食事摂取基準において、「集団の50%の人が必要量を満たすと推定される摂取量」と定義された指標である。正しいのはどれか。
(1)推定平均必要量(EAR)
(2)推奨量(RDA)
(3)目安量(AI)
(4)耐容上限量(UL)
(5)目標量(DG)
答え 1

34回86番 
日本人の食事摂取基準における、成人の推定平均必要量(EAR)の策定根拠に関する記述である。
(2)ナイアシンは、尿中にナイアシン代謝産物の排泄量が増大し始める摂取量から算定された。
× ペラグラの発症を予防できる最小摂取量

(3)ビタミンCは、壊血病を予防できる摂取量から算定された。
× 心臓血管系の疾病予防効果及び、有効な抗酸化作用を示す量

ちなみに最近は、問題文は「EAR」のみで出題されています(^^

今日も勉強おつかれさまです。
marcy

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