マガジンのカバー画像

小説

181
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

もらいもの(仮)27

いや、我ながらこれはほんとにヤバいな。今置かれてる状況以上に何十年もそんな調子で生きてき…

もらいもの(仮)26

二歩。 思うにこういう時ではないのか。いわゆるフラッシュバックというものが起こるなら、こ…

1

もらいもの(仮)25

やがて辺りは不気味なほどの静寂に包まれた。窓からは春の光が差し込み、何年も見過ごされてき…

1

もらいもの(仮)24

――!! それはまるで、極限まで圧縮された空気が一気に放出される時の衝撃のようだった。ド…

2

もらいもの(仮)23

竹野内豊-Wikipedia 竹野内 豊(たけのうちゆたか、1971年1月2日-)は、日本の俳優。東京都出…

1

もらいもの(仮)22

「元はと言えばね、奥さんのご主人が会社をやってらっしゃったんですよ。建設関係のね。僕もそ…

もらいもの(仮)21

「山口さん。もう私は騙されませんよ!」 仕事を終えた山口さんは、額の汗を拭いながら達成感に浸っているところだった。 「騙されないというか、最初から分かり切っていましたよ。あなたたちは私を利用しようとしているんですよね? 保険金をかけて殺すつもりなんですよね? 私がお人好しなのをいいことに、物で釣ってその時が来るまで飼い殺しておこうという魂胆なんですよね?」 山口さんはぽかんとして私を見ていた。 「確かに私は生きる気力に欠けています。何となく今が快適ならそれでいいやと思

もらいもの(仮)20

「あ、そこ何かありますよ」 山口さんはぶっきらぼうに流しの上を指差した。そこには紙袋に入…

もらいもの(仮)19

「あっ、おかえりなさい」 山口さんは仕事の手をいったん止めると快活な声で言った。六畳間に…

もらいもの(仮)18

私は叱られた子供のようにうなだれ立ち上がった。そして男に背を向けたまま、とぼとぼと歩き出…

4

もらいもの(仮)17

殺されるのは怖いし嫌だ。もちろん私の人生が正真正銘どこから見てもハズレであったことは否め…

もらいもの(仮)16

起きると山口さんはいなかった。何もなかった部屋には食器などの生活用品が少し持ち込まれてい…

1

もらいもの(仮)15

山口さんが運んできた真新しい二組の布団は再び私に軽い衝撃を与えた。その布団は、私がそれま…

もらいもの(仮)14

山口さんは何も答えない。無言のまま私から視線を逸らさない。だが私だって負けるわけにはいかない。確かにこれまでは声を上げない人生であった。どんな理不尽にも目をつぶり、世の中所詮そういうものだとやり過ごし続けた人生ではあった。今思えばそこはお前の非だと責められても致し方のない点かもしれない。だがさすがにこれは一線を超えている。さすがに私にだって尋ねる権利はあるはずだ。しかし口を開こうとした私より先に山口さんは言った。 「なんでというか……それで何か困ります?」 山口さんは開き