だから、あなたには同じものを
朝9時、チャイムが鳴った。パソコンの前に座ったままモニターの向こうに視線を移す。レースカーテンの隙間から見えたのは白い軽のワンボックスで、ちょうどドライバーが荷物を運び出しているところだった。佐川急便のお兄さんじゃない。珍しいなと思いながらインターホンに出ると、「お荷物のお届けにまいりました」という女性の声が返ってきた。
ゆったりとした動きでゆうパックを手渡してくれる配送員。失礼だけど短時間に多くの荷物を届けるこの仕事は適職ではないようだ。けれど「大切な荷物を手渡す」という