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智に働けば、角が立つ。情に棹させば、流される。

悪意なく人を傷つけてしまうことは誰にでもある。
かくいうわたしも例外ではないのだと思う。

あらゆるサークルが新入生にサークルの説明をしたり、勧誘をしたりする新入生歓迎会の最終日、友人Yのある発言に腹が立ってしまった。 
久しぶりに友人に対してイラッとしてしまい、大人げない対応をしてしまったので反省も込めてそのお話。
(競技ダンスを現在やっている、もしくはやっていた方は不快に思う可能性があるのでご注意ください。)

Y君は大学生活で最初にできた友人だ。
入学前の学部説明会で席が近かったことがきっかけだった。
学部も専攻も同じ。異性とはいえ、専攻まで同じ人と友人になれて嬉しかった。
説明会の初日に仲良くなったわたしたちは、新入生歓迎会を一緒に回ることになった。

新入生歓迎会初日で既にわたしは競技ダンスのことも先輩方のこともすっかり大好きになっていた。(競技ダンスや先輩方との出会いについては下の投稿で詳しく話しているのでもしよろしければぜひ。)


………という話をY君にもしていた。
その話に興味を持ったのか、競技ダンス部のステージ発表を一緒に観に行くことになった。

この日も素敵なパフォーマンスをしている先輩方にまた胸がどきどきした。
競技ダンスやっぱりかっこいいな〜〜〜〜〜!素敵だな〜〜〜〜〜!!!!!!
やはり、ふたりの人間というよりもひとつの生命体のようだ。

ステージに視線を奪われたままのわたしに彼がこんなことを言い放った。

「なんか、動きが気持ち悪いね。」

「………。」

………え、今気持ち悪いって言った?????

Y君の方を向くと、にやにやしているY君と目が合った。
自分が馬鹿にされることよりも傷ついたし、悔しかったし、それと同時に怒りが込み上げてきた。

仮にも友だちが興味あると言っているものによくそんなこと言えたな。
そもそもまだ発表中なのだから話しかけんな。
気持ち悪いってなんなの。
真面目にやってる先輩方に失礼だろ。
それ面白いと思って言ってるの。
言いたいことは山ほどあったが、言葉を飲み込んで無視してしまった。口を開くと、きっと良くない言葉を言ってしまうと思ったから。だけど、無視は大人げなかったな。

彼にはきっと悪意などなかった。
初めて話した時からなんとなく、デリカシーのない世界線の人間だと感じていた。
それがなんとも難しいというかなんというか。
悪意のない人間の言葉ほど刺さるものはない。

動き気持ち悪い事件後の夜、Y君から競技ダンス部の体験会の日程を教えて欲しいという内容のLINEが届いた。

動きが気持ち悪いと言っていたのに??????

何回読み直しても意味がわからなかった。思いがけない連絡に困惑した。
どれだけY君の気持ちを考えてみても理解に苦しんだわたしは、未読無視をしてしまった。

彼の小馬鹿にしたような発言やその後の態度に腹が立つ一方で、それほど競技ダンスのことが、先輩方のことが好きになってしまったことに気づく。
自分のことのように怒りを感じるほど好きになっちゃってた。
これは正直嬉しい発見かも。


わたしはもう人間という生き物を5周くらいしているが、Y君はまだ1周目だからオブラートというものを、言わないほうが良い言葉の存在を、知らないのだ。
自分の発言が誰かを傷つけることなど思いもしないのだ。
人間は失敗して学ぶ生き物だと昔から言われているし、Y君は今人間研修中だからしょうがない。新人に失敗はつきものだ。
人間初心者だもんね。やったことなかったらいきなりは出来ないもんね。
しょうがないよね。優しく教えなきゃね。
わたしは他人にイラッとしてしまった時、こう考えるようにしている。
見下しているように感じるかもしれないが、幾分か冷静さを取り戻せる気がする。気持ちが紛れる気がする。


今までY君の発言に対してもやもやすることはあっても、腹が立ったのはこれが初めてだった。一縷の望みにかけてわたしが何故怒りを感じたのか伝えてみよう。
今後、競技ダンス部の先輩方が傷つけられることのないように。わたし以外の誰かが傷つけられることのないように。話をしてもだめそうならもう関わらないようにしよう。
こう考えたわたしは「競技ダンス部の体験会の日程を送って欲しい」と追いLINEをしてくるY君に、先の発言で不快な気持ちになったことを伝えた。


幸い、Y君は謝罪してくれた。本当に思っているかなんて知らないけど。
それでも、ちゃんと謝ってくれる人で良かったと思う。
彼曰く、「男が身体をくねくねさせて踊るっていうのを正直ネタでしか見たことなくて、あの時はすごく驚いた。」らしい。
どういう思いで発言したのかを知ることができた。
でも、こういうやりとりはLINEじゃなくて直接したかったなあ。

後悔が残りつつも、もうこの件は終わりにすることにした。
わたしも悪いところあったし。未読無視とか未読無視とか。あと、未読無視とか。
最後も、「Y君が無神経でデリカシーのない人だってことは初日から知ってたし。」なんて、言わなくても良いことをわざわざ棘までつけて伝えてしまった。
わたしもまだまだ子供だ。
相手がデリカシーのない人であっても、わたしまで仕返しする必要はなかった。
同じ土俵に立つべきではなかった。
言葉を選ばないで言えば、こちらが成り下がる必要はない。ミミック・デリカシーなし人間になることはない。もちろん、自分が崇高な人間だとは思っていないのだけど。
無神経なY君にはなんとも思われていないかもしれない。わたしの言葉に付いていた棘に気づいてすらいないかもしれない。
が、もしかしたらY君を傷つけてしまったかもしれない。
人を傷つける趣味はないので後悔した。

この件から今日4月26日までY君とは一度も口をきいていない。いくつか授業は被っているから姿は見かけるが、席が遠かったりしてなんだかんだ話していない。
今後のこともわからない。
先に言っておくと、わたしは避けていない。もうなんとも思っていないから。
たまたまタイミングが合わないのか、それともY君がわたしを避けているのか。
知る術はないし、知ったこっちゃない。
余談だが、最近わたしは考えても答えが出ないことはなるべく考えないようにしている。なるべく。
もちろん答えがないけど考えなければいけないものもあるが、こういう人間関係のことは考えない。
答えが出ないなら考えても悩んでしまうだけだと思うようになったからだ。
今は「これは考えても答えがでないから考えなくて良い」と半ば無理やり考えないようにしているが、いつかは慣れて無意識でもそうなれるのだろうか。



今度Y君を見かけたらわたしから声をかけようか。でも、もしY君が努めてわたしを避けていたとしたらそれはどうなのだろう。
どうするのが正解なのかはわからないし、そもそも人間関係における正解ってなんなのだろう。
最適解と表現した方が正しそう。こういうことは時間が解決してくれるような気もしている。
良くも悪くも、出来事を美化してくれる時間に委ねることにしようかな。



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