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お金について考える その11 お金から平和へ(ロシアのウクライナ侵攻を考える) 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

統一通貨=平和の固定化
〜ロシアのウクライナ侵攻に対する考察前のまとめ


経緯
 その1では、父が持って帰ってきた造幣局が作った貨幣の歴史に関する本がキッカケで、変動相場制、ニクソン・ショック(ドル・ショック)などをリアルタイムで経験しつつup to為替相場まで、これらの激しい変化も全てお金が仮想化されているからしなやかに吸収できているんだなぁと理解。そんな知識整理が人生の早い段階で整い始めたという経緯で、お金について考える時には仮想化ということを何時も意識する様になっているというお話でした。

 その2は、経済という切り口でのお金への理解。仮想化されたお金というパラメータが日常生活から世界経済まで等しく機能しているという理解のお話でした。

 そもそも経済とは市場が生産活動を調整するシステムこことで、古典ギリシア語の οικονομία(家政術)に由来するので日常生活からというのは当たり前過ぎなのですが、それこそ意識しなくなっていることでした。 

 その3は、お金について考え抜いたから基幹産業での人生を選び、その考え抜いた結果を確実に実践できたサラリーマン人生だったというお話でした。

 その4は、国という概念や民族という概念が厄介で、自国通貨も国という概念から出てきていて、国内的には各人の能力に応じて納税という形で社会貢献に使われることが最大の機能の1つだと理解して居るというお話でした。

 その5は、物理屋的な視点では、
お金について考える=為替について考える
ということというお話でした。

 その6は、物理屋からは、お金について考えと、世界経済が投機に委ねられているのは大きな課題だと見えているというお話でした。

 その7は、お金から平和へというEUの挑戦のお話でした。
本邦でも徳川家康が貨幣制度を統一し天下統一を固定化しました。統一通貨ユーロ導入も、経済を切り口に国というややこしい戦争の種をEUとなることで少しずつ潰すことに成功している人類にとってある意味でお手本かと。

 その8は、その7の裏側としてのユーロの課題のお話。経済的(お金)に弱かったギリシャ等の南欧諸国への配慮の必要性が顕在化。日本の北海道や沖縄の問題と同じで、今はより強い統合による政策の仕組み作りに苦しんでいるもののこのまま統合が深化すれば何れ解消するというレベル。なので今後に期待というお話でした。

 その9は、連邦たる米国のケースでも一旦統一通貨を作るも内戦たる南北戦争であるがそれが崩れ、結局北軍の通貨に収斂して統一通貨として今に至るという経緯が有り、EUの挑戦同様にお金の役割を深く考えさせられる歴史が見て取れるというお話でした。

 その10は、中国も実は超多民族国家でそもそも国としての統一すら不安定な状況だけど耐えているというお話でした。
 知日である習近平さんが、高度な舵取りをして国際的に認められる大国として何とか御すことができていて、勿論統一通貨も死守して平和の固定化を何とか進めている状況。
 ということで本邦、EU、米国、中国に見る統一通貨が平和の固定化の一助となるという類似性の俯瞰が完了しました。

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 今回は、網羅的な理解を基に、至近のロシアのウクライナ侵攻を題材にここまでの知見を当てはめて考えたいと思います。

 今のロシアのプーチン政権は、一見ソビエト“連邦”の再興を標榜しているかの様に見えます。しかし…

 そもそもソビエト連邦は、1917年にレーニンが率いるボリシェヴィキが、二月革命でできたロシア臨時政府を転覆した十月革命が起源です。人類初の社会主義国家であるロシア社会主義ソビエト共和国が樹立。しかしその後も不安定でソビエト共和国から分離独立する地域が続出しました。

 このことがその後、歴史的に大きな火種となります。

 その後その不安定さはより顕在化し、ボリシェヴィキの赤軍と、反ボリシェヴィキの白軍とに分かれての内戦が勃発しました。これに我が国を含め米、英、仏が白軍を支援する対ソ干渉戦争に発展しました。

 結局赤軍が1920年この内戦に勝利し、ソビエト共和国から分離独立した国々を1921年までに奪還して、ボリシェヴィキ派のソビエト政権を樹立しました。ボリシェヴィキは旧ロシア帝国領の再統合を果たし、1922年末にロシア、ウクライナ、ザカフカース、白ロシア(ベラルーシ)の4つのソビエト共和国から成るソビエト連邦が生まれました。

 ポイントはソビエトの連邦という建付けです。

ソビエトとは、労働者の代表によって構成する評議会のことです。ソビエト連邦の国会は、最高ソビエトと呼ばれました。

 連邦(聯邦)とは、2つ以上の国(州)、支分国が1つの主権の下に結合して形成する国家形態です。 対義語は単一国家です。

 その前提でロシアのプーチン政権のメッセージ

「ソ連はもう存在しない。過去を取り戻すことはできない。ロシアはもはやソ連を必要としていない。われわれはソ連を目指していない」

 を鑑みると連邦ではなくロシアは単一国家を目指していると読み解けます。そして…

 そもそもロシアにはルーブル通貨圏を維持したいという考えがありました。ルーブル発行権を一手に握ることで旧ソビエト連邦地域を束ね、先ずは金融・財政政策を一元的にコントロールする事から始めようということを標榜していると考えられます。

 クリミア半島やそれを含むウクライナ侵攻は上述の枠組みの中での行動だという見方です。また以下のような切り口も…

 日本ではバブル景気末期…

 1991 年の旧ソ連崩壊後、国民投票で 90%以上の賛成を得て独立したウクライナとロシアとの確執の歴史は長い。「ウクライナ 通貨誕生」(岩波現代文庫)の著者であるエコノミストの西谷公明氏は「ウクライナがルーブルに代わる独自通貨(フリブナ)の導入を決めた時点から、今日の最悪の戦争へとつづく因果がすでにはじまっていた」と見る向きも有ります。(出典は以下)

 そうです。ここでもロシアなりではありますが、

統一通貨(ルーブル)=(旧ソビエト連邦地域の)平和の固定化

という考え方です。詰まりプーチン政権は、一見ソビエト“連邦”の再興を標榜しているかの様に見えますが、それを超えて連邦ではなく単一国家としての平和を統一通貨としてのルーブルの定着から始めようとしているという考え方です。

 ですから本邦、EU、米国、中国に見る統一通貨が平和の固定化の一助となるという類似性から至近のロシアのウクライナ侵攻を考えると、それは単一国家として旧ソビエト連邦地域(例えばウクライナ、ザカフカース、白ロシア(ベラルーシ))を統合するという流れの中の一コマで、ルーブル圏の拡大、定着からしたたかに進めようともしている、と見る向きもあるということです。

 いずれにせよ

統一通貨=平和の固定化

という切り口でお金を考えるというのは有効だと思っています。

つづく




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