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教員を辞める本当の理由


切なくなったからだ。

発端は休職中なのに仕事をさせられたこと。

休職に入るとき、「〇〇先生しかテスト作成も成績付けもできないから、申し訳ないけどそれだけは責任持ってよろしくお願いします。」と言われた。

私は、内心「え、、、まじ?」という感じだったのだが、突然休職に入ってしまった負い目と謎の責任感で了承した。

それで、先々週に無理矢理テスト作成を完了させた。休職前にたまたま持って帰ってきていた校務PCで。

そして今週は、成績入力の〆切だった。
数百人の成績を一つ一つ付けるのは、家でゆっくり休み休み進めても、適応障害にとってはかなり過酷だった。
何とか数日かけてやり終えた。

学校のPCを起動するのも、私が途中で授業できなくなった子どもたちの名前を見るのも、彼らひとりひとりの成果を思い出すのも、全部苦しかった。
ストレスがヤバ過ぎてゲロを吐いた。

ゲロ吐いたくらいから徐々に、
怒りが込み上げてきていた。

もう限界だと思った。

成績処理が完了した報告をする時に、
どうしても我慢できず、
怒りを込めながら、こう文章にした。

「成績入力完了しました。

仕事ができない状態だから休職しているのに、『〇〇先生(私)しかできないから、責任もって』と、家で期末テストを作らせたり、成績を付けさせたりするのはおかしいと思います。これ以上はもう無理です。」

と。

言いたいことは他にも山ほどあったが、要件+私が絶対正論だと信じられる事実+私の意志を端的に述べるように心がけた。

すると、数分もしないうちに、
「ご負担をかけて申し訳ない」的な内容と、「あなたのおっしゃる通りです申し訳ない」的な長めの返信が来た。

何だかすごく悲しく虚しくなった。

こんなことならはじめから強く断ればよかったという後悔。
「申し訳ありません」を100%管理職から引き出せるような内容で安全な場所から攻撃したこと。
正しいことのはずなのに、なぜが卑怯なことをしている気持ちになる自分。
こんな下っ端の新人が勇気を振り絞ってそうせざるを得ないほどリテラシーの低い職場。

私だって数週間前には現場にいたんだから、学校と教職員がどれくらい疲弊していてギリギリの状態なのか、痛いほど分かっている。

分かっていたからこそ、違法とすら思える、休職中の仕事も引き受けた。

でもそれは間違った判断だった。
私の判断はブラック労働を助長した。
今後休職に入る先生が家で無理矢理仕事をさせられる片棒を、私が担いだのだ。


そのことにだって、本当は仕事を引き受ける前から気づいていた。

私は「正しさ」と「現場の先生たち」を天秤にかけた結果、「正しさ」を選べなかった。

私に優しく親切にしてくれた仲間の同僚を苦しめたくなかった。管理職だって、休職している教員に仕事をさせるのは間違ってると思うけれど、それ以外の様々な場面では本当に私に良くしてくれた。個人としては好きな人たちだ。


だから切ない。

すごくすごく切ない。

休職中に仕事させられた苦しみ自体が切ないわけじゃない。

休職中の教員が仕事をしないと回らない職場
それでまた擦り減っていく職場
だから事なかれ主義になる職場
少しずつ少しずつ教員としてのポリシーや誇りが失われていく職場

教員という仕事が、素晴らしいものであればあるほど、この病巣のような労働環境、現場を取り巻くシステムを目の当たりにすると愕然とする。

それでも、ヘルシーじゃない環境で
精一杯「子どもたちのため」と笑う先生方。

大きな不条理の中で、右往左往する私たち。

ただ切なくて

まだ柔らかい心がとても痛むから

心が麻痺していくのが恐ろしいから

だから教員はもう辞めると思う。


宵闇とニンゲンに紛れ、 プチ贅沢に全力投資しますホッホー🦉 そしてより良いエンタメを貴方へ...