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#298 ホンダF1マネージャーが語るジョブ型の仕事の進め方

この週末、F1第4戦スベイングランプリが行われます。これから予選ですね。あるF1関係の記事で本場(?)のジョブ型の様子がわかるものがあったので、メモ。


1、F1?ホンダ??ジョブ型???

すいません、車好き、F1も好きです。特に今年はホンダ参戦の最終年、そして、久々の日本人F1ドライバーが参戦、と話題が豊富です。一部の中でかもしれませんが…

通常noteで取り上げるテーマではないのですが、エンジンサプライヤーとして参戦しているホンダのイギリス拠点で働く津吉氏のインタビューがジョブ型の仕事の進め方が伺える内容だったのでご紹介したいと思います。

ホンダは2015年からF1に復帰したのですが、2013年からイギリスバッキンガム州ミルトンキーンズにF1活動拠点を設立、日本で開発したエンジンを含めたパワーユニットの組み立て、メンテナンス、サーキットサービスを行なっています。

津吉氏は、その拠点のマネージャーで、日本、欧州を中心に15カ国ほどから集まった多国籍のメンバーの責任者です。

インタビュー記事から一部引用します。

チームを効率よく機能させ、開発のスピードと質を上げていくことが求められている中で、私の役割は各メンバーの能力や素質を見極めながら、それぞれの特徴にあったポジションや仕事を任せて、人材を育成することだと思っています。ひとりひとりが自分の仕事に満足しつつ、チームとしても結果を出していく姿が理想ですね。

一方で、日欧で異なるなと感じるのは、仕事に対する取り組み方という部分でしょうか。こちらでは”ジョブ・ディスクリプション”などで細かく職務内容が決まっており、そこに書いてある部分をとことんやっていくのが基本です。

契約社会ということもありますし、雇用形態の違いもあると思いますが、普通は自分に与えられた仕事以上の部分に手を出すことはありません。むしろ人の仕事、つまり自分の領域外に手を出すことはルール違反なので、仕事の進め方としてもスタンダードではありません。

やはり、「自分の仕事以外に手を出さない、むしろ自分の領域外に手を出すことはルール違反」であることが伺えます。

一方で、F1をやりたい、という人の集まりだということもあるでしょうが、以下のようなマインドだと指摘しています。

もちろん、仕事に対してやる気がないということではなく、逆にどんどん自分に仕事をやらせてほしいという想いはみんなが持っています。

そこで、津吉氏はホンダの文化も踏まえて、以下のようにチームをマネジメントされている、とおっしゃっています。

Hondaには自分の仕事の領域外に飛び出していく、積極的に繋がっていくことが推奨される文化があります。私自身もそのように先輩から教わってきましたし、自分のキャリア形成を振り返って見てみてもそのようなやり方で、技術や知見を高めてきました。ですので、いま一緒に働いている欧米出身のメンバーについても、『Hondaで働いている限りはやりたいことはやっていいんだよ』と伝えています。

自分の領域外のことでもアイデアがあれば手を挙げてもらい、それをきちんと評価してあげることが、最終的にはチームのアウトプットの上昇につながると思っています。彼らのスタンダードではないのですが、モチベーションの高い面々がそろっているので、それを活かしつつ、のびのびと仕事をしてもらえればと思っています。自分もこれまでそのような形でエンジニアとして育ててもらいましたし、日欧の違いはあれど、彼らがエンジニアとしての幅を広げていくことの手助けができればと考えています。


2、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

F1という特殊な世界ではありますが、イギリスで、多くの国から集まったジョブ型が常識のメンバーでの仕事の進め方の実例でした。

しかも、その中で日本の、というより、ホンダの仕事の進め方を融合し、個々の能力を引き出し、レースという結果が問われる現場で活躍されている、というのが印象的です。

実は、ホンダはエンジン周りだけ作っていて、車体側は、レッドブルとアルファタウリという2チームが作っている分業体制です。つまり、津吉氏の仕事は、自チームをまとめた上で、さらに車体を作っている別のチーム(イギリスとイタリアのチームです)と協働していかなければ結果にはつながらないのです。

この2チームとはうまくコミュニケーションが取れ、結果も出しているのですが、この2チームと組む前、2015年から3年間は別のマクラーレンというチームと組んで参戦していました。

この時には、ホンダ側も久しぶりの復帰ということでトラブルが多く、次第にマクラーレンは成績不振をホンダのせいにするようになります。当然ですが、車体とエンジンは密接な関係がありますから、原因が一方だけにある、というのはありませんし、非難されている中で密接なコミュニケーションが取れる訳もありません。となると問題解決は不可能だったでしょう。

結果、関係を解消し、それぞれ新たなパートナーと組むことになったのですが、ホンダの新たなパートナー、レッドブルは、日本文化を理解するための勉強会までしたそうです。そして、ホンダ側に「できないことはできないと言ってくれ。一緒に解決策を考えよう」と伝えたという話です。

結果、提携2年目の2019年、初戦で3位表彰台、そして優勝も成し遂げます。


昨日もジョブ型の記事の紹介でしたが、「形」ではなく、共通の目標に向かっていかにチームの力を引き出すか、という「目的」を見失わないようにしたいものです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

話題としてはマニアックかもしれませんが、仕事の進め方、という切り口での実例として、どこか参考になるところがあれば嬉しいです。

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