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なぜ、会ってすぐに自己紹介をしてはいけないのか?
※今回の記事は、あらゆる業種の営業マン、あるいはセミナーや研修で講師業をされる方に向けた記事だ。ひっじょーに狭い層に向けて書くことにする。
「人前でうまく話せない」「相手が話を聞いてくれない」「自己紹介のやり方がわからない」という方の一助になればうれしい。もしかすると「恋愛」でも使えるかもしれない。
では本編に参りましょう
↓↓↓
まずは、ちょっと想像してみてほしい。
もし、お腹が空いていないのに、大盛りのカレーライスを出されたら、あなたはどう思うだろうか?
「当店自慢のカレーです!スパイスからこだわってまして、お米は新潟の新米です!お水にいたっては北海道のニセコから仕入れてまして!」
お腹が空いていたら喜んで食べるよ。
「ありがとう!ありがとう!」
「スパイスからこだわってるんですか!!」
と言いながらガツガツ食べる。
逆にお腹が空いていなければ?
「うーん、あ、ありがとうございます」
「お、おいしいですね(いらないなぁ)」
と言いながら、思いながら、とりあえず食べる。
私ならそうする。
全国の営業マンたち(特に保険業)、セミナー講師たちは、お客さんと接したとき、全員が全員なわけではないが、こういうことをしている。すなわち、
お腹が空いていないお客さんに、
こだわりのカレーライスを提供しているのだ。
「カレーライス=自己紹介」である。
私たちが、研修やセミナー、営業を受ける側になったときを思い出してほしい。冒頭の5分で以下に書くようなご経験はないだろうか?
(セミナーをイメージされると分かりやすい)
セミナー冒頭、タイトルが書かれたパワーポイントスライド。その次に何を喋るのかな?と思ったら、2枚目に出てくるスライドは「自己紹介」である。飛び出すセリフはこうだ。
まずは自己紹介をさせていただきますね!
私はタカハシといいます!1985年生まれの37歳で、出身は北海道の函館市!イカと夜景で有名なあの街です!エヘヘ!
慶應義塾大学法学部を卒業し、いまの会社に入社しました!趣味はサイクリングで北海道を一周したこともあります!いい経験でした!
今は、妻と1人の子ども、1匹のチワワと暮らしておりまして、家庭内ではチワワよりも序列が下です!エヘヘ!今日は〇〇についてお話しいたしますが、まず、私がこの仕事に就いた理由をお話しすると〜!
と、こう続く。
これはまだ優秀な方かもしれないが、会場にきている人たちは、誰も聞いていない。セミナーが終わった後、誰も講師のプロフィールなんて覚えていない。
食事前に「いただきます」と言うように、私たちは冒頭で自己紹介をしてしまうのだ。「セミナーや営業前に自己紹介をするんだ!」と習ったわけでもないのに。
こんなことがあった。
私が前職時代にヘッドハントを受けた時だ。ある外資系生命保険会社からヘッドハントされた。相手は会ってそうそう、おもむろにカバンをゴソゴソし出した。何が出てくるのかな、と思ったら「ラミネートされた自己紹介シート」だった。意気揚々と自己紹介を始める。私はお腹が空いてないのに。
そのときは正直、残念に思った。
営業のメッカと呼ばれる外資系生命保険会社でもこういうやり方かぁ…と思ってしまったのだ。だから結論を書く。
自己紹介は最初にしてはいけない。
なぜなら、相手に刺さらないからだ。
なぜ相手に刺さらないかといえばそれは、
あなたに興味がないからだ。
だから自己紹介は最初にしてはいけない。
では、どうすればいいか?
結論は「自己紹介は途中でせよ」である。
お腹が空いたな、と気づいてもらってからカレーライスを出せばいい。こだわりのカレーライスを。
水戸黄門が最初から名乗るだろうか?
名乗らない。物語が始まって、色々とすったもんだあってから、放送時間の残り15分くらいで名乗る。
「このお方をどなたと心得る!」
どひゃーーーーーーっ!!!っとひれ伏す。
視聴者のおばあさんは拍手する。
人助けをする人が最初から自己紹介するだろうか?
「おばあさん、大丈夫ですか?道に迷ってしまったのですね。どこまで行きたいんですか?それなら私が近くまで一緒に行きましょう」
「い、いいんですか?」
テクテクテクテク…
「さ、おばあさん、近くまで着きましたよ」
「あぁ、ありがとうございます。ところであなたは一体どちら様なんですか?」
「いやぁ、名乗るほどのモノじゃありませんよ」
こうだ。絶対こうだ。
セミナー講師や営業マンだけだ。
最初から名乗るのは。
「自己紹介は途中でせよ」
その具体策を書く。
セミナーと営業現場、それぞれの場合で書こう。
●セミナーの場合
1.まずは軽く挨拶
「こんちは!株式会社〇〇のイトーダーキです」
「時間も限られているので、早速本題に入ります!」
2.興味を引くクイズをする
※唐突だが、なぜクイズをするのか別記事で書きます
「みなさんの一般教養を試すクイズです。分かった人から挙手してお答えくださいね」
このクイズは、セミナー内容につながるクイズであるほうが望ましい。「具体→抽象→具体→抽象」をグルグル回す。この記事ではここは気にしなくて良い。
▶なぜクイズをするのかの解説はこちら
3.業界の雑学、お得な知識を伝える
私の場合は、金融に関する豆知識を
3つくらい、いきなり話す。
「家系図を書くだけでハワイ旅行に行く方法」
「毎月お米を買わなくてよくなる方法」
「野原ひろしは、どんな生命保険に加入すべきか?」
4.自己紹介
ここで、ようやく自己紹介だ。
60分のセミナーなら、開始15〜20分後くらい。
1〜3までのステップを踏むと、聞いている人たちの脳内にはこんな疑問が出てくる。それはつまり、
「この人は何者なんだろう?」
という疑問。ここまでいって、やっと初めて自己紹介をする。するとどうなるか。
聞いている方々は、まるで食べ盛りの小学5年生のように、私の自己紹介を吸収してくれる。なぜこの仕事をしているか的なミッショントークも刺さりやすくなる。効果はバツグンだ。
5.セミナーの本編に入る
あとは、セミナーを最後までやるだけ。
●営業現場の場合
1.まずは軽く挨拶
「こんちは。株式会社〇〇のイトーダーキです」
「しかし最近は暑いですなぁ。こう暑いと仕事にも影響が出ますねぇ。どうお過ごしですかな?」
2.相手の経歴などを質問する
自己紹介はまだだ。絶対に自己紹介をしてはいけない。相手はまだあなたに興味がない。お腹が空いてないから。まだカレーを出すには早い。
「ご出身はどちらですかな?」
「お仕事はどんなお仕事を?」
「何かを決断する時に重視することは?」
このあたりの質問がいいだろう。
3.業界の雑学、お得な知識を伝える
内容は「セミナーの場合」と同じだ。
貢献、貢献、相手に貢献である。
「へぇ〜」を一回でも引き出すことができたなら、相手はすでにあなたに興味がある。「へぇ〜」を引き出すことだけに意識を向ける。とにかく貢献だ。
4.自己紹介
セミナー同様、ここで自己紹介である。
1〜3が盛り上がれば、会ってから1時間後に自己紹介することも、ままある。
「まあ、ここまでお話を伺いましたが、『お前は誰なんだ?』って思いますよね」
「ふふっ」と笑ってくれたら、なおいい。
「ちょっとだけ自分の話をしますとね、私は、かくかくしかじか、こういうものでして、うんたらかんたら〜」
「へぇー!そうなんですか!」
と、こうなる。
5.本題に入る
ここまで話すと、相手の聞く体制は整っているし、続きを聞きたいと思ってくれていることが多い。あとは本題に入って、課題を解決してさしあげればいい。
心配性な方がこれを読んでいるとしたら、こういう疑問、質問がありそうだ。
「怒られないんですか?」
「怪しまれないんですか?」
結論から言うと、私はこれで怒られたことも怪しまれたこともない。生命保険外交員なのに。むしろこっちの方が、相手はニコニコして私の話を聞いてくれるし、私のプロフィールや仕事への使命感などを覚えてくれている。
思えば、うまくいく恋愛だってそうだ。
まず相手の内面や価値観、自分に提供してくれるメリットを感じ、相手に興味を持って、そうして初めてスペックやバッググラウンドが気になる。いい恋愛はこうじゃないか。「違う!」という人もいるかもしれないが。
さて、今記事では全てのビジネスマンに向けて、自己紹介のやり方を書いた。もちろん、全ての方々に当てはまる訳ではないから、押し付けるものではない。ぜひ応用してみてほしい。
ポイントは「相手をお腹ペコペコにしてあげてから、こだわりのカレーライスを出せ」である。そうすればあなたのカレーライスの味をお客さんは忘れないでいてくれる。
「あぁ、あの美味しいカレーを食べさせてくれた人ですね!」と覚えてくれてたら、こっちだって嬉しくなるもんね。
私の名前 : イトーダーキ
・北海道札幌市の保険外交員
・1990年生まれの31歳
・小樽商科大学を7年通って除籍
上の自己紹介記事は、フォロワー100人に達した頃にようやく書いた、私の自己満足な自伝風味の内容になっています。内容が長いので10分空いてる時にどうぞ。