ピス田助手と鋼鉄の花嫁 07
7: 小指の欠けた男について
しかし事はなかなか、思いどおりには運ばないものだ。コンキスタドーレス夫人の登場によって、ひょっとしたら事態に進展が見られるかもしれないという期待をわたしは抱いた。無理からぬことじゃないか?……それまで立ちこめては濃くなるばかりだった霧を、刹那とは言えひと振りに薙ぎ払ってくれたのだから。ところが霧は今やふたたびその濃さを増した。もはや何が問題なのかもよくわからなかった。このときの驚きを、と綴りたいところだけれど、率直に言ってわたしはもう驚くのに飽