マガジンのカバー画像

ピス田助手と鋼鉄の花嫁

41
ひさしぶりに旧友であるアンジェリカの屋敷を訪ねたピス田助手は、そこで小指のない死体に遭遇する。実際のところ本筋とは一切関係がないこの死体をきっかけに展開するスラップスティックな与…
運営しているクリエイター

記事一覧

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 01

1: 部屋に扉のない理由 結論から言うと、アンジェリカはそこにいなかった。 彼女の屋敷をた…

8

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 02

2: 男の様子についての補足 日々においてはありとあらゆるニュースが工場の缶詰みたいに次々…

5

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 03

3: アンジェリカの部屋 それは博物館と図書館とショーウィンドウと夢を鍋にぶちこんでグツグ…

3

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 04

4: やってきたふたりの客人 今おもえば、ここでわたしがとることのできた行動は3つあった。…

2

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 05

5: キッチンにて 念のために記しておこう。死神の田村というのは寿命を刈り取るための大鎌を…

3

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 06

6: コンキスタドーレス夫人、演繹する 長い沈黙だった。実際のところ伝えるべき事実はシンプ…

3

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 07

7: 小指の欠けた男について しかし事はなかなか、思いどおりには運ばないものだ。コンキスタドーレス夫人の登場によって、ひょっとしたら事態に進展が見られるかもしれないという期待をわたしは抱いた。無理からぬことじゃないか?……それまで立ちこめては濃くなるばかりだった霧を、刹那とは言えひと振りに薙ぎ払ってくれたのだから。ところが霧は今やふたたびその濃さを増した。もはや何が問題なのかもよくわからなかった。このときの驚きを、と綴りたいところだけれど、率直に言ってわたしはもう驚くのに飽

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 08

8: 死体よりも忌々しいこと 「スナーク?」とわたしはひっくり返りそうになりながら喘いだ。…

3

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 09

9: 考慮すべきもうひとつのポイント 謎はもちろん、まだのこる。なぜアンジェリカは黙って屋…

4

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 10

10: おいしい生ハムの話 コンキスタドーレス夫人は去った。入れ替わるようにして、肉屋がやっ…

3

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 11

11: おいしい生ハムの話 その2 「いったいどうすりゃわかってもらえるんだ?」とわたしは苛…

3

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 12

12: ミケランジェロの手をもつ肉屋 おわかりいただけるとはおもうが、わたしはこのとき、この…

4

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 12 ½

12½: ムール貝博士とは何か? この奇天烈な名を持つ人物について、助手であるわたしの印象と…

7

ピス田助手と鋼鉄の花嫁 13

13: ムール貝博士からの電話 わたしは借りてきた皿に切り出したハムをのせるよう身ぶりでブッチに伝えながら、しぶしぶ電話にでた。「もしもし」 「ピス田か?」 「わたしじゃないなら誰にかけたんです?」 「なんだ、ご機嫌ななめだな。アンジェリカはどうした」 「アンジェリカに直接かければいいでしょう!」とわたしはじぶんで言ってハッとした。そういえば事件のいちいちクレイジーな展開に気を取られすぎて、そのことをうっかり忘れていた。そうだ、ケータイがあったじゃないか? 「つながらんから