影_滅裂 (1500字小説)
悔いが残る1日だったな、と思いながら虫に向かって唾を吐いた。
虫が飛んだ。
地面に映った影が、背伸びして長くなり、手がぐにゃりと曲がった。
影の手は虫を掴んで食べた。
ブロック塀の真ん中を殴ると、いびつな穴が空いた。
錆びた針金が剥き出しになった。
木製の電柱に雷が落ちて割れた。停電になった。
近くで見ていただけだったが、手が痺れて痙攣した。
消防車のサイレンが聞こえたが、電柱の炎の横を素通りしていった。
坂の途中に川があったが、川の水は地下に潜り消えていった。
落ちた雷は、