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三文小説

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#私の作品紹介

先輩の話(嘘)(800字小説)

大学のゼミで、学年を超えた交流会があり、 そこで知り会った先輩がこんなことを言っていた。 …

カワック
3年前
20

宇蛍人(うちゅうじん)①

秋の日曜。 気温は下がって、空気が澄んでいる。 月夜の中、空気が揺らぐ。 まっすぐ歩いてみ…

カワック
3年前
21

宇蛍人②

私が探している宇蛍人は「ネコーム」という名前であることが分かった。2121年では、金さえ出せ…

カワック
3年前
32

夕方、草原

毎日、世界の少しを切り取って生きている 世界は瞬間の連続だった。 初め鮮やかに、そして徐…

カワック
3年前
40

君の包丁を投げたい (800字小説)

1 包丁を投げたい 包丁を投げたい。この数年、そんな妄想に取りつかれていた。 ダーツみた…

カワック
3年前
32

『善と悪』 (1000字小説)

≪ゾロアスター教≫ ペルシャの民族宗教を善悪二元論で体系化したもの。 光の神・善神アフラ…

カワック
3年前
28

影_滅裂 (1500字小説)

悔いが残る1日だったな、と思いながら虫に向かって唾を吐いた。 虫が飛んだ。 地面に映った影が、背伸びして長くなり、手がぐにゃりと曲がった。 影の手は虫を掴んで食べた。 ブロック塀の真ん中を殴ると、いびつな穴が空いた。 錆びた針金が剥き出しになった。 木製の電柱に雷が落ちて割れた。停電になった。 近くで見ていただけだったが、手が痺れて痙攣した。 消防車のサイレンが聞こえたが、電柱の炎の横を素通りしていった。 坂の途中に川があったが、川の水は地下に潜り消えていった。 落ちた雷は、

透明と爆弾のかけら (2000字小説•ノンフィクション夢小説)

夢を見ました。 僕は高校2年生でした。 高校の制服はブレザーだったはずなのに 僕はなぜか学…

カワック
3年前
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ツッキーと私  (1800字小説)

ツッキーは人の話を聞かない。 いつも うんうんと言って聞いている風だけど、実は全然聞いて…

カワック
3年前
40

堕山菜  (1300字小説)

「 山菜になりたい 」と思っていたら、本当に山菜になってしまった。 山菜に幻想を抱きすぎ…

カワック
3年前
31

逃走と初恋 (2000字小説)

 中学2年生のタクトは同じクラスのナナミに恋焦がれていた。2人は友達というほどの関係では…

カワック
3年前
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白い夢  (800字小説)

昼間の夢は背景が白い。夢の中で私は世界の理想を聞かれた。夢の住人は名をユメといった。この…

カワック
3年前
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アオ  (1500字小説)

私の言葉を分かる人がいない。 仲間がいない。 私の孤独や、どこかに消えていく言葉を 見える…

カワック
3年前
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夜を歩く  (1500字小説)

 子供の頃は、悪い人間じゃないといけなかった。「真面目な奴は面白くない」というのが彼らの決めたルールで世界の常識だった。多くの友達は世の中に自然に反発していた。「自分を偽って付き合わないといけないような友達は本当の友達じゃない」とか言う人がいるかもしれない。そう言う人にはきっと、本当の友達しかいないのだろう。僕にとっては、本当の友達も嘘の友達もない。ただ「友達」だ。それに、後から振り返ってあれこれ言うのは彼らに酷だ。  小学生のころ、夏のある日、水たまりの水に油が混じって、