見出し画像

人材不足の影響を緩和する業務の効率化とは!?〜生産性向上の実例を知り今日から始められること〜



KAiGO PRiDE WEEK DAY-2「生産性の向上」2024年2月18日(日曜日)

人材テーマ「生産性の向上」
介護人材不足が今後さらに深刻化することで、今後の介護業界において生産性の向上は切り離せない問題になっています。
生産性向上のど真ん中で活躍する二人の専門家がわかりやすく生産性向上を紐解いていくトークショーを開催致しました。

「介護に関係ない人はいない」KAiGO PRiDE WEEK 2024 のメインメッセージ

介護現場における生産性向上の探求


介護現場での生産性向上は近年、業界内外で重要視されているテーマです。この背景には、人口の高齢化に伴う介護需要の増加と介護職員の人手不足があります。しかし、生産性向上という言葉が頻繁に使われる一方で、その具体的な意味や実現方法については、業界内で十分に理解されているとは言い難い状況です。そこで、石本淳也さん(熊本県介護福祉士会会長、日本介護福祉会前会長)と足立圭司さん(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所 先端技術戦略ユニット アソシエイトパートナー)をゲストに迎え、介護現場における生産性向上の課題と可能性について深堀りしていきます。

介護のプロと生産性向上のプロのコラボレーション

生産性向上の背景と目的


生産性向上の議論は、2017年に安倍前首相がサービス業全体の生産性向上を提唱したことからスタートしました。介護分野では、これに呼応して2018年に厚生労働省が生産性向上ガイドラインを策定。その目的は、介護サービスの質の向上と人材の定着確保にあります。介護現場において生産性向上を目指すことは、単に業務効率を高めることだけではなく、サービスの質を維持しつつ、働きやすい環境を作ることにも繋がります。


具体的な取り組み


生産性向上のための具体的な取り組みとしては、職場環境の整理整頓、業務の明確化と役割分担、そしてテクノロジーの活用が挙げられます。これらの取り組みは、効率的な業務運営を通じて介護の質を維持・向上させることを目的としています。特に、テクノロジーの活用に関しては、介護ロボットの導入やICTの活用が注目されていますが、これらを効果的に運用するためには、適切な管理や人材育成が不可欠です。

課題と展望


足立さんは、生産性向上に対する現場の取り組みの浸透には時間がかかっており、特にテクノロジーの活用については、補助金による導入支援があるものの、実際に活用されるまでにはさらなる工夫が必要であると指摘します。介護現場における生産性向上は、効率性を追求するだけでなく、介護サービスの質を如何に高めるかが重要であり、そのためには業務プロセスの見直し、人材育成、テクノロジーの適切な活用が鍵となるのです。
生産性向上の取り組みは、介護現場を働きやすい環境に変えることによって、サービスの質の向上と人材の定着を図ることを目的としています。このプロセスでは、介護現場の実情に合わせた柔軟なアプローチが求められます。将来に向けては、これらの取り組みを通じて、介護サービスの質を維持しつつ、業界全体の生産性の向上を実現することが期待されています。

生産性の向上の上位目的は「介護サービスの質の向上」「人材の定着・確保」である。ここから一足上がって新しいベースに入っていくのだと予想される

テクノロジー導入の背景と目的


介護現場における生産性向上の議論は、人口の高齢化と介護職員の人手不足が進む中、より一層の重要性を帯びています。介護サービスの質の維持・向上と人材の定着・育成を目指し、職場環境の改善や業務効率化を図るためのテクノロジー導入に注目が集まっているのです。

具体的な取り組みと事例


生産性向上に向けた取り組みとして、以下の点が挙げられます。

  • ①職場環境の整備: 職場の物理的な整理整頓だけでなく、情報の整理整頓も含まれる。これにより、業務の効率化を図る。

  • ②業務の明確化と役割分担(1)業務全体の流れを再構築:

  • 業務を明確化し、適切な役割分担を行いケアの質を向上。

  • ②業務の明確化と役割分担(2)テクノロジーの活用:

  • 装着型支援ロボットや見守りセンサーなど、介護業務を支援するテクノロジーの導入で、職員の心理的負担を軽減。

  • ③手順書の作成: 現代に合わせた形で手順書を常に更新し、多様な人材が効果的に業務を学べるようにして、申し送りを標準化。

  • ④記録・報告様式の工夫: タブレット端末やスマートフォンを活用した記録報告のデジタル化を進めることで、転記作業の削減と情報共有の効率化を実現する。

  • ⑤情報共有の工夫: インカムやデジタルツールを活用し、職員間のコミュニケーションと情報共有を円滑に行う。

  • ⑥OJTの推進: OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の体系化とマニュアル化を進め、教育内容と指導方法を統一して、教育の質を高める。

  • ⑦理念・行動指針の徹底:組織の理念や行動指針に基づいた自律的な行動を促す。

「生産性向上」として具体的に挙げられる7つの取り組み


テクノロジー活用の具体的な事例としては、夜間の見守りを効率化する見守りセンサーや、職員の身体的負担を軽減する装着型支援ロボットなどが挙げられます。これらのテクノロジーは、利用者の安全と快適性を確保しつつ、職員の業務負担を軽減することに貢献しています。

プライバシーに配慮したシルエットで利用者さんの室内の様子がわかる見守りセンサーの一例


テクノロジー導入の課題と展望


テクノロジーの導入は、介護現場に多くのメリットをもたらしますが、同時にWi-Fiなどの基盤整備の必要性や、職員のデジタルスキルの向上などの課題も浮き彫りになってきます。これらの課題に対応するため、国や関連機関は補助金の提供や教育プログラムの充実を進めています。
将来的には、介護現場におけるテクノロジーの活用はさらに進展し、デジタルツールが介護サービスの質の向上と職員の働きやすい環境作りの両方を支える重要な役割を担うことになります。この過程で、利用者や職員のニーズを反映したテクノロジーの選択と導入が、より一層の生産性向上を実現する鍵となるのです。

この6つの分野を特に伸ばそうとしているカテゴリーになるという

生産性向上の現状と課題


介護業界は、人口の高齢化と介護職員の不足に直面しており、生産性向上が急務とされています。その中でICTやテクノロジーの導入が重要な役割を果たしますが、小規模事業所では導入のハードルが高く、大規模法人でさえもテクノロジー導入にあたっての課題が存在します。


現在の生産性向上政策パッケージを元に伴走支援としてモデル介護事業所を育成し、全国的な普及に繋がる拡大期を目指している

テクノロジー導入による改善事例


テクノロジーを活用した改善事例には、夜間の見守りセンサーや装着型支援ロボットなどがあります。これらは職員の負担を軽減し、利用者の安全と快適性を確保することに貢献します。また、Wi-Fi環境の整備やデジタルツールの活用は、業務効率化に不可欠と言えます。

政策と支援の動向


政府は生産性向上に向けて、「生産性向上政策」として、ワンストップ窓口の設置や伴走支援の体制の構築に取り組んでいます。これにより、施設からの相談に対応し、モデル事業所の横展開を目指しています。しかしながら、全国的な展開にはまだ時間が必要であり、小規模事業所への支援強化が求められます。

将来への展望と課題


介護業界では、テクノロジーを人と人とのケアの間に割り込ませるのではなく、補助的に活用することで、より質の高いケアを提供する未来を目指すべきだと言えます。また、異業種連携や新たなイノベーションの創出も重要であり、介護現場のブランディングとしての取り組みが効果的です。

KAiGO PRiDEの役割


KAiGO PRiDEの役割は、介護業界の魅力発信と生産性向上に向けた支援を続け、異業種との連携やテクノロジー導入のサポートを通じて、介護業界全体のイメージ向上を引き続き行っていくことです。また、外国人材の活用や最新の介護機器の展示など、多角的なアプローチで業界の発展を支えることも期待されます。


アウトプットで満足するのではなくアウトカムをロジックモデルとして掲げること推奨する


介護業界における生産性向上とテクノロジーの活用は、今後の大きな課題です。政府の政策や支援体制の整備、テクノロジーの効果的な活用、異業種との連携により、質の高いケアの提供と業界全体の発展を目指すべきです。KAiGO PRiDEは、これらの取り組みを支援し、業界の魅力を内外に発信していく役割をこれからも担っていきます。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集