県を跨いで現役介護職から介護の真実を知る〜全国で活躍するKAiGO PRiDEアンバサダーが日本の真ん中の仕事になる介護の魅力を証明する!〜
KAiGO PRiDE WEEK DAY-6「アンバサダーサミット」2024年2月22日(木曜日)
KAiGO PRiDEの活動に賛同して頂いてる現役介護職の皆さんをKAiGO PRiDE アンバサダーと命名し、介護の魅力発信を常々我々と共に発信して頂いています。
今回はwell-beingに繋がる仕事は介護職であること。
介護職はこれから日本の真ん中の仕事になるということ。
綺麗事に聞こえそうなこの言葉ではありますが、実際に介護現場で働いているKAiGO PRiDEアンバサダーから実体験を語り、
生の言葉を聞くことによって、より鮮明に介護の魅力として証明していく時間となりました。
KAiGO PRiDE DAY
KAiGO PRiDE WEEKは、介護の魅力と情報を全国に広げるイベントで、全都道府県と国際的に介護の重要性を訴えています。このイベントは「オールジャパン・ワンチーム」をスローガンに、点ではなく面の活動で介護の魅力を伝えることを目指しています。2月22日はKAiGO PRiDE DAYとして正式に記念日に登録されており、介護職のブランディングを通じて多様な方法で介護の価値を伝えています。
アンバサダーサミット
KAiGO PRiDE DAYである2月22日、アンバサダーサミットが開催され、東京、岡山、福島、熊本から選ばれた4名の現役の介護職員が参加しました。これらのアンバサダーは、介護業界のホットトピックスについて自由に話し合い、介護職の日常とその魅力を共有します。
東京からは介護職歴20年の並木裕太郎さん(社会福祉法人 世田谷社会事業団 特別養護老人ホーム 芦花ホーム)、岡山からは介護職歴7年の岡村瑞葵さん(社会福祉法人 岡山中央福祉会 特別養護老人ホーム 中野けんせいえん)、福島からは介護職歴9年の藤田麻衣子さん(公益財団法人 湯浅報恩会 寿泉堂香久山病院)、熊本からは介護職歴1年の甲斐梨音華さん(社会福祉法人 千寿会 特別養護老人ホーム 陽光園本館)が参加し、介護職の誇りと日々の挑戦を参加者と共有し、介護の現場の生の声を伝えています。
ワークシェアリング:介護業界における新たな挑戦
東京の並木さんは、ワークシェアリングをトピックに上げました。ワークシェアリングとは、複数の労働者が労働時間を分け合い、仕事を共有することで、柔軟な労働環境を実現するシステムです。介護業界では、この新しい働き方が注目を集めています。介護職員が急遽必要になった際に、他の施設や病院からスタッフが登録を通じて一時的に支援に入るという形です。この取り組みは、新型コロナウイルス感染症の拡大という危機的状況下で特に力を発揮しました。職員や利用者の感染拡大により、人手不足に悩む施設にとって、ワークシェアリングは救いの手となったのです。
ワークシェアリングの実際
東京都のある施設では、ワークシェアリングを通じて、他施設からのスタッフが4時間のみ支援に入る事例があります。最初は不安も多かったものの、実際にはその短時間で効率的に必要な支援を提供することができ、施設側は大きな衝撃を受けました。この経験から、ワークシェアリングの有効性を実感し、積極的に取り入れるようになりました。また、このシステムはアプリを通じて登録・運用され、利用者と提供者の評価システムも整っています。これにより、互いのニーズを明確にし、よりマッチした支援が可能になっています。
ワークシェアリングの可能性と課題
ワークシェアリングには多くの可能性があります。特に、新しい取り組みへの柔軟性が求められる介護業界において、人材不足の解消や労働環境の改善に貢献できると期待されています。しかし、導入には不安や課題も存在します。例えば、短時間での支援は効果的なのか、異なる施設間での情報共有や連携の取り方、また地方施設での導入の難しさなどが挙げられます。それにもかかわらず、ワークシェアリングは介護現場に新たな風を吹き込み、施設間の情報共有や人気施設の発掘など、副次的なメリットも生み出しています。
ワークシェアリングは、介護業界における人材不足や労働環境の改善に向けた有効な手段の一つとして期待されています。柔軟な働き方を実現し、異なる施設間での協力を促進するこのシステムは、今後さらなる発展が期待されます。しかし、全国的な展開や地方施設での導入を進めるには、まだ多くの課題を乗り越える必要があります。ワークシェアリングの可能性を最大限に引き出すためには、実践者の声を基にしたシステムの改善や、さらなる理解と支援の促進が求められるでしょう。
介護報酬の改正とその影響
岡山の岡村さんは介護報酬の改定をトピックに上げました。
最近、介護報酬が6,000円上がるというニュースが業界内外で話題となりましたが、この改正は、介護福祉士という専門職の社会的な評価の向上を示唆していると考えられます。岡村さんはこの改正を前向きに捉え、介護職が評価されてきた証と考えています。しかし、賃金上昇には複雑な感情を抱く人も少なくなく、報酬の上昇が業務の専門性や責任とどうバランスを取るかが注目されています。
賃金上昇への異なる視点
介護職員たちは、6,000円の賃金上昇に対して異なる反応を示しています。歓迎する声がある一方で、介護の専門職としての役割や責任を考えると、賃金の問題だけではなく業界全体の評価や待遇の改善が必要だという意見もあります。介護職が日々行う専門的なケアやサービスの提供は、単なる「お世話」以上のものであり、その専門性を社会が正当に評価する必要があるという複雑な感情が浮き彫りになりました。
未来への展望とチームワークの重要性
介護報酬の改正は、介護職のモチベーション向上につながると期待されていますが、それだけではなく、介護職全体のプロフェッショナリズムや業界の質の向上にも寄与することが望まれています。また、賃金改正が介護職員だけでなく、介護に携わるすべての人々の待遇改善につながることが重要です。業務の透明性の向上や、職場内のチームワーク強化も、より質の高いケアの提供には欠かせません。今回の報酬改正をきっかけに、介護職の社会的地位の向上とともに、業界全体での働きがいのある環境作りが進むことが期待されています。
多文化共生の場としての介護業界
熊本の甲斐さんがあげたトピックは日本で働く外国人の介護職員と業界内での多様性についてです。
介護業界は、グローバル化の波に乗り、多国籍の人材が共に働く場となっています。特に技能実習生として日本に来た外国人や、専門学校で介護を学ぶ留学生が職場に新たな風を吹き込んでいます。甲斐さんの職場にはフィリピンからの技能実習生がおり、彼らは日本の介護を学んだ後、自国に帰って知識を広める役割を担っています。このような背景から、介護現場は国際的なコミュニケーションの場となりつつあります。
言葉を超えたコミュニケーションと学び
介護現場での外国人職員は、言葉の壁を越えたコミュニケーション能力を必要とします。並木さんと藤田さんの職場では、外国人職員が積極的に日本語を学び、また日本人職員も彼らとコミュニケーションを取ることで互いに理解を深めています。さらに、笑顔や身振り手振りなど、非言語的なコミュニケーションも重要な役割を果たしており、職場の雰囲気を和やかにしています。
外国人職員の受け入れと課題
岡村さんの施設では、以前外国人職員がいたものの、現在はいない状況です。これは、言葉の壁や文化の違いなどが原因で、外国人職員の受け入れに躊躇する施設も少なくない現実を反映しています。しかし、外国人職員がもたらす新たな視点や、日本の介護を世界に広める可能性を考えると、これからの介護業界において多文化共生の推進は避けて通れない課題です。互いに学び合い、尊重し合うことで、介護現場はより豊かなサービスを提供できるようになるでしょう。
災害時の介護福祉士の役割と課題
藤田さんは、2024年1月1日に起きた石川県での能登半島地震を見て介護福祉士としての役割を再考しました。災害時、特に弱い立場にある人々が最も苦しむという現実に直面し、介護福祉士としてできることは何か、どのように社会に貢献できるかを深く思考するきっかけになりました。この問いかけは、介護現場で働く他の職員たちにも共感を呼び、彼らの経験と反省から学ぶ重要なポイントを提示します。
介護現場での災害対応の実体験
並木さんと甲斐さんは、東日本大震災や熊本地震時の個人的な体験を通して、災害時の介護職の重要性と、その時に自分たちがどのように行動したかを振り返ります。これらの経験は、災害発生時における介護職員の迅速な対応の難しさと、利用者や地域社会への深い責任感を浮き彫りにします。特に、災害時でも介護サービスは途絶えることなく提供されなければならず、そのための準備と心構えが必要であることを強調します。
災害支援と情報共有の必要性
岡村さんは、西日本豪雨時の経験を踏まえ、災害時における介護職の役割と、災害支援への情報共有の重要性について言及します。能登半島地震における介護職の派遣募集情報があまり知られていないことから、災害支援における情報の可視化とアクセスのしやすさが課題であると指摘します。災害発生時には、介護福祉士がチームを組んで救援活動に参加する仕組みや、介護職員として社会に貢献できる具体的な方法についても検討が必要であることを示唆しています。
このトピックでは、介護福祉士が直面する災害時の課題と、それに対する意識の高さがうかがえます。介護職員として、災害発生時における迅速かつ効果的な対応は、社会的貢献だけでなく、専門職としての使命感に基づく行動であると再認識されるべきです。
KAiGO PRiDEアンバサダーによる介護の魅力発信
KAiGO PRiDEアンバサダーとして活動することで、介護福祉士たちは自身の仕事に対する思いや魅力を再認識し、介護の素晴らしさをより広く伝える機会を得ました。藤田さんは介護の専門職としてのキャリアを、甲斐さんは笑顔あふれる職場の雰囲気を、岡村さんは介護職の新たな発信の場の重要性を、並木さんは異なる地域で働く介護職同士の繋がりを、それぞれの視点から介護の魅力として挙げました。KAiGO PRiDEの取り組みは、介護職と介護業界に対する先入観による誤解を解き、より多くの人々にその充実感や楽しさを伝える貴重な機会となります。介護職が持つ多面的な魅力を社会に発信することで、介護業界への関心を高め、新たな人材を引き寄せる可能性を広げています。
KAiGO PRiDEアンバサダーサミットから見えた介護業界の新しい可能性
アンバサダーサミットの終わりに、参加者たちの話から介護業界の新しい可能性とイノベーションの兆しを感じることができました。介護の現場から生まれる多様なトピックスは、ワークシェアリング、災害支援、外国人職員の活躍、介護報酬の改定など、表面的にはバラバラに見えても、介護という共通のキーワードで結びつき、一つの大きな流れとして捉えることが可能です。これらの議論は、介護業界に新たな専門性とイノベーションをもたらし、将来的には社会全体の変化を促す可能性を秘めています。参加者たちは、自らの経験と視点から介護の魅力を発信し、介護を取り巻く社会の課題解決に向けた新たなアイデアのヒントを提供しました。このような取り組みが、介護業界の持つ多面的な魅力を社会に広げ、より多くの人々をこの分野へ引き寄せることが期待されます。