ミモザの候 19: 吹き寄せあられと白桃
7月のある日、父は一時帰宅をした。介護士Uさんとも彼女の右腕となって働いている介護士さんを引き連れ、VIP待遇で戻ってきた。
それはわずか2時間ほどの帰宅だった。しかし、この日に向けた父の想い、介護士さんたちの想い、家族の想い、それぞれがぎゅっと凝縮していた。
私自身、ありえないことが起こっているのだ、奇跡を目にしているのだという震える空気に包まれていて、それもあってか、家族としてふるまう自分をどこか演技をしているかのようにも感じた。
父は、1年6か月ぶりに自宅に戻った