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#詩
短歌連作「ハサミの魔法」 7首
駅前に床屋と美容院ならぶ選べるという不自由もある
まりにゃんと呼ばれるひとを呼びにくい文学部棟、浮かびかき消す
早口でいそがしそうだ受話口に吹き込んでくる戦場の風
前置きの「キレイなタオルですので」に光るやさしさちいさく拾う
清新なひかりが満ちる九つの椅子と鏡とハサミの魔法
隣席の女子高生は母親の更年期など笑ってはなす
少しだけ目を閉じますが目覚めたら輪郭を描くように感謝を
短歌 「希望の朝」の書き損じ 8首
逆上がり出来る/出来ない断つ白線 壁立ち上がる東西ドイツ
餓鬼がまたマネキンとしての僕に見る暗室の芽と溜飲の井戸
急接近、急旋回をくり返すわたしの森の夢みる列車
受付のひとの語勢が荒れている ポイ捨てされる河川の水面
倒れ伏す騎士を見送る者はなく血のあとを消すながいながい雨
クローバーさがす子どもを突きとばし貫きとおす鉄製正義
隊長も仲間も捕虜も母すらも笑顔のままに欲す殺戮
小6の「
短歌「村人Cのようなリピート」 11首
友情と努力を謳う主人公がぶっ飛ばす悪とともに消ゆ我
どの駅のどのホームから飛び乗れど奇跡は起きぬ定時運行
その歌手は知らないけれど「十代のカリスマ」と呼ぶテレビがきらい
「若いから苦労を知らず無知である」村人Cのようなリピート
選べずに蜘蛛が巣を張り選ばれず誰かへ叩きつけた「選ぶな」
「ゆとりは馬鹿」「絶対こうするべきだから」あなたの言葉あなたの世界
ぎちぎちに火薬抱える人だらけ火花散