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#短編小説
ショートショート:3人の賢者
「これでよし!」
クリスマスまで残り1週間を切った。
やっと欲しい物が決まった僕は、サンタさんへ手紙を書いた。
ルンルン気分で玄関に手紙を置くと、同時に父ちゃんが帰ってきた。
「ただいまーっと」
「おかえり父ちゃん!」
「お、なんだこれ?」
「サンタさんへのお手紙だよ!」
「スーパーファミコンとマリオのカセットか。これはちょっと欲張りすぎじゃねぇか?」
「そんな事ないよ!僕、今年いい子にしてたも
ショートショート:最初で最後のお願い
とある日曜日。
僕は今、駅前の柱に寄りかかって人を待っている。
今日は同じ陸上部で1つ年上の先輩とデートをする約束をしているのだ。
既に約束の8時を20分過ぎているが、一向に連絡はつかない。
暇を持て余した僕は、しばらく人間観察でもしながら待つことにした。
スーツ姿のサラリーマンに、部活姿の中高生、酎ハイを片手にベンチでくつろぐ中年の男。
周りを見渡すと色んな種類の人間がいる。
と言っても世間はも
ショートショート:ブラックタキシード
人間の価値観は、育った環境によって大きく変わる。
逆を言えば、環境が変われば人間の価値観は簡単に変わる。
しかし、人間は自分の慣れ親しんだ環境を簡単に変えようとはしない。
何故なら、そこには拒否感、躊躇、畏怖と言った様々な感情がストッパーとなるからだ。
一方で、そのストッパーを壊し、自分の知らない世界に身を投じる事で、どう変化が起きるのかという興味も併せ持っている。
これは人間の真理である。
「
ショートショート:完璧な彼女
「今日の天気は、曇りのち雨でしょう。」
きた。
遂に来た。
待ちに待ったこの日がやっと。
今日は傘を持参しない。
目的は勿論、彼女との、あれだ。
彼女と付き合うことになったきっかけは、放課後の居残り勉強だった。
2学期の中間テスト。
生徒の学力向上と称し、クラス対抗で平均点を競う企画が催された。
1位にはご褒美を用意しますと言うもんだから、皆やる気になっていた。
一方で僕は青ざめていた。
なんと