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「鳥井弘文の旅と読書とweb3」テキスト版

Voicyにて毎日配信している「鳥井弘文の旅と読書とweb3」のテキスト版になります。 https://voicy.jp/channel/3274 ほぼ毎日更新予定。 同様…
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2023年4月の記事一覧

選挙で「私たちの代表を送り込む」という発想は正しいのか?

選挙が近づくとでよく語られる「似たような年齢、似たような性自認、似たような環境に置かれていれば、似たような当事者の声が代弁できる。だから議会にもっと多様な立場のひとを送り込み、議会に多様性を持たせましょう!」という主張があります。

そしてこれは近年かなり一般的になってきているかと思います。

でもこの話を聞く度に僕は「それって本当…?」と毎回思ってしまう。

むしろ、それっていうのは、逆に地獄の

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手を差し伸べること、おせっかいすることを否定してきた世の中に、いま必要な空間とは。

最近読んだウェブ記事の中で、思想家・内田樹さんが、ホームレス支援をされている抱樸・奥田知志さんの活動を評した記事があり、その中で「『原理』よりも『程度』が大切だ」というお話が語られていました。

このお話は、今とっても大事な視点だなあと感じています。

AERAのウェブ記事から、さっそく以下で少し引用してみたいと思います。

このお話、僕は初めて読んだときに、本当に心から感動してしまいました。

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人生の賞味期限が切れたひとたちが、理想を失わない現実主義の道を歩むために。

8年ぐらい前に、「隠居系男子と天下統一系男子」というタイトルで、ブログを書いたことがあります。

ちなみにこれは当時書いていた僕のブログ名が「隠居系男子」という名前であり、そのブログ名に対して「対局にあるのは、天下統一系男子ですね」と読者の方にふと言われたことが、きっかけでした。

言われてみれば、確かにそのとおりだなあと。

自分ではそんなこと考えたこともなかったのですが、確かにこれは言い得て妙

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「生きる意味」と「いま生きているという経験」の違い。

最近よく考えることは、人間が生きる意味を模索しすぎた結果、本来人間がつくり出した仕組みや構造、それ自体の奴隷になってしまっている状態がずーっと続いてしまっているなあということです。

しかも厄介なことに、大半の人がそのことに対してまったくもって自覚できていない状態でいるような気がしています。

言い換えると、社会の中で競争の優位に立つことが人生なんだと、多くのひとが誤解をしてしまっているなあと思う

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「センスのある普通」がなくなった日本と、キリスト教の関係。

今月の100分de名著は、『新約聖書 福音書』が取り上げられていました。

その講師役を務めていらっしゃった若松英輔さんが、全4回の放送を終えて「これまで何度かこの番組に出演致しましたが、これほどの強い反響はなかったかもしれません」とつぶやいていたのが、なんだかとても印象的でした。

若松英輔さんは、このような発言を自らの影響力を高めたいがために、おっしゃるような方では決してないはずなので、

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西洋と東洋の法律の違いは、自由を重視するのか、統治を重視するのか。

先日NHKで放送されていた信教の自由と法規制の討論番組を観ていました。

その中で「法律というのは、西洋にとっては理想の世界の実現に向けて整備されるものであるのに対して、東洋にとっては統治の手段のひとつであって大衆が、特定の型にはまるように導くものだ」と、で語られていました。(これは僕の意訳も含みます)

で、これは「なるほど、たしかに!」と膝を打ったんですよね。

「法律」という、社会の中に存在

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「品行方正でお行儀のよい消費者」として時間を費やすことが、次の時代の「労働者」。

先日、講談社選書メチエから出ている『階級社会 現代日本の格差を問う 』という本のオーディオブックを聞きました。

本書の中で「企業はもう、高卒を労働力だと思っていない」と語られていて、このお話に、なんだかとてもハッとさせられたんですよね。

ちなみにこの本は、2006年に出ている本なので情報自体も少し古いと思いますが、当時からすでにそのような状況だったんだなあと。

産業革命以降も、肉体労働

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なぜひとは誕生日を祝うのか。敬意とは本来「無駄」である

2日ほど前に、今年も誕生日を迎えました。

30代も半ばになると、歳を重ねることに対して特にこれといった感情も湧かなくなり、また一つ歳を重ねたという実感だけが淡々と積み重なっていきます。

ただ、それぐらいの感覚になってくると、これまでとは異なって、自己の誕生日というものを客観的に見られるようにもなりました。

これは嬉しい誤算です。

そんな中、昨年の誕生日にしみじみと気付かされたのは「誕生日と

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「メタ認知」への誤解。

今の自分を俯瞰的に眺めること。それが、メタ認知だとされている昨今です。

たぶん、その感覚を促進させたのはスマホのカメラ機能や、SNSにおいて自己のタイムラインを遡るというような社会構造の変化や、その仕組みだと思います。

実社会の中に、そのような自己を「他者」のように眺めることができるような場面が、一般人において、至るところに増えてきたこと。それが「メタ認知」という言葉が、一気に普及ししたきっか

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AI時代に訪れる、ヤンキー文化復権の兆し。

最近またブログを書く人が増えてきた気がしています。

その原因は、生成系AIが出てきたことが大きいと思う。

「えっ、逆じゃない?」と思うかもしれないのですが、「文章を書く」という領域が、AIに間違いなく喰われる領域だからこそ、逆に人間が書くべき範囲というのが極度に限定されて、人間にしか書けない文章に挑戦するひとが増えてきているのだと思います。

そして、毎日このVoicyを聴いてくださっている方

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なぜ、僕はNFTの「Umuco's ART」の作品を9つも保有しているのか?

イケハヤさんのVoicyの中で「UMCを9枚も保有している某氏」と表現されてしまっていて、なんだか申し訳ない感じがしたので、改めてnoteに複数保有している理由を書いてみます。

「某氏」と表現されてしまうのは、僕が表立って公言してこなかったから。

僕は「Umuco's ART(以下UMC)」を9つ保有していて、嘘だと思う方はブロックチェーンでご確認してみてください。

じゃあ、なぜこれまでちゃ

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大事なのは「思いがけず利他」の利他ではなく「思いがけず」のほう。

中島岳志さんの書籍『思いがけず利他』という本が好きだというひとが、僕のまわりにはすごく多いです。

以前「オーディオブックカフェ」の中でもご紹介したことがありますし、Wasei Salonのなかでは読書会を開催したこともある本です。

この本を読み終えると、みなさんものすごく「利他」という概念に感化されるようで、そこから「利他」の概念に自然とハマっていく。

そして、一連の利他関連の書籍に触れてみ

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NFTの最大のユーティリティは、歴史と比較し自らの実体験を通して学べること。

NFTの冬相場到来から、LINE NFTへの流れは、以前にもVoicyの中でご紹介したとおりです。

今、PFPのNFTでできそうなことが大体一周して、そこから来ている頭打ち感や、なかなかホルダー数が増えていかないまま、時代のトレンドが、生成系AIに取って代わられたことなど、様々な要因によって、なかなか大きな停滞感が生まれているようです。

もちろん、これは「NFTが終わった」とかそういう話ではな

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「境界線」は明確にするべきか、曖昧にするべきか。

自分の中で、ずっと答えのわからない問いのひとつに「境界線は明確にするべきか、曖昧にするべきか」という問いがあります。

一般的に西洋的な考え方で行くと、境界線はなるべく明確にしたほうがいい。

そのほうがルールの適用範囲が明確になるからです。人々が判断に迷わなくなる。

一方で日本的な考え方で行くと、境界線はできるだけ曖昧にしたほうがいい。

里山や縁側などに代表されるように、境界線を曖昧にした空

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