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Google Cloudが提供する生成AIの実務活用事例集~顧客体験の改善偏~

私たちのビジネスを驚くほど変革していってくれる生成AIですが、代表的なモデルとしては、Open AI社のChatGPTAnthropicのClaude、そしてGoogleのGeminiなどが挙げられます。それぞれ、タスクに応じて得意分野があり、私も日々使い分けています。特にChatGPTはo1モデルを使った「Pythonコードの生成」、「ブログ記事の草案」はClaudeを使用しています。

しかし、実務の現場でよく聞かれる声として「実際にどのようにビジネスで活用するべきなのかが分からない」、「すごいのは分かるのだけど、活用法が分からない」とったものがあります。

今回は、Google Cloudが提供する「生成AI活用事例集」を使って、日本を代表する大企業の事例を参考に生成AIの活用法を学んでいきたいと思います。第1回目は「顧客体験の改善」をテーマとしてお話していき、合計4回にわたって次回以降、解説していきたいと思います。

自社で生成AIの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。


生成AIの活用事例 (顧客体験の改善)

生成AIを活用することで、顧客体験を改善していくことができます。これまでは不可能だった、より細やかにパーソナライズ化された体験を提供することが可能になっています。

チャットボット

生成AIは自然言語を理解し、「チャットボット」として私たちのニーズに応えてくれる機能を持っています。

KDDI株式会社では、メタバース・Web3サービスとして「αU」を提供しています。既存のECやエンタメサービスはコモディティ化が進んだこともあり、顧客に対する訴求力が低下するという課題を抱えています。KDDI株式会社はこのαUを展開していますが、その先進性の訴求に苦しんできました。

そこで、コンテンツ開発にGeminiを利用することで、素早く低コストで制作することが可能になりました。

具体的には、

① ショッピングサービスであるαU Placeで「AIチャットによる商品の提案
② 音楽ライブ配信サービスのαU liveでは、ユーザーのニーズに基づいてパーソナライズ化されたライブ空間の生成
③ 生成AIマスコットUbicotとの会話機能の実装

といった取り組みを通して消費者に革新的な消費体験を提供でき、満足度を高めることができたとしています。

バーチャルアシスタント

上記の「チャットボット」にも類似していますが、「社内でのアシスタント」として生成AIを活用している事例もあります。

SRE総合支援サービスの「Sreak」を提供する3-SHAKE株式会社は、SREの課題である人的リソースへの依存を軽減する取り組みを行っていました。

そこで、Vertex AI Agent Builderを使って「SRE Chat Bot」を開発しました。これを通して、これからSREを始めるという組織でも手軽に、そして安価にSRE支援が受けられるようになり、Sreakのスペシャリストたちもより高度な課題に専念できるようになったことで技術レベルが向上したことが報告されています。

エージェントアシスタント/会話機能①

迅速な顧客対応のツールとして、生成AIは非常に便利となっています。

米国を拠点とする大手ハンバーガチェーンのWendy's(ウェンディーズ)はドライブスルーにおける注文受付の自動化を目指していました。しかし、注文の際に「フロスティ」を「ミルクシェイク」や「フラッペ」と顧客が言い換えるなど、異なる表現によって自動化の推進に苦戦していました。

そこで、Google Cloudとの協業で「Wendy's Fresh AI」を開発しました。2023年6月にオハイオ州コロンバスにある直営店にて、生成AIを活用したドライブスルー注文受付の自動化テストを開始しました。VertexAIを駆使することで、メニューと顧客のオーダーの傾向を組み合わせた独自のLLMを開発し、パーソナライズ化した注文パターンに対応できることが実証されました。これにより、消費者は迅速な注文が可能となり、満足度も高まることが想定されます。


エージェントアシスタント/会話機能②

Wendy'sと類似した事例として、大手システムインテグレーターとして国内企業のIT化・DX推進を支えてきた日本情報通信株式会社の例を見ていきましょう。

同社はカスタマーサポート業務において担当者のスキルレベルによってサポート品質にばらつきがあることを課題として持っていました。

そこで、過去10年間蓄積された問い合わせ内容や製品マニュアルをもとにして「サポート担当者支援エージェント」を、VertexAIやGeminiなどを使って開発しました。これを用いることで、常に一定以上の品質を維持したサポートを提供できるようになり、顧客の満足度を高めることができたと報告されています。

パーソナライゼーション①

先ほども述べたように、生成AIを活用することで「パーソナライズ化」することが可能であり、これは私たちの消費体験を大きく変革していきます。

米国に拠点を置き、スキンケア、メーキャップ、フレグランス、そしてヘアケア製品などを提供するエスティ ローダー カンパニーズ(ELC)は、世界40か国から集められるSNS上の膨大な量の口コミや、コールセンターのやり取りをLLMを用いてモニタリングし、従業員が数日間かけて行う分析をわずか数分で行いました。これにより効率的な消費者の感情分析が可能となり、独自のレコメンデーションシステムを活用したパーソナライズ化された顧客体験の提供と、顧客満足度の向上を実現することができました。

また、それに伴って顧客生涯価値(CLTV)向上も実現できたことは、同社にとって大きな収穫と言えるでしょう。

Vertex AIのウェブサイトはこちらです↓↓


パーソナライゼーション②

続いては、皆さんの中にも使っている方が多いサービスの一つ、Spotifyの事例についてです。

月間アクティブユーザー数は6億人を超え、世界を代表とするストリーミング音楽配信事業を提供する同社は、これまでユーザー体験の向上に積極的に取り組んできました

中でも、保有している楽曲数は1億を超えることもあり、この中からおすすめのコンテンツをどのようにユーザーに提供するかというのは、サービス開始以来、継続的に行ってきた課題の一つです。

同社は2024年4月から一部の地域でベータ版として提供された「AI Playlist」は、LLMを活用してユーザーがプロンプトを入力することによって、自分の好みに沿ったプレイリストを作成することができます。

「脳を温かく包み込 んでくれるインディーズ フォーク」というような、曖昧な表現でもユーザーのニーズをくみ取って、精度の高い選曲を行ってくれるようです。 

他にも、ポッドキャストやオーディオブックなどの声コンテンツの精度をより高くパーソナライズすることや、有害コンテンツの監視などにも生成AI、LLMが活用されています。

検索①

最後に、「検索」についてです。生成AIを活用することで、自分が求めている情報を瞬時に見つけられ、これまでになかった検索のスタイルがこれから始まっていくと考えられます。

Tie Ups株式会社は、運営しているSNSリンクまとめサービスの「lit.link」において、新規事業に向けてクリエイターを検索するための「プロフィール検索」機能を追加したいと考えていました。しかし、処理するデータ規模や事前準備の観点から迅速に実装するのが困難であるという問題を抱えていました。

そこで同社は、Vertex AI Searchを使ったベクトル検索を用いて「プロフィール検索」機能を実装することにしました。Google Cloud経由での実装で、膨大な量のデータを処理することができ、なおかつ担当エンジニア1人でローンチをすることができたようです。

Lit.Linkの活用事例

このように、最速最短で新機能の実装を行うことができたことで、事業の成長も早めることができました。

検索②

世界的なインターネットメディア企業として有名な、Forbes社も、生成AIを活用することで世界中の読者にパーソナライズ化されたコンテンツの提供を実現し、顧客満足度を高めることに成功しました。

Vertex AI Agent Builder は自社のデータを対象としてエンタープライズ検索に対話型のインターフェースを組み合わせた生成AIを構築することができます。Fobes社は、このシステムを活用して「Adelaide」というニュース検索ツールを開発し、ユーザーがチャットベースで必要なコンテンツを発見できるようになりました。

これにより、競争が激化している他のニュースメディアに対して差別化することができています。

検索③

最後は、米国2大格付け会社として知られるMoody'sの事例です。当社は保有している財務分析の専門知識をもとに、統合 AI 開発プラットフォーム Vertex AI で金融業界向けにファイン チューニングされた LLM を開発しました。これまで、金融の専門家による膨大な量の財務報告書や開示資料の分析は時間が係る作業でしたが、この独自のLLMによって、顧客と従業員が財務文書をより迅速、かつ深く分析することができ、生産性を高めることに成功しています。

まとめ


今回は、生成AIが実務分野でどのように活用されているのか、「顧客体験」に絞って、企業の事例をもとにご紹介しました。次回は、「従業員の生産性向上偏」となっておりますので、ご興味のある方はぜひフォローをよろしくお願いいたします。

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